Wikipediaのグラスマン数の項目の記述によれば、グラスマン数は外積代数の元である、となっている。
外積代数(がいせきだいすう、英語: exterior algebra)の項目を見れば、外積代数は
与えられた体 K 上のベクトル空間 V 上の外積によって生成される多元環である、となっている。
グラスマン数の項目によれば、グラスマン数は物理学で用いられるとのことなので、基礎体Kは複素数体Cであろうと推測できるがグラスマン数の項目には現時点では記載が無い。英語版のGrassmann numberの項目では、複素数体上の、となっている。
グラスマン数の項目では積の記号は省略されているが、外積代数の項目に従ってウェッジ積∧を用いる。
ベクトル空間 Vの次元をnとすれば、
であり、
となる。,,と表せば、
確かに、に対しては、となっている。
曖昧な点としては、グラスマン数とは、なのかなのかという点がある。
どちらにしても、である。
また、
は外積代数Aの全ての元と可換になる。これは、あくまで外積代数Aの中でのみ成立する話である。
もし物理学で誤用されているように、二個のグラスマン数の積が全ての線形演算子と可換であるとすると、シューアの補題から、となってしまう。これは明らかに外積代数とは異なる性質を持っていることになる。
外積代数の中でのみ成立する性質を、全ての線形演算子に対して成立すると誤解して生じる問題である。
ある種の対称性を考慮に入れたいのであればと対をなすのはではなく、になる。実際との次元は等しい。
例えば、の場合、勝手な3個のグラスマン数に対してとなる。
Aの勝手な元に対して、写像をによって定めれば、はA上の線形写像になっている。よって、Vに適当な基底を定めればの表現行列は複素数係数のN次正方行列になっている。
をA上の線形写像全体のなす環とする。
が線形表現になっていることはすぐに確認できる。
この表現は忠実表現なので、とは多元環として同型である。である。このとき、とすると、である。は複素数なので、となる。
グラスマン数の微分というものを定義しようとするときに、外積代数は可換代数ではないので、右微分、左微分の区別が必要である。微分の項目に従えば、
のようになるであろう。ここで、はに属するならば、先の考察からは存在しない。これは、グラスマン数の微分と称しているものは通常の意味での微分にはなっていないことと、固有値が0しかない演算子で割っている危険性があることを意味している。
改めて、線形空間Vに基底をとる。このとき、Aにも基底が定まる。
及びが基底になっている。これらのうち、
pが奇数の物だけを適当に並べてとする。
グラスマン数がの元であるならば、個の複素数を用いてと表される。
グラスマン数がAの中を動くならば、の関数はの関数とみなすこともできる。
この場合は、による偏微分が正しく定義される。