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利用者:I.Tikata

概要

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「玄関網戸」と言う言葉は、全国的に見れば、非常にニッチな言葉で、その概念も曖昧であり、また、その一種である
ルーバー式玄関網戸は、その現物を見たことさえ無い方々が多い。
そこで、その概念規定から始め、種類や誕生の背景、取り付け手順等を説明したい。

概念

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ファイル:Amido-01.JPG
マンションにおけるルーバー式玄関網戸

「玄関網戸」の概念規定は、「玄関網戸」の言葉を分解し各々を概念規定し、再度これを統合すれば明瞭である。
「玄関」 : 玄関には必ず、もともと「玄関扉、ドア、戸」が取り付けられているが、これに求められる主たる要件は、
       外部と宅内の遮断・防犯性と美観性であるが、前者は閉鎖性である。

「網戸」 : 網戸に求められる主たる要件は、換気性・通風性と防虫機能であるが、前者は解放性であり、後者は部分的な閉鎖性と言える。


以上から、「『玄関網戸』とは、閉鎖性と開放性と言う、相反要件を兼ね備えた玄関扉の補完建具である」と抽象的に概念化できるが、
この概念の具体的な実現には、さらにいくつかの要件を組み合わせる必要があり、それらは以下で説明する。


概念の実現要件

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1.閉鎖性・遮断性の程度と要件

    1.外部の人間や大型動物の侵入を極力遮断できる、物理的な強度

    2.外部からの虫等小生物を遮断できる強度
    3.外部からの人間の視線を遮断できる形状

2.開放性・通気性の程度と要件br />     1.居宅内外の気圧差を利用した通風性が確保できる形状

3.閉鎖程度と開放程度の相互調整機能

4.その他要件

  1.玄関扉の補完物であることで発生するデメリットの縮小 

    1.取付面積と使用時の必要面積の縮小
    2.取り外しの簡便性
    3.使用上の簡便性
    4.リーズナブルな商品コスト
    5.美観性
      1.部材面の美観性
      2.手入れ・清掃の簡便性


概念の実現方法=玄関網戸の種類

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ぺんぎん


概念の実現方法は、玄関の条件により二分類でき、玄関網戸の種類も下記のように二分類できる。
1.簡易或いは、単純な玄関網戸・・・閉鎖性を重視しないケース
   例えば、戸建住宅で、居住区と外部は門で遮断され、居宅玄関扉(或いは勝口扉)に対して、
   外部からの人の侵入防止機能がさほど求められない場合、美観性を考慮しなければ、右上の写真のような、
   単純な網戸、或は、右下のような簡易な網戸でも主たる目的は達成でき、むしろ、閉鎖性・遮断性の低さに
   比例し、通風性は良好である。 

2.ルーバー式玄関網戸・・・開放性も閉鎖性も共に重視するケース
   例えば、マンションや戸建て住宅にあっても外部との遮断性が玄関  扉一枚でしか遮断されていない場合には、
   右の写真のような、それなりの遮断性を持った物が適しており、閉鎖・開放程度の調整機能を持ったものが適切と言える。

以上の大分類の内、前者は閉鎖性を重視しない条件ゆえ、ごく簡単な物から、幾分複雑な物まで多種多様な物があるので、
以下では後者について説明する。なお、ルーバーの意味については以下の通りである。

 3.ルーバーとは?・・・ルーバーとブラインド両者の概念は英和辞典で調べるのが簡単である。    ルーバー=LOUVERとは、「(採光や通風のための)よろい張り、よろい作り」であり、Louver Window
  とは右の写真のようで、この言葉の主たる機能・意味は、採光性・通風性・開放性である。
   これに似たもので、ブラインド=BLINDがあるが、この第一義的な意味は「盲目」であり、これから派生して、ガラス窓の内部に
  吊るすおなじみのブラインドがあるが、第一義的意味からわかるように、その主要な機能は、視界遮断・日よけ(光の遮断)であり、閉鎖性である。
   このように、両者は本来正反対の意味を持ち、この概念に実現は、それらの主要構成要素である格子・ガラリの形状とこれらの角度調整、
  つまり(閉鎖性と開放性のバランス調整)機能の有無によって、種類が分かれる。

   その意味で、ルーバーの形状は非常に重要であり、メーカー各社は、独自に様々な形状を考案しているが、私見では、右のイラストのようなZ形状の物が
  特に、ルーバー角度の調整機能が有る場合には、理想的と思える。その詳細は、下記が参考資料となる。
    http://amido.arrow.jp/windlouver/windlouver1.html

※ 上記和訳は研究社New Engulishu -Japanese Dictionalyによる。

ルーバー式玄関網戸の構成要素と取り付け手順

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  1.構成要素-1 : 玄関網戸本体とこれをセットするための玄関網戸枠に大別できる。
      玄関網戸枠は、上下枠と左右縦枠で構成され、玄関網戸本体は完成品の単体である。

  2.構成要素-2 ; 玄関網戸本体
   最も複雑なタイプは以下の3要素で構成されている。
   フレーム(上部及び下部に開閉用のローラーやガイドを配置) + ルーバー部(ルーバー角度調整レバーを配置)+網戸部
       右の写真の物は、網戸本体を4分割して、各々、フレームを中に挟むように、部屋内から網戸部、部屋外からルーバールーバー部を
   表裏に配置し、4本のユリヤネジを表裏貫通して固定する方式である。
   両者が取り外せることで、網戸のネット交換、清掃、ルーバーの清掃を簡便にしているタイプである。

  3.取り付け手順 :
   1.玄関網戸枠取付部の採寸

   2.玄関網戸枠の組み立て

   3.組み立て後の玄関網戸枠を既存の玄関扉枠に取り付け

   4.取付後の玄関網戸枠に、玄関網戸本体をセット

   以上が必須基本4工程であるが、付帯して以下の作業が追加される場合もある。

   追加―1 取付部の条件により、網戸枠の加工
     追加―2 取付部の条件により、取付部の幅調整作業

   追加―3 取付部の条件により、玄関網戸本体、網戸枠の高さ調整作業


ルーバー式玄関網戸の歴史

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1.関西圏の気候条件と玄関網戸の誕生

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  大阪/東京の近年の夏季の最高温度は、以下のように約2℃大阪が高い。
  7月・・・約31/29℃、 8月・・・約33/31℃、  9月・・・約29/27℃

   このように関西圏は、もともと夏季の気温が関東圏に比べ少し高く、家屋の通風性に対する各種対策が比較的普及している土壌であったが、
  1970年代中期になると大阪圏でも機密性の高い集合住宅、マンションの建設が始まった。
  ところが、マンションの玄関扉取付部のサイズ構成は非常に高い精度で標準化されており(開口幅=800mm)、玄関網戸の量産条件が出てきたので
  当初は、上記ルーバーの写真のような、木製の玄関網戸を建具屋が作り始め、マンション向けに販売施工を始めた。これがルーバー式玄関網戸の誕生である。

2. 玄関網戸の市場の変遷

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  初期・・・1970年代後期~1980年代中期   1970年代にはアルミサッシが本格的な普及期に入り、上記のような木製玄関網戸より安価で、簡単に量産ができる、アルミ型材による玄関網戸が開発された。
  このアルミ製は美観もよく、また、中心的な価格帯は、上記木製玄関網戸が10万円程度であるにもかかわらず、商品自体が20~30年も使える耐久消費財的側面
  もあるため非常に評判もよく、アルミ製玄関網戸メーカーと取付業者の利益も大きく販売モチベーションが大いに上がり、木製玄関網戸を短期間に駆逐し、
  アルミ製ルーバー式玄関網戸の市場を創出した。


  第一期 全盛期・・・1980年代中期~1990年代初期   バブル期を通じ全国的に新築マンションも急増するにつれ、新築マンション向けのオプション商品マーケットができた。
  従来のチラシ投函によるマーケッティングの手法に加え、新築マンション向けオプション商品の一つとしての販路が加わり、バブル景気で普及が大きく進んだ。

  第二期 安定期・・・1990年代   その後も、新築マンションの全国的な建築戸数は年間十数万戸から二十数万戸で推移し、新築マンションでの普及が進み、さらに、それまでに玄関網戸を取り付けた
  人々の口コミにより、既存のマンションでも普及が進み、関西圏では、普及率が50%を超えるマンションさえ現れ、マンションでは安定的な市場が完成した。


  第三期 若干の停滞期・・・2000年代   2001年、新宿歌舞伎町の雑居ビル火災を機に、消防法の改正があり、新築マンションのオプション商品販売ルートでの採用が抑制され、販路の一つが大きく縮小
  すると共に、メーカーの量産体制も整備され、需給バランスが崩れ、安値安定期に入った。
  なお、消防法に関する解釈は最後の項を参照


 第四期 第二全盛の兆候・・・2011年~   2011年3月11日の大地震・大津波は福島原発を破壊し、電力需給を逼迫させ、関東圏でも玄関網戸に対する注目が倍増した。
  原子力発電に対する懸念は長期にわたり残存すると考えられるが、同時に地球温暖化防止の意識も高まり、今後さらに、全国的な省エネ・節電の趨勢は高揚する
  ことはあっても低減することは考えられない。
  玄関網戸の通風機能のエネルギー源は、居宅内外の気圧差であるから、長期的な将来にわたり全国的に第二の全盛期が続く客観的条件が出来たと考えられるが、
  ルーバー式玄関網戸の普及には、供給サイドに大きな限界がある。


3.玄関網戸の普及を阻害している条件・・・販売能力、特に職人不足

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  玄関網戸の認知度は、関西圏では相当高いと思えるが、各地方の気候条件もあり、全国的な認知度はまだ非常に低く、また、需要期が春から夏季に限定的であるため
 取付職人の常設が困難であるため、潜在的総需要に比べ、全国的には、取付職人が圧倒的に不足していると言える。

ルーバー式玄関網戸が普及する条件

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  ルーバー式玄関網戸の生産メーカーは全国で数社しかなく、いずれも中小企業であり、全国的な施工体制も整備されてはいない。従って、テレビや新聞等の
 マスメディアによる大規模宣伝と大規模販売の手法は採用できない。ところが、幸い、玄関網戸の取付作業自体はさほど難しいものではなく、専門職人が不可欠
 とは考えられないので、DIYの手法が有効な普及対策となる。

  住宅は、マンション等集合住宅と戸建住宅に大別できるが、玄関網戸の歴史で見た通り、もともと、玄関網戸は、マンションの玄関ドア周りのサイズ構成が
 極めて高い精度で標準化されていることを客観的条件として誕生した点を考えるればわかるように、マンションにあっては95%強が、女性の方でもできる程度の
 作業難易度である。また、マンションの残り5%弱と戸建住宅にあっても、採寸作業と取り付け構想さえ立てられれば、実働作業自体はさほど難しい物ではないので、
  採寸に対する細やかなフォロー体制さえ完備できれば、普及は大きく進展すると考えられる。

玄関網戸の環境貢献性

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  玄関網戸が個々人個別の住環境改善に健康面や省エネ面で効果を発揮することは容易に想像できるが、その普及は、下記のように、国家的にも省エネ・節電、CO2
 削減に少なくない効果を発揮できる。

  1.素材自体の省エネ性
  ルーバー式玄関網戸の部材の約97%はアルミである。アルミは電力の塊とも言われるが、同時にリサイクルの優等生と言われるほど再生コストが低く、低負荷で
  循環的に再生利用ができる。
  2.機能の省エネ性   各々の地方により気候条件は異なるが、関西圏の条件で見ると、エアコンの使用が抑制され、一家庭あたり、年間約1~1.5万円程度の電気料金の低減が実現している。
  この数値は、一戸あたりの、電力量換算で年間約400~600kw/hとなり、Co2換算で年間約200~300kgrである。
 日本全国の住宅総戸数は約5000万戸であり、戸建住宅/集合住宅は各々3000/2000万戸程度であるが、その30%程度に玄関網戸が設置された場合、
 上記節電量とCo2削減量は、各々、約60~90億KW/h、約300~450万トンとなる。  これは、日本全体の総電力需要量の約1~0・6%程度であり、京都議定書で国際公約されたCo2削減目標値7500万トンの約4~6%程度に当たる。  ことほどさように、玄関網戸とは目下のところ非常にニッチな商品ではあるが、その社会貢献度は小さくないと言える。


玄関網戸と消防法

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編集中



関連項目

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