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ハチビキ | |
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学術的分類 | |
ドメイン: | Eukaryota |
界: | 動物界Animalia |
門: | 脊椎動物門Chordata |
網: | 条鰭網Actinopterygii |
目: | Acanthuriformes |
科: | ハチビキ科Emmelichthyidae |
属: | ハチビキ属Erythrocles |
種: | E. schlegelii
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学名 | |
Erythrocles schlegelii (Richardson, 1846)
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標準和名 | ハチビキ |
シノニム[2] | |
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ハチビキ (端血引.Erythrocles schlegelii) は海水生硬骨魚類で,スズキ目ハチビキ科ハチビキ属6種のうちの一種である.分布・生息域は主にインド洋と西太平洋の温暖な海域の沖合である.通称は,南アフリカ共和国ではアフリカーンス語でJapannese robynvis,モザンビークではポルトガル語でCharro japonês,中国では史氏紅諧魚,韓国では선홍치などと呼び,国連食糧農業機関(FAO)では英語のJapanese rubyfishを採用している.国際自然保護連合は本種を軽度懸念(LC)と評価し,毒性がないため各漁獲国で混獲され食用として商業的に流通している.
分類と命名
[編集]【分類と学名の変遷】現在,ハチビキは学術的には条鰭綱スズキ目ハチビキ科ハチビキ属に分類されている.[3]ハチビキの学名の初見はシーボルトらによる『日本動物誌』(Fauna Japonica)のうち魚類にあてられた第二巻(1830-1850)の117ページと図版63-1番に掲載されたものである. [4]命名者は,この書の共著者でライデン日本博物館員のコンラート・ヤコブ・テミンクとヘルマン・シュレーゲルであったが,彼らはハチビキの属名Erythrichthysのみを記し,種小名は付していない.1845年,スコットランドの船医で北極探検家にして博物学者であったジョン・リチャードソンはこの巻に掲載されたハチビキの図版を見てEmmelichthys schlegelii という学名を与え,これをケンブリッジで開催された学会で「中国および日本の海域の魚学に関する報告」という題目で発表し,1846年に学会誌で公表した[5][6].1859年,アルベルト・ギュンターも,同じく『日本動物誌』の図版を見てErythrichthys schlegelii という学名を与え,『大英博物館魚類目録』(Catalogue of the fishes in the British Museum)に日本に生息する種として掲載したが[7][8],リチャードソンの上記の報告は引用していない.1919年, デイビッド・スター・ジョーダンが本種の属名をErythrichthysから Erythrocles[9]に変更したことで,ハチビキの学名は現在のようになった. 現在の学名で命名者Richardsonと最初の発表年1846が括弧書きされるのは,この属名の変更によるものである.【現在の学名の語源】属名<i>Erythrocles</i>はギリシア語ἐρυθρός(「赤い」の意)とκλείς(「栓・鎖骨・鈎」の意)の合成語のラテン語形である.種小名schlegeliiは最初の命名者であるライデン日本博物館の動物学者ヘルマン・シュレーゲルの献名で,ラテン語形schlegeliusの属格である.【日本での分類】一方,日本では,寺島良安の『和漢三才図会』(正徳2:1712),巻49,4丁裏に見える「血引」をハチビキに比定して,これが江海有鱗魚に分類されている[10].この「血引」は,明の李時珍の『本草綱目』(1596)中には見いだせないことから,明では未知であったと推測される.【日本での通称】呼称は,江戸時代に関西で「ちびき」と呼ばれる魚がいたが,これはヒメダイPristipomoides sieboldiiもハチビキも指す語であったため,のちに混同を避けるためにヒメダイを「ほんちびき」,本種を「はちびき」と区別して呼ぶようになり,後者が標準和名「ハチビキ」に採用されている.「ハチビキ」は「は」と「ちびき」の合成語で,漢字で端血引と書くが,この「端」は端(はた),すなわち「本系から外れた,傍ら」の意味を表す名詞である.本種の日本での地方名や市場名は実に多様で,関東では「赤さば」などと呼ばれる.標準和名との混同に留意すべき地方名としては,例えば茨城ではハチビキを「あかむつ」と呼ぶが,アカムツDoederleinia berycoides(のどぐろ)とは無関係であり,広島では「めだい」と呼ぶがメダイHyperoglyphe japonicaとは無関係である.
形態
[編集]ハチビキの体色は,背側が暗赤~赤色,腹側が薄赤~白銀色であり,通名に英名でruby,中国名で紅,和名で血などの語彙が含まれる一因となっている.全長TLは72cm(28in)まで成長する.体形は,体幅BW:体高BDがおよそ1:1.5で側扁し,横断面はやや逆三角形,体高BD:体長BLがおよそ1:2で紡錘形,頭長HLは体長の約4分の1,全長の約5分の1である.鰭は,背鰭Dが前後に連続して二基あるように見え,欠刻より前を第一背鰭とすると棘条10,欠刻より後を第二背鰭とすると棘条1・軟条11[11] ,胸鰭Pが軟条17,腹鰭Vが胸位で棘条1・軟条5,臀鰭Aが棘条3・軟条11[12] ,尾鰭Cが上葉と下葉が同形の二叉形で軟条20である.目は大きく,その直径は頭長HLの約3分の1~4分の1あり,脂瞼に覆われている.吻は下顎の方が上顎より前方に突出して反り上がり,口縁がウマヅラハギのように前方に伸長して口裂が広く開口するが,このとき主上顎骨が吻端側を支点にしてほぼ直角に回転するように見える. 口縁の軟骨は大きく,その触感は軟らかい.歯は下顎に極微小な絨毛状歯があるが,ほぼないに等しい.[11] 鰓は鰓耙が多く,羽状によく発達して長い.椎骨は,腹椎10個,尾椎14個からなる.鱗は大きな櫛鱗で,被覆部はほぼ方形である.尾柄部の左右体側に低い隆起線がある.腹腔膜は白色半透明である.胃は長い盲嚢を持つT型である.体側筋や竜骨筋は赤色だが,これは主食としているサクラエビ科のカロテノイド系色素アスタキサンチンによるもので,酸化による褐変はしない.したがって,ハチビキの身は食材上サーモンなどと同じく白身魚に分類される.ただし,血合筋の赤さは血色素のヘモグロビンとミオグロビンによるもので,酸化して褐変し,臭気を放つ.
分布域・生息域
[編集]ハチビキの分布域はインド洋・西太平洋である.西端はアフリカ東部で,南アフリカ・マダガスカル・ケニア,東端は太平洋のハワイ,北端は日本の南部,南端はオーストラリアの各海域である. なお,漁獲歴については,日本では本州以南,ベトナムではハティン省[13],オーストラリアでは西部のロットネス島,東部のモートン湾とロード・ハウ島,アラビア半島ではオマーン湾などがある.[12] ハチビキは底生魚で,主な生息域は水深215 - 300 m (705 - 984 ft)である.
生態
[編集]フィリピン沖の有光層では,ハチビキの仔魚や稚魚が遠洋性の被嚢類とともに写真撮影されており,稚魚は被嚢類の近くで漂流したり,自らコロニーを形成して過ごしたりしている.[12]ハチビキの成魚は雑食性で,主にサクラエビ科を捕食し,他に中遠洋性のハダカイワシ,トカゲハダカ類,クラノセナメハダカ属なども捕食するが[14],歯がほぼないのでこれらを丸飲みし,盲嚢に蓄積して時間をかけて消化する.
脚注
[編集]- ^ Al Abdali, F.S.H.; Al Buwaiqi, B.; Al Kindi, A.S.M.; et al. (2019). "Erythrocles schlegelii". IUCN Red List of Threatened Species. 2019: e.T123426960A123494662. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-2.RLTS.T123426960A123494662.en. Retrieved 12 April 2023.
- ^ Froese, Rainer; Pauly, Daniel (eds.) (2023).
- ^ J. S. Nelson; T. C. Grande; M. V. H. Wilson (2016). Fishes of the World (5th ed.). Wiley. pp. 497-502. ISBN 978-1-118-34233-6
- ^ Siebold, Philipp Franz von、Siebold, Philipp Franz von、Haan, W. de、Schlegel, H.、Temminck, C. J.『Fauna japonica, sive, Descriptio animalium, quae in itinere per Japoniam, jussu et auspiciis, superiorum, qui summum in India Batava imperium tenent, suscepto, annis 1823-1830』 v.[2] Pisces、[BHL227881]、Apud Auctorem、Lugduni Batavorum、1850年、117頁 。
- ^ “CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes”. researcharchive.calacademy.org. 2023年12月30日閲覧。
- ^ British Association for the Advancement of Science.、Science, British Association for the Advancement of『Report of the British Association for the Advancement of Science』 15th Meeting (1845)、[BHL12922900]London、1845年、272頁 。
- ^ British Museum (Natural History)、History), British Museum (Natural、Günther, Albert C. L. G.、History), British Museum (Natural『Catalogue of the fishes in the British Museum』 v.1 (1859)、[BHL36875]、British Museum (Natural History), Department of Zoology、London、1859年、395頁 。
- ^ “Series Eupercaria (Incertae sedis): Families Callanthidae, Centrogenyidae, Dinopercidae, Emmelichthyidae, Malacanthidae, Monodactylidae, Moronidae, Parascorpididae, Sciaenidae and Sillagidae”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (9 March 2023). amp閲覧。accessdateの記入に不備があります。
- ^ Academy of Natural Sciences of Philadelphia.、Philadelphia, Academy of Natural Sciences of『Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia』 v.70 (1918)、[BHL36875]、Academy of Natural Sciences of Philadelphia、Philadelphia、1918年、342頁 。
- ^ 寺島良安 (正徳2:1712). “国立国会図書館デジタルコレクション”. dl.ndl.go.jp. 和漢三才図会. p. 巻49,4丁裏. 2023年12月29日閲覧。
- ^ a b Philip C. Heemstra (2022). “Family Emmelichthyidae, Rovers”. In P.C. Heemstra; Elaine Heemstra; David A Ebert et al.. Coastal fishes of the western Indian Ocean. Volume 4. South African Institute for Aquatic Biodiversity. pp. 25-28. ISBN 978-1-990951-31-2 1
- ^ a b c Bray, D.J. (2022年). “Erythrocles schlegelii”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 13 April 2023閲覧。 引用エラー: 無効な
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タグ; name "FofA"が異なる内容で複数回定義されています - ^ “Wayback Machine”. web.archive.org. 2023年12月30日閲覧。
- ^ “Erythrocles schlegelii, Japanese rubyfish : fisheries”. www.fishbase.se. 2023年12月29日閲覧。
[[Category:1846年に記載された魚類]] [[Category:Least concern]]