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en:Red Rackham's Treasure 11:56, 28 September 2023 / レッド・ラッカムの宝

レッド・ラッカムの宝
(Le Trésor de Rackham le Rouge)
発売日1944年
シリーズタンタンの冒険シリーズ
出版社カステルマン英語版
制作陣
オリジナル
掲載ル・ソワール英語版フランス語版
掲載期間1943年2月19日 – 1943年9月23日
言語フランス語
翻訳版
出版社福音館書店
発売日1983年
ISBN978-4-8340-0952-1
翻訳者川口恵子
年表
前作なぞのユニコーン号 (1943年)
次作ななつの水晶球 (1948年)

レッド・ラッカムの宝』(レッド・ラッカムのたから、フランス語: Le Trésor de Rackham le Rouge)は、ベルギーの漫画家エルジェによる漫画バンド・デシネ)、タンタンの冒険シリーズの12作目である。ベルギーの主要なフランス語新聞『ル・ソワール英語版フランス語版』 (Le Soir)にて1943年2月から同年9月まで毎日連載されていた。ベルギー人の少年タンタンが愛犬スノーウィや友人ハドック船長と共に、前作『なぞのユニコーン号』に引き続いてハドックの17世紀の先祖にあたるハドック卿が隠したという大海賊レッド・ラッカムの財宝を探し、カリブ海で活動する冒険物語である。

本作は前作『なぞのユニコーン号』と合わせた前後編の後編にあたる。そのストーリーテリングや描写は、前作と共に批評家からの評価が高く、特に後にレギュラーキャラクターとなる変人学者ビーカー教授の初登場作品としても注目される。次作『七つの水晶玉』の連載中に、ナチス協力者の容疑でエルジェが『ル・ソワール』紙より追放されたため、本作が同紙で日刊連載され、完結した最後の作品となった。

1957年のアニメ化において映像化されたエピソードの1つであり、1991年にはカナダのアニメーション製作会社のネルバナとフランスのEllipseによるテレビアニメシリーズの中で、本作が映像化されている。また、2011年のスティーヴン・スピルバーグ監督による映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』において原作の1つとして映像化され、それに伴いテレビゲーム化もなされた。

日本語版は、1983年に川口恵子訳として福音館書店から出版された。前編『なぞのユニコーン号』と同時出版であった。

なお、本作ではハドック船長の先祖としてフランソワ・ド・アドック卿が登場する。姓が微妙に異なるのは原語の "Haddock" の読みの違いによる(フランス語読みではアドックになり、英語読みではハドックになる)。本項では読みを統一せず、ハドック船長とアドック卿で使い分ける。

あらすじ

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前作において、タンタンとハドック船長はハドックの先祖で17世紀のフランスの海軍提督であるフランソワ・ド・アドック卿が残した3枚の羊皮紙の暗号を解き、それが西インド諸島に隠された大海賊レッド・ラッカムの財宝のある座標を示していると推測する。早速2人は財宝探しのために西インド諸島に向かう計画を立てる。この話を聞いた風変わりな学者ビーカー教授は、自らが発明したサメ型の潜水艦を提供することを申し出るが、他にも似たような山師たちにうんざりしていたタンタンとハドックは断る。その後、タンタンたちは自前の船で西インド諸島に向けて出港するが、まぬけな刑事コンビ、デュポンとデュボン英語版が船内に迷い込んでおり、さらにはビーカー教授もサメ型潜水艦ごと密航していたことが判明する。

やがて、船は暗号が示す座標の場所に辿り着くが、アドック卿の逸話と照らし合わせれば、未知の島があるはずにも関わらず、島の影すら見つからない。短気なハドックはベルギーに帰ろうとするが、タンタンは初歩的なミスに気づき、思いとどまらせる。タンタンたちは当たり前のようにグリニッジ子午線を基に計算していたが、17世紀のフランス人であるアドック卿であれば、当然パリ子午線が基準であるはずだった。こうしてタンタンたちは目指す場所を修正する。

修正した座標を元に到着したのはイスパニョーラ島(ドミニカ共和国)の北約200キロにある未発見の島であった。タンタンらは島を探索するも財宝は見つからず諦めかけるが、アドック卿の像や、(おそらくアドック卿の口癖を真似た)ハドック船長のようなセリフで鳴くオウムを見つけ、ここがアドック卿の逸話に登場する無人島だと確信する。改めて伝承を踏まえ、この付近の海底にユニコーン号の残骸が沈んでおり、その中に財宝があると推理する。ビーカー教授の潜水艦によって沈没船を発見し、その中の遺物の回収を行うが財宝は見つからない。古い金庫の中身に期待するが、中から出てきたのは、かつてルイ14世があのムーランサール城をアドック卿に下賜したことを示す古文書であった。

財宝を諦めベルギーに帰国したタンタンらであったが、ビーカー教授が潜水艦の売却益によって城を購入し、ハドック船長に譲渡することを提案する。こうして先祖の城を手に入れ喜ぶハドック船長が、タンタンと地下室を探索していると、地球儀、ワシ、十字架をあしらった聖ヨハネの像を見つける。ここで最初の3枚の暗号文の内容を思い出したタンタンが像を調べると地球儀の中から財宝を発見した。バード兄弟も含め、タンタンらが探していたものは、すぐ近くにあったのだった。

歴史

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執筆背景

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Nazi German soldiers in eastern Belgium in 1940. Red Rackham's Treasure and The Secret of the Unicorn were both written while Belgium was under German occupation.

作者のエルジェ(本名:ジョルジュ・レミ)は、1929年、故郷ブリュッセルにあったローマ・カトリック系の保守紙『20世紀新聞』の子供向け付録誌『20世紀子ども新聞』にて、彼の代表作となる、架空のベルギー人の少年記者・タンタンの活躍を描く『タンタンの冒険』の連載を開始した。シリーズは人気を博し、連載が続いていたが、1940年5月、ナチス・ドイツによるベルギー占領によって掲載誌が廃刊となってしまった。その後、エルジェはベルギー最大のフランス語の日刊紙で、占領政府に協力することで廃刊を免れた『ル・ソワール』(Le Soir)に雇われ、同紙が創刊した週刊の子供向け付録誌『ル・ソワール・ジュネス』(Le Soir Jeunesse)の編集長となった。同誌では再びタンタンの連載を開始し、1940年10月、第9作目となる『金のはさみのカニ』が始まったが、戦時統制下での紙不足を理由に途中で廃刊し、日刊の『ル・ソワール』本紙に移行して、1941年10月に完結することができた。この占領統治下で製作されたシリーズ4作品のうちの最後が本作である。

Red Rackham's Treasure was serialized amidst the German occupation of Belgium during World War II. Hergé had accepted a position working for Le Soir, Belgium's largest Francophone daily newspaper. Confiscated from its original owners, Le Soir was permitted by the German authorities to reopen under the directorship of Belgian editor Raymond de Becker, although it remained firmly under Nazi control, supporting the German war effort and espousing anti-Semitism.[1] After joining Le Soir on 15 October 1940, Hergé became editor of its new children's supplement, Le Soir Jeunesse, with the help of an old friend, Paul Jamin, and the cartoonist Jacques Van Melkebeke, before paper shortages forced Tintin to be serialised daily in the main pages of Le Soir.[2] Some Belgians were upset that Hergé was willing to work for a newspaper controlled by the occupying Nazi administration,[3] although he was heavily enticed by the size of Le Soir's readership, which numbered some 600,000.[4] Faced with the reality of Nazi oversight, Hergé abandoned the overt political themes that had pervaded much of his earlier work, instead adopting a policy of neutrality.[5] Entertainment producer and author Harry Thompson observed that, without the need to satirise political types, "Hergé was now concentrating more on plot and on developing a new style of character comedy. The public reacted positively".[6]

Red Rackham's Treasure was the second half of a two-part story arc which had begun with the previous adventure, The Secret of the Unicorn. This arc was the first that Hergé had produced since Cigars of the Pharaoh and The Blue Lotus (1934–36).[7] However, as Tintin expert Michael Farr related, whereas Cigars of the Pharaoh and The Blue Lotus had been largely "self-sufficient and self-contained", the connection between The Secret of the Unicorn and Red Rackham's Treasure is far closer.[8]

本作は2部構成の後編であり、前作『なぞのユニコーン号』の続きである。この前後編は第4-5作目『ファラオの葉巻』と『青い蓮』以来のものであった。 ただ、タンタン研究家のマイケル・ファーによれば、『ファラオの葉巻』と『青い蓮』が大部分が独立した自己完結型の作品であったのに比べれば、『なぞのユニコーン号』と『レッド・ラッカムの宝』は綿密に連携していたと解説している。

Calculus was visually based upon the scientist Auguste Piccard.

Red Rackham's Treasure introduced Professor Cuthbert Calculus to The Adventures of Tintin, who became a recurring character.[9] Hergé had made use of various eccentric professors in earlier volumes of the series, such as Sophocles Sarcophagus in Cigars of the Pharaoh, Hector Alembick in King Ottokar's Sceptre, and Decimus Phostle in The Shooting Star, all of whom prefigure the arrival of Calculus.[10] The character's deafness had been inspired by a colleague whom Hergé had worked with years earlier at Le Vingtième Siècle.[11] Visually, Calculus was based on a real scientist, the Swiss inventor Auguste Piccard, who had been the first man to explore the stratosphere in a hot air balloon in 1931. Hergé had observed Piccard walking about Brussels on a number of occasions, however the character of Calculus would be notably much shorter than Piccard.[12] Hergé named this character Tryphon Tournesol; while the surname meant "sunflower", the forename was adopted from a carpenter named Tryphon Beckaert whom Hergé had encountered in Boitsfort.[13] Tryphon Tournesol was later renamed Cuthbert Calculus in the English translation and Balduin Bienlein (meaning "Little Bee") for the German translation.[13]

【語順調整】 本作において、その後、シリーズのレギュラーキャラクターとなるビーカー教授(ビルフリート・ビーカー)が初登場した。 変人学者というキャラクター造形は、『ファラオの葉巻』のフィレモン・サイクロン、『オトカル王の杖』のヘクター・アランビク、『ふしぎな流れ星』のイッポリート・カリスなど、以前より登場していたものであり、ビーカー教授の前身となった。 -[ビーカー教授の難聴という設定は数年前に共に働いた同僚に由来している。] ビーカー教授のモデルは、1931年に熱気球で初めて成層圏を探検したスイスの発明家で、実在の学者であるオーギュスト・ピカールである。エルジェはブリュッセルで実際のピカールを何度も目撃していたが、ビーカー教授は本人よりも背は低いという差異はあった。 +[また、ビーカー教授の難聴という設定はエルジェの元同僚に由来している。] ビーカー教授という名前は日本語版のものであり、オリジナルのフルネームはトリフォン・トゥールヌソル(Tryphon Tournesol)である。この名前のトリフォンはエルジェがボワツフォールで出会った大工の名が由来であり、姓のトゥールヌソルは「ひまわり」を意味している。日本語版と同様に各国版で名前が変えられており、英語版ではカスバート・カルキュラス(Cuthbert Calculus、姓は微積分学の意)、ドイツ語版はバルドゥアン・ビーネライン(Balduin Bienlein、姓は小さな蜂の意)という名前で、イニシャルが姓と名で同じという共通点がある。

Calculus' shark-shaped submarine was visually based on a real American submarine; Hergé had seen a picture of this in a German newspaper.[14] The diving suit worn in the story was also based on clippings that Hergé had accumulated. Similarly, the dockside bar depicted by the cartoonist was based on an illustration that he had collected.[15] The shop where Haddock and Tintin buy the diving equipment, including the suit, was inspired from a picture of a bar which was featured in the German magazine, Berliner Illustrirte Zeitung.[15] The tribal effigy found on a Caribbean island by Sir Francis Haddock was based on a Bamileke tribal statue from Cameroon that Hergé saw in a museum.[16] The Sirius, which had appeared before in The Shooting Star, was named after the SS Sirius, the first ship to cross the Atlantic Ocean solely under steam power, but was visually based upon the design of a trawler, the John-O.88. Hergé had sketched this ship in Ostend docks before obtaining both detailed plans of the trawler from the builders, Jos Boel & Son, and a small-scale model of it from a collector.[17] The undersea wreck of the Unicorn was loosely inspired by images of the wreck of a 17th-century Swedish vessel, the Vasa, which Hergé had collected.[18] The instance in the story in which a shark swallows a large box (that the characters hope contains the treasure) is based on a real account of a shark that swallowed a camera from the American underwater photographer Otis Barton, which Hergé had encountered in a French illustrated magazine.[15]

[注意:dockside bar] 作中に登場したビーカー教授のサメ型潜水艦は、実在のアメリカの潜水艦の外観をモデルにしたものであり、ドイツの新聞経由でエルジェはその写真を見ていた。 その他、潜水服や波止場の酒場は、エルジェが集めた作画資料用の切り抜きが活用されたものであった。 作中でハドックとタンタンがダイビング用品を購入する店は、ドイツ誌『Berliner Illustrirte Zeitung』に掲載された酒場の絵を参考にしている。 また、フランシス・ハドック卿がカリブ海の島で見つける部族の彫像は、エルジェが博物館で見たカメルーンのバミレケ族の彫像がモデルである。 『ふしぎな流れ星』にも登場したシリウス号の外観はトロール船John-O.88が元になっている。資料として、この船を建造したJos Boel & Son社から詳細な設計図やコレクターによる小型模型を得ていたが、その前にエルジェ自身がオステンドの波止場でスケッチしたものもあった。また、船名は蒸気船として世界初の大西洋横断を成し遂げたシリウス号にちなんでいた。 海底に沈むユニコーン号の外観は、17世紀スウェーデンの沈没船ヴァーサ号の絵が大まかに参照されている。また、作中で宝箱と思われた箱をサメが飲み込むシーンは、エルジェがフランスのグラフ誌で知ったアメリカの水中写真家オーティス・バートンが、カメラをサメに飲み込まれた実話が元になっている。

The brief appearance of Dr. Daumière, who warns Haddock to cease drinking alcohol, was an allusion to Hergé's own physician, Dr. Daumerie.[19][注釈 1] Hergé made a comical reference to the French comedian Sacha Guitry in the story by advertising a play by Guitry titled Me in which Guitry himself plays every role.[21][注釈 2]

作中でハドックに飲酒を咎めるためにわずかに登場するドーミエール医師は、同名のエルジェの主治医が踏まえられたものである。 また、作中でフランスのコメディアン、サシャ・ギトリにコミカルな言及を行っているのは、これはギトリの一人芝居の戯曲を宣伝する意図があった。

本紙連載と書籍出版

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ファイル:Haddock on the island, Red Rackham's Treasure.jpg
Hergé deemed this frame from the story to be one of his two favourites from the entire Adventures of Tintin.

Le Trésor De Rackham Le Rouge began serialisation as a daily strip in Le Soir from 19 February 1943.[22] The title of the new adventure had been announced in an advertisement in the newspaper two days previously.[23] In Belgium, it was then published in a 62-page book format by Editions Casterman in 1944.[24] Red Rackham's Treasure contained one of Hergé's two favourite illustrations from The Adventures of Tintin. It combines three actions encapsulating a sequence of events into one drawing: Haddock striding up the beach in the foreground, Tintin, Thomson and Thompson bringing the rowboat ashore in the midground, and the Sirius weighing anchor in the background.[25][注釈 3]

本作は1943年2月19日から1943年9月23日まで『ル・ソワール』紙上で日刊連載された(コミック・ストリップ)。 題名は連載開始の2日前に紙面で告知された。 日刊連載をまとめた書籍版は1943年にカステルマン社より62ページのフルカラー形式で出版された。 本作にはエルジェがシリーズ中で特にお気に入りであったという2つのシーンのうちの1つがある。それは、一連の出来事を1つの絵にまとめたコマであり、最前景でビーチを闊歩するハドック、その後ろで手漕ぎボートを岸に運ぶタンタン、デュポンとデュボン英語版、そして背景で錨を下ろすシリウス号が描かれているシーンである。

Rather than immediately embark on the creation of a new Tintin adventure, Hergé agreed to a proposal that Le Soir's crime writer, Paul Kinnet, would author a detective story featuring Thomson and Thompson. The story was titled Dupont et Dupond, détectives (Thomson and Thompson, Detectives), and was illustrated by Hergé.[27]

本作の連載終了後はそれまでと異なり、すぐに次作の製作には移らなかった。その代わり、『ル・ソワール』紙上で活動していた犯罪小説家のポール・キネットの提案により、デュポンとデュボン英語版を主人公とする探偵小説が連載されることになり、エルジェはその挿絵を担当した。

その後の出版歴

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The Secret of the Unicorn and Red Rackham's Treasure were the first two Adventures of Tintin to be published in standalone English-language translations for the British market, as King Ottokar's Sceptre had previously been serialised in Eagle in 1951. Published by Casterman in 1952, these two editions sold poorly and have since become rare collector's items.[28] They would be republished for the British market seven years later, this time by Methuen with translations provided by Michael Turner and Leslie Lonsdale-Cooper.[13] Farr reported that Red Rackham's Treasure is the best-selling story in The Adventures of Tintin,[8] while Harry Thompson referred to The Secret of the Unicorn-Red Rackham's Treasure arc as "the most successful of all Tintin's adventures".[29]

英訳版は1951年にイギリスの『イーグル』誌上で前編『なぞのユニコーン号』と共に連載された。これはシリーズで初訳となった『オトカル王の杖』に続くものであった。また、翌1952年にはカステルマン社より、英訳書籍版も刊行された。しかし、この2冊の売れ行きは悪く、結果として希少性が高いコレクターズ・アイテムとなっている。 その7年後にメシュエン社より再訳版がイギリス市場向けに出版された。

日本語版は、カラー版を底本に、1983年に川口恵子訳として福音館書店から出版された。福音館版は順番が原作と異なっており、本作はシリーズ4作目という扱いで、前編『なぞのユニコーン号』と共に同日出版された。

ファーによれば、本作がシリーズで最も売れた作品であり、またハリー・トンプソンは『なぞのユニコーン号』と合わせてシリーズで最も成功した作品としている。

書評と分析

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Harry Thompson stated that the Secrets of the Unicorn-Red Rackham's Treasure arc marked the beginning of the third and central stage of "Tintin's career". He furthermore stated that in these two stories, Tintin has been converted from a reporter into an explorer to cope with the new political climate.[7] He stated that in this story, Hergé "abandons the complex plotting of The Secret of the Unicorn in favour of an episodic style of adventure not seen since the early books".[30] Thompson further draws attention to the arrival of Calculus in the story, describing him as the "third and final member" of Tintin's "family".[30] Thompson was critical of the use of colour in the story, stating that much of it looks better in black-and-white, as it was originally printed in Le Soir.[31]

ハリー・トンプソンは前編の『なぞのユニコーン号』と合わせて、本作が、シリーズの歴史において第3期の中心的な作品であると指摘し、直面する政治情勢に対応するため、記者から探検家に変わっていったとも述べている。 その上で前作との差異として複雑なプロットを放棄したことを挙げ、初期作品に見られたエピソード形式の冒険だったと解説している。 また、ビーカー教授の登場に着目し、彼を「タンタン・ファミリーの3人目にして最後のメンバー」と表現している。 なお、トンプソンはカラー版には否定的であり、もともと『ル・ソワール』紙で掲載されていたモノクロ版の方が出来栄えが良いと述べている。

Hergé biographer Benoît Peeters observed that both The Secret of the Unicorn and Red Rackham's Treasure "hold a crucial position" in The Adventures of Tintin as it establishes the "Tintin universe" with its core set of characters.[32] He felt that while religious elements had been present in previous stories, they were even stronger in The Secret of the Unicorn and its sequel, something which he attributed to Van Melkebeke's influence.[33] Peeters believed that Red Rackham's Treasure was "an unforgettable book" because it is the volume in which the "family"—meaning Tintin, Snowy, Haddock, and Calculus—all come together.[34] Fellow biographer Pierre Assouline echoed this idea, noting that Hergé had "settled" the three characters in their new home.[35] Focusing on the character of Calculus, he noted that the idea of the eccentric professor was "so universal that it would be inaccurate to point to any one source", suggesting possible influences from Charlie Chaplin and Hergé's own father.[36] For Assouline, the professor embodies "the gentle madness and subtle humour in comic strips".[35] He added that both Red Rackham's Treasure and its predecessor "reveal Hergé at a new level in his art", and suggested that the reason for their popularity lay in the fact that they were "the visual continuation of a literary universe that stretches from Jules Verne to Pierre Benoit".[35]

エルジェの伝記を書いたブノワ・ペータースは、『なぞのユニコーン号』と本作は、主要人物達が物語世界を構築する点で、シリーズ上の重要な地位を占めていると指摘している。 また、これまでにも見られた宗教的要素について本作及び前編ではさらに強くなり、これはジャック・ヴァン・メルケベケの影響の可能性があると指摘している。 彼は本作を「いつまでも記憶に残る一冊」と評し、タンタン、スノーウィー、ハドック、ビーカーといった「家族たち」が一同に会した巻だからだと述べている。 同じく伝記を書いたピエール・アスーラインも、エルジェは3人の登場人物を新しい家に「定住させた(settled)」と評している。 彼はビーカー教授というキャラクターに焦点を当て、風変わりな教授というアイデアは「とても普遍的なモチーフのため、特定のモデルに絞ることは不正確」と指摘し、チャーリー・チャップリンやエルジェ自身の父親から影響を受けた可能性を挙げている。 また、彼はビーカーを「コミック・ストリップの穏やかな狂気と微妙なユーモア」を体現した存在だと述べている。さらに本作及び前作は「エルジェの芸術の新たなレベルを明らかにした」とし、その人気の理由として「ジュール・ヴェルヌからピエール・ブノワに至る文学世界の視覚的な継承」という事実にあると示唆している。

Jean-Marc Lofficier and Randy Lofficier opined that The Secret of the Unicorn-Red Rackham's Treasure arc represents "a turning point" for the series as it shifts the reader's attention from Tintin to Haddock, who has become "by far, the most interesting character".[37] They claim that the introduction of Calculus "completes the indispensable triangle that imbues Tintin with its mythic quality".[37] Asserting that here, Hergé's "art has reached a degree of near-perfection", they awarded it five stars out of five.[38] Michael Farr said that the scene introducing Calculus was "a comic tour de force" marking the start of the "rich vein of humour" that the character brought to the series.[13] Noting that unlike The Shooting Star, this two-book story arc contains "scarcely an allusion to occupation and war", he praised the arc's narrative as "perfectly paced, without that feeling of haste" present in some of Hergé's earlier work.[15]

Jean-Marc LofficierとRandy Lofficierは、5つ星中5つ星を与え、「(エルジェの)芸術はほぼ完璧なレベルに達した」と評した。 そして『なぞのユニコーン号』『レッド・ラッカムの宝』という前後編は読者の関心をタンタンから「間違いなく最も興味深いキャラクター」となったハドックに移した点において、シリーズの「ターニングポイント」とみなすことができると評した。 また、ビーカーの登場によって「タンタンに神話的な性質を吹き込む、不可欠なトライアングル構造が完成した」と指摘する。 マイケル・ファーは、ビーカーの紹介シーンは「コミックの傑作(tour de force)」とあると評し、このキャラクターがシリーズにもたらした「豊かなユーモアの鉱脈」の始まりだと指摘した。 また『ふしぎな流れ星』の時とは異なり、この前後編には「占領や戦争に関するほのめかしがほぼない」と指摘し、「完璧なテンポで、エルジェの初期作品に見られたような性急さがない」と称賛している。 また、『流れ星』とは異なり、この2冊からなるストーリー・アークには「占領と戦争に関する暗示がほとんどない」と指摘し、このアークの物語が「完璧なテンポで、(エルジェの初期の作品に見られるような)性急さがない」と称賛した。

翻案

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In 1957, the animation company Belvision Studios produced Hergé's Adventures of Tintin, a series of daily five-minute colour adaptations based upon Hergé's original comics. Red Rackham's Treasure was the fifth story to be adapted in the second series (and the eighth to be adapted overall), being directed by Ray Goossens and written by the cartoonist Greg. In later years, Greg would become editor-in-chief of Tintin magazine.[39]

1957年にブリュッセルのアニメーションスタジオ、ベルヴィジョン・スタジオによる『エルジェのタンタンの冒険』においてアニメ化された(日本語版は『チンチンの冒険』)。1話5分のカラー作品であり、第2シリーズの5番目のエピソードとして放映された。この脚本を担当したのは後の『タンタン・マガジン英語版フランス語版』の編集長を務めるミシェル・グレッグ英語版フランス語版であった[39]

In 1991, a collaboration between the French studio Ellipse and the Canadian animation company Nelvana adapted 21 of the stories into a series of episodes, each 42 minutes long. Red Rackham's Treasure was the tenth episode of The Adventures of Tintin to be produced, although it ran half as long as most of the others. Directed by Stéphane Bernasconi, the series has been praised for being "generally faithful", with compositions having been actually directly taken from the panels in the original comic book.[40]

1991年から1992年に掛けて放映されたカナダのアニメーション製作会社のネルバナとフランスのEllipseによる『タンタンの冒険英語版』(Les Aventures de Tintin)において映像化された[40]。1話30分の2話構成になっている。

A 2011 motion capture feature film directed by Steven Spielberg and produced by Peter Jackson was released in most of the world October–November 2011, under the title The Adventures of Tintin: The Secret of the Unicorn,[41] and in the US on 21 December, where it was simply titled The Adventures of Tintin.[42] The film is partially based on Red Rackham's Treasure, combined with elements of The Secret of the Unicorn and The Crab with the Golden Claws.[41] A video-game tie-in to the movie was released October 2011.[43]

2011年には本作と前編『なぞのユニコーン号』をメイン原作として、スティーヴン・スピルバーグピーター・ジャクソンの共同制作によるモーションキャプチャーによる長編アニメ映画『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』が製作された。2011年10月から11月にかけて世界公開され、本国アメリカでは12月21日に公開された(アメリカでのタイトルは単に『タンタンの冒険』)。他に『金のはさみのカニ』も一部参照されている。 また、タイアップしたテレビゲームも製作され、2011年10月にリリースされている。

脚注

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注釈

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  1. ^ In the English translation, Dr Daumière becomes Doctor A. Leech.[20]
  2. ^ Haddock walks into a post on which is a poster for this play, on page 2.
  3. ^ The illustration is in the upper left frame on page 25.[26]

出典

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  1. ^ Assouline 2009, pp. 70–71; Peeters 2012, pp. 116–118.
  2. ^ Assouline 2009, p. 72; Peeters 2012, pp. 120–121.
  3. ^ Goddin 2009, p. 73; Assouline 2009, p. 72.
  4. ^ Assouline 2009, p. 73; Peeters 2012.
  5. ^ Thompson 1991, p. 99; Farr 2001, p. 95.
  6. ^ Thompson 1991, p. 99.
  7. ^ a b Thompson 1991, p. 112.
  8. ^ a b Farr 2001, p. 105.
  9. ^ Peeters 1989, p. 76.
  10. ^ Peeters 2012, p. 147.
  11. ^ Goddin 2009, p. 119.
  12. ^ Thompson 1991, p. 118; Farr 2001, p. 105; Assouline 2009, p. 91; Peeters 2012, p. 147.
  13. ^ a b c d Farr 2001, p. 106.
  14. ^ Thompson 1991, p. 119; Farr 2001, p. 112.
  15. ^ a b c d Farr 2001, p. 112.
  16. ^ Thompson 1991, p. 119.
  17. ^ Farr 2001, p. 111; Horeau 2004, p. 22; Goddin 2009, p. 120.
  18. ^ Horeau 2004, p. 30.
  19. ^ Goddin 2009, p. 120.
  20. ^ Hergé 1959, p. 11.
  21. ^ Lofficier & Lofficier 2002, p. 54.
  22. ^ Lofficier & Lofficier 2002, p. 52; Goddin 2009, p. 116.
  23. ^ Goddin 2009, p. 116.
  24. ^ Lofficier & Lofficier 2002, p. 52.
  25. ^ Thompson 1991, pp. 119–120.
  26. ^ Hergé 1959, p. 25.
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  28. ^ Thompson 1991, p. 121; Farr 2001, p. 106.
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  31. ^ Thompson 1991, p. 120.
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  33. ^ Peeters 2012, p. 144.
  34. ^ Peeters 2012, p. 146.
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  43. ^ IGN 2011.

参考文献

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外部リンク

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