当エンジンのサイクルについて分析するために、得られたデータに基づいてインジケータ線図とp-V線図を作成する。
ADコンバータによって得られた電圧データは点火時期の時発生したノイズにより不連続な点が生じる。
点火時期はBTDC18°であることがわかっているので、この不連続な点が生じているときピストン変位が最小の時のクランク軸角度を0°とすると、クランク軸角度は-18°になっていることがわかる。また、回転数はn[rpm]なので、角速度は
[deg/s]
サンプリング周波数は100[kHz]なので、クランク軸角度θは次のように求まる。
[deg]
(Xは-18°の時のサンプルと該当サンプルまでのサンプル取得数)
これにより、サンプルに対応するクランク軸角度が求まる。
当エンジンのサイクルについて解析を行うため、クランク軸角度-360~360°までのクランク軸2回転分(1サイクル分)のデータを抽出して解析を進める。
次に、電圧データをもとに圧力のデータを求める。
電圧と圧力において比例関係が成り立っているので、電圧をE[V]、圧力をP[MPa]とすると以下の関係が成り立つ。
()(A、Bは定数)
0.238[MPa]の圧力増加で1[V]の電圧増加が起きることがわかっているので、A=0.238である。
また、クランク軸角度0°の時、排気バルブが開いていて気筒内圧力は大気圧に等しいので、クランク軸角度0°の時の電圧をE0、大気圧をP0とすると、
これにより、Bが求まる。
()式にA、Bを代入して用いることで、電圧のデータから圧力のデータを求めることができ、クランク軸角度と圧力をグラフ化することで以下のようなインジゲータ線図が求まった。
次に、p-V線図をクランク軸角度と圧力のデータをもとに求める。
図より、三角関数を用いてピストン変位は以下のように求まる。
http://kc57.blog.shinobi.jp/%E8%92%B8%E6%B0%97%E6%A9%9F%E9%96%A2%E8%BB%8A%E3%81%AE%E6%A9%9F%E6%A7%8B%E5%AD%A6/%E8%92%B8%E6%B0%97%E6%A9%9F%E9%96%A2%E8%BB%8A%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%94%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E6%A9%9F%E6%A7%8B%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0
()
また、から、
これを()に代入すると、
これにより、クランク軸角度からピストン変位を求めることができる。さらに、シリンダーボア(内径)dを用いて、シリンダー内体積は以下のように求まる。
これにより、クランク軸角度と圧力のデータから体積と圧力のデータを求めることが出来、以下のようなp-V線図が求まった。