利用者:Eugene Ormandy/sandbox40 いずみシンフォニエッタ大阪(加筆用)
いずみシンフォニエッタとは、大阪府中央区にあるいずみホール専属のオーケストラである[1]。現代音楽を中心に演奏活動を行い、国内外の新作にも取り組んでいる[2]。
略歴
[編集]大阪出身の作曲家西村朗を音楽監督に迎えて2000年に発足[1]。「関西・大阪から世界に新しいものを発信する」という西村の理念のもと、楽団名に「大阪」を組み込んだ[1]。
行政からの支援に頼れない民間のホールが現代音楽の楽団を抱えるのは、世界的にも珍しいとされる[2]。
住民の幅広い期待に応える必要がある大規模な公共ホールは、集客を考えて現代音楽に及び腰になることが多いが、席数が800のいずみホール[2]。
音楽評論家の白石知雄は「15年間、現代音楽の新作を演奏し続け、演奏の場を提供してきた意義は大きい。若手の発掘、育成でも大きな成果を上げてきた」と語っている[2]。
作曲家の西村朗からは「楽団員全員がソリスト級の腕前」と評されている[2]。
「現代音楽は難しいと敬遠されがちで、聴衆が広がらない」という状況を打破するため、「演出がつくなど、現代音楽は視覚効果の高いものも多い。見れば興味をもってもらえるはず」という思いのもと、2015年にYouTubeチャンネルを開設した[3]。
いずみホール
[編集]住友生命を運営母体として、1990年に開業した[4]。ウィーン楽友協会大ホールを手本にしたシューボックス型で、パイプオルガンを備えている[4][5]。建設当時既に大阪にあったフェスティバルホール (2700席) や、ザ・シンフォニーホール (1704席) と規模の面で張り合うことはせず、席数を821として企画性で勝負することを目指した[4]。
年間30前後の自主企画を行っている[4]。ホールの自主企画は貸し館事業と異なり、損失が発生した場合のリスクをホール自身が背負う形となるが、いずみホールは「単発で集客力のあるプログラムよりむしろ、スタッフが知恵を絞る地道な連続企画などで存在感を示してきた」と評されている[4]。
企画
[編集]- 1993年より、ウィーン楽友協会との提携企画「ウィーン音楽祭 in Osaka」を3年ごとに開催していた[5]。一度に十数公演を開催することもあったが、経費が嵩み2012年に終了した[5]。しかしその後も楽友協会合唱団を招きモーツァルトの『レクイエム』を演奏するなど交流は保ち続けており、2017年には室内楽、リサイタル、協奏曲に公演を絞り組んだ上で「ウィーン・ムジークフェスト 2017」を開催し、ピアニストのルドルフ・ブッフビンダー、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスターのアルベナ・ダナイローヴァ、同首席チェロ奏者タマーシュ・ヴァルガらを招いた[5]。
初演作品
[編集]- 中村滋延『善と悪の果てしなき闘い 第一章』 - 第43回定期演奏会にて世界初演。作曲家は大阪市出身[6]
初演年 | 作曲者 | 世界初演 or 日本初演 | 作品名 | コンサートの名称 | 演奏者 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
2001年2月 | マウリシオ・カーゲル | 日本初演 | フィナーレ | 第1回定期演奏会 | 曲中で指揮者が死ぬ演技をする[1]。 | |
薮田翔一 | 世界初演 | ハープ協奏曲「祈りの樹」 | 関西若手作曲家委嘱プロジェクトの第7弾であった[7]。 | |||
2015年7月18日 | 坂東祐大 | 世界初演 | めまい | 第35回定期演奏会「天女散花、恋は魔術師」 | 指揮: 飯森範親 | 委嘱作品。ヒッチコック監督の同名の映画より着想を得た[2]。 |
2016年2月6日 | 西村朗 | 世界初演 | 室内交響曲第5番「リンカネイション(転生)」 | 定期演奏会 | 指揮: 三ツ橋敬子
ソプラノ: 太田真紀 |
『新古今和歌集』の春の歌よりテクストを作成[8]。 |
2016年7月16日 | スティーヴ・ライヒ | 日本初演 | ダブル・セクステット | 定期演奏会 | エレクトロニクス: 有馬純寿 | スピーカーでの電気増幅を行う[9] |
2017年7月15日 | 松本直祐樹 | 世界初演 | トロンボーン協奏曲 | 定期演奏会 | 指揮: 下野竜也
トロンボーン: 呉信一 |
委嘱作品。トロンボーンのソロがあるマーラー『交響曲第3番』をイメージした作品。作曲者の松本は大阪を拠点に活躍[10]。 |
2018年2月 | 西村朗 | 世界初演 | オーボエ協奏曲「四神」 | 第40回定期演奏会 | オーボエ独奏: トーマス・インデアミューレ | |
2020年7月4日 | 西村朗 | 世界初演 | 12奏者と弦楽のための〈ヴィカラーラ〉 | 定期演奏会「天使と神々の幻想」 | 指揮: 飯森範親 | 発足20周年記念の定期演奏会であった。また、作曲者の西村は、薬師如来像と十二神将像に作品の着想を得た[11]。 |
レコーディング
[編集]- 『迦楼羅(かるら)~西村朗管弦楽作品集(西村朗作品集3)』 - 2001年発売[12]。
- 『西村朗 作品集 8: メタモルフォーシス - 西村朗 室内交響曲集 - 』 - 2005年発売[13]。
- 『炎の資格~池辺晋一郎:管弦楽作品集 II 』 - 2006年発売[14]。
- 『西村 朗:秘密~マニの光 西村 朗 管弦楽作品集』 - 2006年発売[15]。
- 『西村朗:沈黙の声・・・・いずみシンフォニエッタ大阪 プレイズ 西村朗』 - 2013年発売[16]。
- 『吉松隆:交響曲第6番≪鳥と天使たち≫ マリンバ協奏曲≪バード・リズミクス≫ 』 - 2014年発売[17]。
- 『西村朗:四神』 - 2018年発売[18]
脚注
[編集]- ^ a b c d “現代音楽、大阪から世界に いずみシンフォニエッタ(もっと関西)”. 日本経済新聞 電子版. 2020年6月15日閲覧。
- ^ a b c d e f “いずみシンフォニエッターー現代音楽に挑んだ15年”. 日本経済新聞 大阪夕刊: p. 29. (2015年5月22日)
- ^ “国内オケ、動画で魅せるーー新規客獲得へ、公演をネット配信”. 日本経済新聞夕刊: p. 16. (2016年1月9日)
- ^ a b c d e “公共サバクの音楽ホール(2)自主企画に知恵ひかる(軌跡)”. 日本経済新聞大阪夕刊: p. 29. (2014年11月11日)
- ^ a b c d “いずみホール、ウィーン楽友会との音楽祭ーー巨匠のピアノ、復活彩る”. 日本経済新聞 大阪夕刊: p. 29. (2017年9月8日)
- ^ “週末情報バック”. 中日新聞朝刊: p. 17. (2020年2月1日)
- ^ “ハープ協奏曲世界初演!いずみシンフォニエッタ大阪 第42回定期演奏会『祈りの霊感』は、三ツ橋敬子の 指揮で紡がれる色とりどりの祈りの物語 - NEWS | ぴあ関西版WEB”. kansai.pia.co.jp. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “西村朗の新作披露、いずみシンフォニエッタの新作披露、転生イメージ。”. 日本経済新聞: p. 31. (2015年11月11日)
- ^ “電子音響、注目の公演相次ぐーー現代音楽の可能性広げる”. 日本経済新聞 大阪夕刊: p. 29. (2016年6月17日)
- ^ “怪作や新作協奏曲、披露。いずみシンフォニエッタ、来月。”. 日本経済新聞: p. 31. (2017年6月21日)
- ^ “いずみシンフォニエッタ大阪、西村朗の新作初演”. 日本経済新聞 電子版. 2020年7月5日閲覧。
- ^ “西村朗/迦楼羅(かるら)~西村朗管弦楽作品集(西村朗作品集3)”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “西村朗/西村朗 作品集 8: メタモルフォーシス - 西村朗 室内交響曲集 -”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “池辺晋一郎/炎の資格~池辺晋一郎:管弦楽作品集 II”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “西村朗/西村 朗:秘密~マニの光 西村 朗 管弦楽作品集”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “いずみシンフォニエッタ大阪/西村朗:沈黙の声・・・・いずみシンフォニエッタ大阪 プレイズ 西村朗”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “飯森範親/吉松隆:交響曲第6番≪鳥と天使たち≫ マリンバ協奏曲≪バード・リズミクス≫”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。
- ^ “トーマス・インデアミューレ/西村朗:四神”. tower.jp. 2020年6月15日閲覧。