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利用者:Iwai.masaharu/私論/出典を示す際にはin-line citation形式がより望ましい

ウィキペディア日本語版では「Wikipedia:検証可能性」などを満たすために、それぞれの記述には出典が必要となっています。2009年12月現在、「Wikipedia:出典を明記する#出典の示し方」にあるように大きく別けて次の2通りの方法があります。

  • 本文中に注釈を挿入する (in-line citation形式)[注釈 1]
  • 記事末尾に参考文献を記載する (general references方式)

この2通りの方法は、どちらも等しく認められているということが現状です。

general references方式にある問題

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発表済みの情報の合成が起こりやすい

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編集者は、編集する記事の対象について、ある程度専門的な知識を持っていることは多いはずです。その場合、general references方式だとWikipedia:独自研究は載せない#特定の観点を推進するような、発表済みの情報の合成にあるような問題が起こりやすいと言えます。また、他者がgeneral references方式を使って記述した際に発表済みの情報の合成が実施されてしまっていた場合、それを発見することが困難であると言えます。

他者からの検証を困難にする

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出典は閲覧者や他の編集者が内容の検証を実施するために記載されます。記事内に存在するある一文について、ある閲覧者が出典にあたってより詳しい情報を得ようとするケースは想定できます。その際にgeneral references方式でしか出典が記載されていなかった場合、「参考文献」セクションに挙がっているすべての文献の、すべての内容を読んでいく必要がでてきます。これは、他者からの検証を困難にしてしまっていると言わざるを得ません。

また、書籍に関しては、例えば日本の国立国会図書館では「複写サービス」[1]というものを実施しており、書籍内のページ数などによって特定できる場合は、遠隔複写サービスというものが使えます。general references方式ではページ数を記載しない場合[注釈 2]、この遠隔複写サービスは使えませんので、検証をより困難にしているといえます。

他者からの加筆に伴う問題点

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ある記事を、ある編集者が、すべての記述において「参考文献」セクションに列挙した文献を基に作成したとします。その記事に対して、他者が加筆する場合には次の3通りが考えられます。

  1. 「参考文献」セクションに挙がっている資料をすべて読んだ上で、それらの資料或いは別の資料を基に加筆を実施する。
  2. 「参考文献」セクションに挙がっている資料すべてを入手することができなかったので、別の資料を基に加筆を実施する。
  3. 出典を明記せずに加筆を実施する。

ここで重大な問題が発生するのは (3) のケースです。本来、出典の明記無しに加筆することはやってはならないことですが、現状のウィキペディア日本語版では残念なことに許容されていると言って差し支えないと判断できます。その場合、せっかくgeneral references方式にてすべての記述に出典が存在していた記事に、出典のない記述が紛れ込むことになります。しかも、その記述に対してもgeneral references方式で出典が明記されていると解釈されてしまう危険性を孕んでいます。

さまざまな意見

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例えば、いくつか手がけた中で秀逸に選ばれてるうち、インフルエンザウイルス腸炎ビブリオなどは、general reference形式にしており、ヘリコバクター・ピロリは後から他の方の手でinline citation形式への変更が行われたために、そちらの方に同調しました。ただし個々の出典の品質という面においては、きちんとした二次情報源だけがピックアップされるという性質から、前二者のタイプの方が、実は「『百科事典』の記事(三次情報源)」らしく、また信頼性の高い内容になるんじゃないかと考えてます……後者はどっちかというと、二次情報源である「総説」を書く時の書き方、というか。

Y tambe「Wikipedia‐ノート:良質な記事」2009-10-28T03:24:37 (UTC) の版差分より)

包括的にまとめられた文献がある分野では、general referencesでいいと思いますよ。百科事典の記述としては、そこから先は、その分野の専門家でも踏み込まない地平だったりもするわけで。「量子力学」について、学部レベルの教科書を2冊くらいとブルーバックス1冊を読んで、適当にまとめれば十分良質な記事だと思う。「著作権法」の記事でも同様。自然科学、論争のない歴史分野、法律分野の概観的な記事などでは、その項目で扱う内容を主題とした包括的な、および啓蒙的な著作・研究があるでしょうから、それらに共通して書かれていることをまとめる、くらいの意識で書くのが百科事典的だと思うんですよ。ところが、そういう先行研究がない分野・項目だと、こっちの本の一部と、あっちの記録と、こっちの論文の一部と、というのを独自研究にならないように組み合わせて書かなければならない。「梅毒」なんかは、『梅毒の歴史』があれば、それを参考文献として挙げていればまあいいだろうと思うけど、『梅毒の歴史』がなければ、細々と出典を挙げて書くってことになるでしょう。そういう場合はインラインでやるしかない。generalで、たいてい大丈夫な分野と、たいていダメな分野がある。そういうことを把握しておく必要があると思います。もっとも、どの分野でも記述と文献の対応関係から、generalではダメな場合もある。

Ks aka 98「Wikipedia‐ノート:良質な記事」2009-10-29T11:00:27 (UTC) の版差分より)

注釈

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  1. ^ 2009年12月現在のウィキペディア英語版では、もう一歩進めて「Footnote referencing方式」となっています。
  2. ^ 例えば、書籍自体のテーマが記事対象のものである場合は、全ページが出典となり、ページ数の記載は不要であることとなります。