利用者:Deer hunter/ジューン・タルペ・ミルズ
ジューン・タルペ・ミルズ(June Tarpé Mills、1912年2月25日 – 1988年12月12日)は米国人の漫画家で、女性漫画家として先駆者の一人。代表的なキャラクター『ミス・フューリー』は女性によって作られた最初の女性アクションヒーローだった[1][2]。
来歴
[編集]ミルズはモデルとして働きながらプラット・インスティテュートで学んだrobbins68。当初はファッション関係のイラストレーションを描いていた[print]。1938年までにコミックを描き始めたが、当時は女性漫画家への偏見があったためファーストネームを隠して「タルペ・ミルズ」を名乗った[2]。活動初期に作り出したアクション・ジャンルのコミックキャラクターにはデビルズダスト、キャットマン、パープルゾンビ、デアデビル・バリー・フィンがいる[3]。初期に原作、ペンシル、インクを手掛けたシリーズにはFunny Pages, Star Comics, Amazing Mystery Funnies, Amazing Man Comics, Masked Marvel, Prize Comics, Target Comics, Reg'lar Fellers Heroic Comics が挙げられる[4]。
代表作となる『ミス・フューリー』は1941年から1952年まで描かれた。同作の人気が高まるにつれ、作者が女性であることも報じられるようになった[5]。連載終了後は半引退の状態になった[2]。1971年に短期間復帰してマーベル・コミックスで Our Love Story を描いた。1979年には『ミス・フューリー』の長編に着手したが完成しなかった[6]。
ミルズは1988年12月12日にニューヨーク市ブルックリンで死亡し、ニュージャージー州モーガンヴィルに埋葬された[1]。2019年7月19日にアイズナー賞殿堂に迎えられた。
ミス・フューリー
[編集]「ミス・フューリー」[注 1]はベル・シンジケートを通じて1941年4月6日付けから配信され始めた。女性ヒーローの草分けとして知られるワンダーウーマンより8カ月早かった。1942年から1949年にかけて351週にわたって各紙の日曜版にカラーで掲載され、タイムリー・コミックスから再録版コミックブックが刊行された。最盛期には100紙以上に配信され[7]、コミックブック100万部以上が発行されていたrobbins69。
ミス・フューリーは耳や尾がついた黒い豹皮のボディスーツを着たヒーローで[8]、その正体である女名士マーラ・ドレイクはミルズ自身を外見的モデルにしていた。主な敵役にはナチスの工作員エリカ・フォン・カンプとブルーノ将軍や[3][9]、ギャングで女装愛好家のウィッフィがいる[prints]。
第二次世界大戦中にヨーロッパや南太平洋に配備された米軍戦闘機のうち3機の機首にミス・フューリーの絵がペイントされていた[3][9]。ミルズはコスチュームを半分脱いだミス・フューリーのセクシーな絵を米軍兵士に送っていた[prints]。同作に登場するペルシャ猫ペリー・パーのモデルとなったミルズ自身の飼い猫は、マスコットとして米軍艦の航海に帯同したと報じられているrobbins68。
第二次世界大戦後、従軍していた男性が米国社会に復帰し始めると、アクション・ジャンルのコミックは主に男性漫画家が手掛けるようになり、女性が描く女性ヒーローはほとんど見られなくなったrobbins71。ミス・フューリーも歴史の中に埋もれていたが、コミックにおける女性史の研究家でフェミニストのトリナ・ロビンスによって再評価が行われた[giggle]。漫画家でもあるロビンスはミルズのノワール風で艶っぽい作風に影響を受けた作品を描いている[prints]。
ファッション
[編集]ミルズの作画は「美しく魅力的」と評されており、特に女性主人公の服装に注意が払われていたrobbins68[1][10]。衣装はイブニングドレスやランジェリーから水着やスポーツウェアまでバラエティに富んでいた。連載後期のミス・フューリーは黒豹風のヒーロースーツを着ずに一般的なファッションで活動するようになった[giggle]。ファッションへの目配りは同時代の女性漫画家ダリア・メシック(やはり男性名デール・メシックで活動していた)の『記者ブレンダ・スター』にも共通しており、当時の男性漫画家が女性主人公に「簡素な赤いドレス」ばかり着せていたのと好対照をなしていた[11]。
『ミス・フューリー』のコミックブック版では、切り抜き着せ替え人形の付録ページが初めて登場した。女性コミック史の研究家トリナ・ロビンスはこれを理由に同誌が女の子の読者を想定していたと推測している。ミルズはファンレターで絵を送ってほしいと書いてきた若年の女性にこの種の紙人形を送り返していた[12]。
規制
[編集]『ミス・フューリー』は「鞭打ち、スパイクヒール、キャットファイト、ランジェリーシーン」のようなフェティシズムを扱っていた[2]。1947年には大胆なビキニを着たナイトクラブの女性を描いたため、配信紙のうち37紙に即日連載を打ち切られたrobbins68[prints]。日曜版「ミス・フューリー」第10回(1941年6月8日)で描かれた水浴びシーンは新聞には掲載されたものの、タイムリー・コミックスのコミックブック版には収録されなかった。
"The only outrage I have seen were those newspapers that censored Mills's strip in which she dressed her nightclub entertainer character, Era, in an outfit that would not bother us in the least today. But it obviously shocked the pants – yes, verbal joke intended – off some people."[12]
作風
[編集]『ミス・フューリー』におけるミルズの作画はミルトン・カニフの絵柄の影響下にある。数コマにまたがるアクションシークエンスや、姿勢や表情の自然さは「映画的」と呼ばれており、フィルム・ノワール風とも評される[13]。またミルズのキャラクターアートは「ピンナップにぴったり」とされている[14]。
エクリプス・エンタープライズの編集者・出版者ディーン・ムラニーは「[ミルズの] 絵は非常に伝統的なものだ。驚きはないし、あっと言わせるような瞬間もない」と評している。
イヴィー・ネイジーはロサンゼルス・レビュー・オブ・ブックスにおいて「ミルズのシークエンシャル・アートは完璧に自然に流れて見える」と書いている。
影響
[編集]文学研究者ヴィクトリア・インガルスは2012年の論文で、ポップカルチャーに見られる女性スーパーヒーローのうち女性の作者によって作られたのは11人しかいないと書いている。ミルズのミス・フューリーはその中でもっとも早く登場したキャラクターである[giggle][15]。
マイク・マドリッドは著書 The Supergirls において、ミス・フューリーがコミック黎明期の女性ヒーローの典型に含まれると述べ、ファントムレディ、スパイダーウィドウ、ミス・マスク、レディ・ラックを例に挙げた。これらのキャラクターはいずれも社交界に出入りする資産家の息女で、礼儀としきたりに縛られる退屈な生活を送っていたが、スリルを求めて覆面のヒーローとして犯罪との闘いに身を投じる。マドリッドは特に、ミルズによるマーラ・ドレイク(ミス・フューリーの正体)の描写には女性作家ならではの現実感があると書いている。
受賞と表彰
[編集]2012年、Miss Fury: Sensational Sundays 1941-1944 がアイズナー賞の再録書籍部門にノミネートされた[16]。2019年に同賞の殿堂に入った[17]。
作品目録
[編集]- Funny Pages (1936)
- Star Comics (1939)
- Amazing Mystery Funnies (1939)[24]
- Daredevil Barry Finn vol. 2, #4-5, #9, #11-12, and vol. 3 #1
- Amazing Man Comics (1939)
- Masked Marvel (1940)
- "The Vampire" #2[28]
- "The Vampire" #2[28]
- Prize Comics (1940)
- "Birth of a Barnstormer" vol. 1, #1[29]
- "The Rescue of Lt. Andre" vol. 1, #1[29]
- "The Diamond Smuggler" vol. 1, #2
- "The Lost City of Tsol" vol. 1, #2
- "Murder of a Mail Pilot" vol. 1, #3[30]
- "Marco Hawk's Big Score" vol. 1, #3[30]
- "Mamba Island" vol. 1, #4[31]
- "The Witch Doctor's Waterloo" vol. 1, #5[32]
- "The Search For Kalobi" vol. 1, #6[33]
- Target Comics (1940)
- "The Maskless Axeman" vol. 1, #1[34]
- "Ninety Seconds For No. 91" vol. 1, #2[35]
- "Devil's Dust" vol. 1, #2[35]
- "Dance of Death" vol. 1, #3[36]
- "The Music Monster" vol. 1, #4[37]
- "Ezekiel's Ark" vol. 1, #5[38]
- "The Blue Zombie" vol. 1, #6[39]
- "Boomerang" vol. 1, #9 and #11[40][41]
- "Sword of Destiny" vol. 1, #10[42]
- "Satan's Colors" vol. 1, #12[43]
- "The Three Mutineers" vol. 2 #1[44]
- Reg'lar Fellers Heroic Comics (1940-1942)[45]
- Issues 1-12 (Purple Zombie series)
- Miss Fury (1941-1952)
- Our Love Story (1969)
- "Model With a Broken Heart" #14[46]
- Unpublished and unfinished Miss Fury graphic novel (1979)[6]
没後の刊行
[編集]- Miss Fury: Sensational Sundays 1944-1949
- Miss Fury: Sensational Sundays 1941-1944 (2013)[6]
- CBLDF Presents: She Changed Comics (2016)[47]
- Men of Mystery Comics #104 (2017)[48]
- Prize Comics (2017)[49]
脚注
[編集]- Tarpé Mills at the Grand Comics Database (list of stories)
- 公式ウェブサイト
[[Category:アイズナー賞殿堂入りの人物]] [[Category:20世紀アメリカ合衆国の女性著作家]] [[Category:20世紀アメリカ合衆国の著作家]] [[Category:女性の漫画原作者]] [[Category:アメリカ合衆国の漫画原作者]] [[Category:1988年没]] [[Category:1912年生]]
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