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利用者:Falcated/sandbox3

巻一

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(詞)する事のない弟は、兄の釣針を借り、海釣りをするが、大魚に針を持っていかれてしまう。兄に叱られ、泣きながら浜に向かう弟は、翁に出会う。 (絵)穏やかに波打つ地に、マツ紅葉クマザサハギが生える。頭にを載せ、片肌を脱いだ女と、柄杓を持つ男児がいる。  

  1. 兄の屋敷。板敷の間に兄弟が座して面する。ともに烏帽子を被り、口ひげと顎ひげを蓄える兄は小袖を、弟は狩衣を召す。兄は左手に釣針を持つ。 「をしむはりをこひたまふところ」(惜しむ針を乞い給うところ)。 
  2. 屋敷の敷地内にて、男が魚を捌く。たも網が置かれ、が干され、海亀の甲羅が落ちている。 
  3. 海に弟を乗せた船。通常の絵巻の流れとは逆に、右から左へ場面が進む。右に獲物を引き上げようとする場面(「つりのををひききれるところ」(釣りの緒を引き切れるところ)、左に針を失い、困り顔で帰る弟。漕ぎ手は肌脱ぎで櫓を漕ぐ。「つりはりうしなゐてかえるところ」(釣り針失いて帰るところ)[1]。同じ画面に同一対象を複数登場させ、時間の経過を暗示する絵巻特有の表現を、異時同図法と呼ぶ[2]。 
  4. 弟、浜で浅黄色直垂を着、肩に掛けた棒に籠を引っ掛けた翁に出会う。「はりうしなひてうらになけきありきたまふところ」(針失ひて浦に嘆き歩き給ふところ)[3]

巻二

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2-1

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(詞)翁は尊から兄の話を聞き、針の探索を手伝いましょうと、このに乗って目を閉じ、しばしお待ちくださいと語る。

(絵)2場面の異時同図法。1)弟の尊と翁が向かい合う。2)尊は翁が持参した籠に入る。その先は、細かく規則的な波が描かれるのみになり、そしてそれすらも消える。

2-2

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(詞)尊が目を開けると、玉で飾られた建物があった。侍女から何者か問われ、日本の尊である、釣針を探しに来たと語る。

(絵)目を開け、籠から立ち上がる尊。翁に先に進むよう指示される。霞の先には、築地塀を伴った塗りの楼門があった。柱の礎石の下には瑠璃石が嵌められた基壇。中に入り、唐装束の侍女と座って見合う。やはり朱塗りの堂や、墨と瑠璃色の瓦に鴟尾を抱いた楼門があり、その先には片手に団扇を、もう片手を木にやる侍女がいる。その先は巌と波である。

2-3

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(詞)侍女の指示に従って、中に入ると、より豪奢な建物がある。そこには主人らしき人が居た。

(絵)中門の手前、侍女が入るように団扇を向ける。霞の向こうが宮殿である。基壇の上に 龍王がいる。向かって左には緑地に金花紋の に冠の文官が魚型冠を着けた衣の男と話している[4]

  1. ^ 小松 1979, pp. 2–6.
  2. ^ 若杉 1995, p. 45.
  3. ^ 小松 1979, pp. 6–7.
  4. ^ 小松 1979, pp. 6–13.