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利用者:Eugene Ormandy/sandbox40 いずみシンフォニエッタ大阪(加筆用)

いずみホール (2010年)

いずみシンフォニエッタとは、大阪府中央区にあるいずみホール専属のオーケストラである[1]。現代音楽を中心に演奏活動を行い、国内外の新作にも取り組んでいる[2]

略歴

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大阪出身の作曲家西村朗を音楽監督に迎えて2000年に発足[1]。「関西・大阪から世界に新しいものを発信する」という西村の理念のもと、楽団名に「大阪」を組み込んだ[1]

行政からの支援に頼れない民間のホールが現代音楽の楽団を抱えるのは、世界的にも珍しいとされる[2]

住民の幅広い期待に応える必要がある大規模な公共ホールは、集客を考えて現代音楽に及び腰になることが多いが、席数が800のいずみホール[2]

音楽評論家の白石知雄は「15年間、現代音楽の新作を演奏し続け、演奏の場を提供してきた意義は大きい。若手の発掘、育成でも大きな成果を上げてきた」と語っている[2]

作曲家の西村朗からは「楽団員全員がソリスト級の腕前」と評されている[2]

「現代音楽は難しいと敬遠されがちで、聴衆が広がらない」という状況を打破するため、「演出がつくなど、現代音楽は視覚効果の高いものも多い。見れば興味をもってもらえるはず」という思いのもと、2015年にYouTubeチャンネルを開設した[3]

いずみホール

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ウィーン楽友協会 (2017年)

住友生命を運営母体として、1990年に開業した[4]。ウィーン楽友協会大ホールを手本にしたシューボックス型で、パイプオルガンを備えている[4][5]。建設当時既に大阪にあったフェスティバルホール (2700席) や、ザ・シンフォニーホール (1704席) と規模の面で張り合うことはせず、席数を821として企画性で勝負することを目指した[4]

年間30前後の自主企画を行っている[4]。ホールの自主企画は貸し館事業と異なり、損失が発生した場合のリスクをホール自身が背負う形となるが、いずみホールは「単発で集客力のあるプログラムよりむしろ、スタッフが知恵を絞る地道な連続企画などで存在感を示してきた」と評されている[4]

企画

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  • 1993年より、ウィーン楽友協会との提携企画「ウィーン音楽祭 in Osaka」を3年ごとに開催していた[5]。一度に十数公演を開催することもあったが、経費が嵩み2012年に終了した[5]。しかしその後も楽友協会合唱団を招きモーツァルトの『レクイエム』を演奏するなど交流は保ち続けており、2017年には室内楽、リサイタル、協奏曲に公演を絞り組んだ上で「ウィーン・ムジークフェスト 2017」を開催し、ピアニストのルドルフ・ブッフビンダー、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターのアルベナ・ダナイローヴァ、同首席チェロ奏者タマーシュ・ヴァルガらを招いた[5]

初演作品

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  • 中村滋延『善と悪の果てしなき闘い 第一章』 - 第43回定期演奏会にて世界初演。作曲家は大阪市出身[6]
初演年 作曲者 世界初演 or 日本初演 作品名 コンサートの名称 演奏者 備考
2001年2月 マウリシオ・カーゲル 日本初演 フィナーレ 第1回定期演奏会 曲中で指揮者が死ぬ演技をする[1]
薮田翔一 世界初演 ハープ協奏曲「祈りの樹」 関西若手作曲家委嘱プロジェクトの第7弾であった[7]
2015年7月18日 坂東祐大 世界初演 めまい 第35回定期演奏会「天女散花、恋は魔術師」 指揮: 飯森範親 委嘱作品。ヒッチコック監督の同名の映画より着想を得た[2]
2016年2月6日 西村朗 世界初演 室内交響曲第5番「リンカネイション(転生)」 定期演奏会 指揮: 三ツ橋敬子

ソプラノ: 太田真紀

『新古今和歌集』の春の歌よりテクストを作成[8]
2016年7月16日 スティーヴ・ライヒ 日本初演 ダブル・セクステット 定期演奏会 エレクトロニクス: 有馬純寿 スピーカーでの電気増幅を行う[9]
2017年7月15日 松本直祐樹 世界初演 トロンボーン協奏曲 定期演奏会 指揮: 下野竜也

トロンボーン: 呉信一

委嘱作品。トロンボーンのソロがあるマーラー『交響曲第3番』をイメージした作品。作曲者の松本は大阪を拠点に活躍[10]
2018年2月 西村朗 世界初演 オーボエ協奏曲「四神」 第40回定期演奏会 オーボエ独奏: トーマス・インデアミューレ
2020年7月4日 西村朗 世界初演 12奏者と弦楽のための〈ヴィカラーラ〉 定期演奏会「天使と神々の幻想」 指揮: 飯森範親 発足20周年記念の定期演奏会であった。また、作曲者の西村は、薬師如来像と十二神将像に作品の着想を得た[11]

レコーディング

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脚注

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  1. ^ a b c d 現代音楽、大阪から世界に いずみシンフォニエッタ(もっと関西)”. 日本経済新聞 電子版. 2020年6月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e f “いずみシンフォニエッターー現代音楽に挑んだ15年”. 日本経済新聞 大阪夕刊: p. 29. (2015年5月22日) 
  3. ^ “国内オケ、動画で魅せるーー新規客獲得へ、公演をネット配信”. 日本経済新聞夕刊: p. 16. (2016年1月9日) 
  4. ^ a b c d e “公共サバクの音楽ホール(2)自主企画に知恵ひかる(軌跡)”. 日本経済新聞大阪夕刊: p. 29. (2014年11月11日) 
  5. ^ a b c d “いずみホール、ウィーン楽友会との音楽祭ーー巨匠のピアノ、復活彩る”. 日本経済新聞 大阪夕刊: p. 29. (2017年9月8日) 
  6. ^ “週末情報バック”. 中日新聞朝刊: p. 17. (2020年2月1日) 
  7. ^ ハープ協奏曲世界初演!いずみシンフォニエッタ大阪 第42回定期演奏会『祈りの霊感』は、三ツ橋敬子の 指揮で紡がれる色とりどりの祈りの物語 - NEWS | ぴあ関西版WEB”. kansai.pia.co.jp. 2020年6月15日閲覧。
  8. ^ “西村朗の新作披露、いずみシンフォニエッタの新作披露、転生イメージ。”. 日本経済新聞: p. 31. (2015年11月11日) 
  9. ^ “電子音響、注目の公演相次ぐーー現代音楽の可能性広げる”. 日本経済新聞 大阪夕刊: p. 29. (2016年6月17日) 
  10. ^ “怪作や新作協奏曲、披露。いずみシンフォニエッタ、来月。”. 日本経済新聞: p. 31. (2017年6月21日) 
  11. ^ いずみシンフォニエッタ大阪、西村朗の新作初演”. 日本経済新聞 電子版. 2020年7月5日閲覧。
  12. ^ 西村朗/迦楼羅(かるら)~西村朗管弦楽作品集(西村朗作品集3)”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
  13. ^ 西村朗/西村朗 作品集 8: メタモルフォーシス - 西村朗 室内交響曲集 -”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
  14. ^ 池辺晋一郎/炎の資格~池辺晋一郎:管弦楽作品集 II”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
  15. ^ 西村朗/西村 朗:秘密~マニの光 西村 朗 管弦楽作品集”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
  16. ^ いずみシンフォニエッタ大阪/西村朗:沈黙の声・・・・いずみシンフォニエッタ大阪 プレイズ 西村朗”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
  17. ^ 飯森範親/吉松隆:交響曲第6番≪鳥と天使たち≫ マリンバ協奏曲≪バード・リズミクス≫”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
  18. ^ トーマス・インデアミューレ/西村朗:四神”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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