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利用者:Eugene Ormandy/sandbox93 オトマール・スウィトナー

広島AIプロセス(ひろしまエーアイプロセス, Hiroshima AI Process)とは、2023年の第49回先進国首脳会議で立ち上げられた、AIを巡るルール形成を協議する国際枠組みである[1][2]

内容

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沿革

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策定に至るまで

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なお、広島AIプロセス策定に至るまでの経緯について、岸田は2024年5月2日の経済協力開発機構 (OECD) 人工知能関連会合にて、以下のように演説している[3]

生成AIは世界を更に豊かにする重要なツールとなる力を秘めていると信じている。保健医療や気候変動などの課題の解決に向け、AIはこれまで想像もできなかった貢献をしてくれるだろう。
生成AIは光の側面だけではない。我々は偽情報のリスクといった影の側面とも戦わなければならない。そうしたAIのリスクを軽減しつつ、その革新的な機会を最大化するために安全、安心で信頼できるAIの実現のための国際ガバナンスの形成が急務だ。
そのような思いで、私は広島AIプロセスを立ち上げた。AI開発者が守るべき責務である国際指針や行動規範を策定し、生成AIを巡る具体的なリスクの低減に取り組んだ[3]

策定後

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広島AIプロセスふまえて、日本政府は2023年5月、国内のAI政策の司令塔として「AI戦略会議」を設置した[4]。2024年4月には、会議の成果として、AIの関連企業が守るべき10の項目を示した「AI事業者ガイドライン」が作成された[4]

さらに2024年5月2日、岸田文雄首相は、広島AIプロセスに賛同する国・地域を募った「広島AIプロセス・フレンズグループ」を立ち上げると発表した[5]。これに参加したのは、経済協力開発機構 (OECD) 加盟国など49カ国・地域で、日本政府が内々で目標にしていた40カ国・地域を上回った[6]。また、2024年8月2日時点では53の国と地域が参加している[7]。この要因について菅野気宇は「主要7カ国(G7)が築いた枠組みに仲間入りできる『プレミアム感』による引力も働いた」と指摘している[6]

また、2024年5月3日、経済協力開発機構閣僚理事会が採択した閣僚声明でも、広島AIプロセスを支持することが表明されたほか[8]、2024年6月に開催された第50回先進国首脳会議の首脳声明でも、広島AIプロセスを前進させることの重要性を認識することが記された[9][10]

評価

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内容について

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日本の影響力について

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2024年8月2日に開催されたAI制度研究会にて、岸田文雄首相は「日本がどのような制度をつくりあげるか世界が注目している」と発言した[11]。また、松本剛明総務大臣は2024年8月2日に、生成AIのルール作りを主導することは「日本への投資の誘引にもつながっている」と述べた[7]

その一方、イタリア北部コモで2024年10月15日に開かれた、G7デジタル・技術相会合では、生成AI開発を監視する枠組みの合意が持ち越された[12]。これを受けて酒井恒平は「日本が主導して立ち上げた『広島AIプロセス』は正念場を迎えている」と指摘している[12]

脚注

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  1. ^ 外務省、経済安保とAIの司令塔新設 国際会議に対処」『日本経済新聞』2024年8月4日。
  2. ^ Hiroshima AI Process”. www.soumu.go.jp. 2024年11月15日閲覧。
  3. ^ a b OECDのAI関連会合での岸田文雄首相発言」『日本経済新聞』2024年5月2日。
  4. ^ a b AI戦略会議とは 国内のルールづくり主導」『日本経済新聞』2024年5月2日。
  5. ^ 岸田首相「生成AIのリスクに対処」 国際枠組み立ち上げ」『日本経済新聞』2024年5月3日
  6. ^ a b 菅野気宇「AIルール、日本主導続くか G7の団結促す2つの危機感」『日本経済新聞』2024年5月12日。
  7. ^ a b 松本剛明総務相、生成AIルール主導し「日本へ投資を誘引」 GDS2024世界デジタルサミット」『日本経済新聞』2024年8月2日。
  8. ^ OECD、「AI原則」改定 偽情報への対応強化」『日本経済新聞』2024年5月4日。
  9. ^ G7首脳宣言の要旨 「ウクライナに揺るぎない支援」」『日本経済新聞』2024年6月15日。
  10. ^ G7首脳宣言採択 ロシア支援の金融機関制裁、中国名指し」『日本経済新聞』2024年6月15日
  11. ^ AI法規制の議論開始 首相「安全性確保が必要」」『日本経済新聞』2024年8月2日。
  12. ^ a b 酒井恒平「正念場のG7「AI監視網」 日米と欧州、すれ違う思惑」『日本経済新聞』2024年10月28日。