利用者:EW-174/sandbox/2
河川津波(かせんつなみ)は、河川を遡上した津波のことである。河口における津波がない場合の水位(平常水位)から、津波によって水位が上昇した高さ(極値)の差のことを「河口における津波高」と言い、河口における津波高において、河川内のある地点の津波の高さを時系列でみた最高値のことを「河川津波高」と呼ぶ[1]。河川津波は陸地よりも速い速度で進み、堤防を越えて押し寄せることがある。
東北地方太平洋沖地震における河川津波
[編集]このような河川津波は、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による津波でも見られ[2][3][4]、岩手県や宮城県などでは河川津波が堤防を越えるなどし、被害の拡大に繋がった[5]。例えば、東日本大震災で津波が最も海から遠くまで遡上した北上川では、河口から49km上流まで津波が押し寄せ、被害は河口から12km付近まで及んだ。流域の地区は、川と海からの津波により、600人以上の犠牲者が出た[6]。この時、海から河口に流れ込んだ津波の量は毎秒約13万立方メートル(北上川の平均量の約600倍)であり、津波が陸上の1.5倍の速度で遡上し、場所によっては時速40kmに達したという[7]。国土交通省河川津波対策検討会では、東日本大震災での河川津波を踏まえ、河川堤防や津波水門等により津波による災害を防ぐことや、津波防災まちづくりと一体となり減災を目指すことなどの必要性を提言している。
河川津波においては、河川の周囲が都市部である場合、頑丈な建物が立ち並ぶなどの都市の構造などにより[6]、被害が拡大しやすいことがわかっている。2003年の十勝沖地震や、2016年の福島県沖地震などにおいても、津波が河川を遡上する様子が撮影されている[8][9]。今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震などにおいても、大規模な河川津波が発生する恐れがあるという[6]。
脚注
[編集]- ^ 津波に関する用語の定義 - 国土交通省(一部改変)
- ^ 日経クロステック(xTECH). “市街地を襲う河川津波に備える”. 日経クロステック(xTECH). 2021年3月29日閲覧。
- ^ 河川津波遡上時における防災対策について
- ^ NHK. “NHKスペシャル 「“河川津波”~震災7年 知られざる脅威~」 -NHKオンデマンド”. NHKオンデマンド. 2021年3月29日閲覧。
- ^ 河川への遡上津波対策に関する緊急提言
- ^ a b c 日本放送協会. “NHKスペシャル連動企画「“河川津波” 知られざる脅威 命を守るための備えは」|東日本大震災 あの日から7年|NHK NEWS WEB”. www3.nhk.or.jp. 2021年3月29日閲覧。
- ^ 日本放送協会. “NスペPlus 明らかになる新たな脅威 “河川津波””. NスペPlus | NHKスペシャル. 2021年3月29日閲覧。
- ^ 津波の河川遡上に関する研究
- ^ 津波、川をさかのぼる 宮城・多賀城市の砂押川 TSUNAMI Tagajyo,Miyagi - 産経新聞