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利用者:Catawara/sandbox

体性認知協調療法(Somato-Cognitive Coordination Therapy、SCCT)は、株式会社mediVR(開発者&代表取締役社長 原正彦医師)の提唱する新しい治療手法の名称。仮想現実技術を応用したリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」の提供する特殊な環境で行われる。学術誌では2024年4月1日公開のJ Parkinsons Dis誌(PMID: 38607764 DOI: 10.3233/JPD-240011)[英語文献7]、日本語では2023年11月30日公開のPrecision Medicine誌[日本語文献15]で初めて本用語が用いられた。

治療の原理

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SCCTは、身体感覚と認知の間の相互作用を重視し、患者自身が自己の身体をより良く理解できるようなアプローチを無意識に行うことで、身体の動きや注意機能の向上を図る手法だと理解されている。大阪大学医学部附属病院との産学連携活動によって開発が進んだ。 下図は2023年にNatureに報告された一次運動野のマッピング地図である。ペンフィールドのホムンクルスとしてよく知られた図左の古典的地図が、機能的MRIの解析により右図のように書き換えられた。すなわち、この新しい地図ではマリオネットの操り人形で示されるように、体性認知情報ネットワーク(Somato-Cognitive Action Network、SCAN)と呼ばれる協調運動を司る部位の存在が新たに指摘されている(PMID: 37076628 DOI: 10.1038/s41586-023-05964-2)。また、手、足、口等の基本領域が近位部を中心として同心円状(冠状断では左右対称)に分布している点も重要である。SCCTは、このSCANの絡まりを可視化し、紐解くような介入を行う治療であると認識されている。

治療方法

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SCCTのプログラムは原則として座位で行われ、患者は左右交互にリーチングを行う。最初に没入型のヘッドマウントディスプレイを装着し、左右の手にコントローラーを把持。自身の身体の見えない環境で、身体の延長線上であるコントローラーを、VR空間の特定の座標に重ねるような「点推定(てんすいてい)」と呼ばれる仕組みを利用する。「mediVRカグラ🄬」の持つこの特殊な環境下(身体が見えず点推定を行う)では、意図する動きと関係のない関節に不随意運動が生じ、これを「関節連関(かんせつれんかん, articular linkage:AL)」と呼ぶ。SCCTでは、ALを指標にSCANの絡まりの場所を同定し、治療を行う。従って、治療内容は個別の患者の状態に応じてカスタマイズされる。治療は、専門のリハビリテーション医師やセラピストによって実施され、1回20-40分程度行われることが多い。治療効果は回数依存性に良くなると考えられており(1日1時間やるより、20分のSCCTを3日間にわたって行った方が有効)、突然発症の疾患の場合、治療効果は手続き記憶的に保持されると考えられている(慢性疾患の場合の治療効果継続率は疾患によって大きく異なる)。

効果と応用

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SCCTは身体機能のみならず、認知機能に対しても介入効果が示されており、脳血管疾患から神経変性疾患、外傷や整形外科疾患、小児発達疾患等多岐に渡って応用が進んでいる。最新のYouTube講演動画がmediVR社ホームページの製品紹介ページに随時更新されているため、最新の知見についてはそちらを参照のこと。


研究と展望

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SCCTに関する研究はまだ初期段階にあるものの既にいくつかの臨床試験からその効果が示唆されている。今後、さらなる研究によって治療の有効性と適用範囲が拡大することが期待される

治療可能施設

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SCCTはmediVRの運営する mediVRリハビリテーションセンター東京
mediVRリハビリテーションセンター三鷹サテライト(東京)
mediVRリハビリテーションセンター大阪
mediVRリハビリテーションセンター福岡
4施設、またはホームページに記載されている導入施設で受けることができる。

認定制度

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SCCT Interventionistの能力はブロンズ(基本操作ができる初心者: entry-level or novice therapist)、シルバー(基本治療ができる中級者: intermediate or skilled expert therapist)、ゴールド(十分な治療を独立して行え、人材の育成もできる上級者: master therapist or proctor)、プラチナ(認定証の発行ができる実力と経験の持ち主)の4段階に分類されている。

別名

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体性認知協調療法(商願2023-135282)にはいくつかの別名がある。 単にSomato-Cognitive Coordination(商願2023-135283)、AbbreviationとしてのSCCT(商願2023-135284)、または過去にはBrain Reprogramming Therapy(商願2023-063058)、脳再プログラミング療法(商願2023-063059)、Brain Rewiring Therapy(商願2023-063060)、脳再編療法(商願2023-063061)、Motor Coordination Therapy(商願2023-063062)、運動協調療法(商願2023-063063)等とも呼ばれている。

参考

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mediVRカグラ  日本におけるクラス1医療機器。一般名は測定機能付き自力運動訓練装置

 会社ホームページ:https://www.medivr.jp

 mediVR社の提供する体性認知協調療法に関するパンフレット  米国FDAには「mediVR KAGURA®」の名称でクラス2医療機器として登録されている。

文献

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【英語論文】

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8. Kitano M, Nakamoto M, Kawanishi K, Hara M, Kudo S. Analysis of muscle thickness changes in the lateral abdominal muscles during exercise using virtual reality. J Phys Ther Sci. 2024. in press..
7. Hara M, Murakawa Y, Wagatsuma T, Shin moto K, Tamaki M. Feasibility of somato-cognitive coordination therapy using virtual reality for patients with advanced severe Parkinson’s disease. J Parkinsons Dis. 2024 [Epub ahead of print].
6. Yamaguchi T, Miwa T, Tamura K, Inoue F, Umezawa N, Maetani T, Hara M, Kanemaru S. Temporal virtual reality-guided, dual-task, body trunk-balance training in a sitting position improved persistent postural-perceptual dizziness: proof of concept. J NeuroEngineering Rehab 2022;19:92.
5. Michibata A, Haraguchi M, Murakawa Y, Ishikawa H. Electrical stimulation and virtual reality-guided balance training for managing paraplegia and trunk dysfunction due to spinal cord infarction. BMJ Case Rep 2022;15:e244091.
4. Nakamoto M, Kakuda A, Miyashita T, Kitagawa T, Kitano M, Hara M, Kudo S. Seated virtual reality-guided exercise improved gait in a postoperative hallux valgus case. Int J Environ Res Public Health 2021;18:13267. 3. Takimoto K, Omon K, Murakawa Y, Ishikawa H. Case of cerebellar ataxia successfully treated by virtual reality-guided rehabilitation. BMJ Case Rep 2021;14:e242287.
2. Omon K, Hara M, Ishikawa H. Virtual reality-guided dual-task body trunk balance training in a sitting position improved walking ability without improving leg strength. Prog Rehabil Med 2019;4:20190011.
1. Hara M, Kitamura T, Murakawa Y, Shimba K, Yamaguchi S, Tamaki M. Safety and feasibility of dual-task rehabilitation program for body trunk balance using virtual reality and three-dimensional tracking technologies. Prog Rehabil Med 2018;3:20180016.


【日本語論文】

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17. 村川雄一朗、仲上恭子、新本啓人、原正彦. 仮想現実技術を用いた脳再プログラミング療法が脳性麻痺患者の痙縮に及ぼす効果. 神経治療学 2024 in press.
16. 原正彦. 仮想現実(Virtual Reality)技術を用いた離床練習. Early Mobilization Journal 2024;10:1-5.
15. 原正彦. 仮想現実(VR)技術を用いた最新リハビリテーション医療. Precision Medicine 2023;6:1031-1034.
14. 原正彦. 仮想現実(VR)技術を用いた新しい転倒予防. 治療 2023;105:1270-1275.
13. 原正彦, 村川雄一朗, 新本啓人. Virtual Reality技術を用いた回復期リハビリテーション医療の未来. 臨床リハ 2022;31:1226-1232.
12. 村川雄一朗, 東福隆太郎, 國師美里, 原正彦. VR 技術を活用した在宅リハビリテーション医療の展望. 建築保全センター「Re」 2022;10:30-33.
11. 土田直樹, 松本憲二, 坂本洋子, 酒田耕, 児玉典彦, 道免和久. 注意機能障害と同名半盲に virtual reality(VR)機器を用いた訓練を回復期病棟で行った脳梗塞の一例. リハビリテーション科診療 2022;1:21-27.
10. 北野雅之, 原正彦. 仮想現実(VR)技術がもたらす新時代のリハビリテーション革命. NOMURA Healthcare note 2022;22:1-11.
9. 村川雄一朗, 原正彦. VR技術を用いたリハビリテーション医療の工学的理論背景.リハビリテーションエンジニアリング 2022;37:122-126.
8. 原正彦. リハビリテーション医学における仮想現実(VR)技術を用いたトレーニング. 総合リハ 2022;50:351-358.
7. 原正彦. ゲームがつくる患者の未来 -リハビリにおけるVRゲーム技術の応用. 日本臨床麻酔学会誌 2022;42:106-110.
6. 市川昌志, 児玉典彦, 奥村友香, 中川はるか, 金谷実華, 斎藤卓仁, 兵谷真司, 松島聡子, 岩佐沙弥, 内山侑紀, 道免和久. 延髄外側症候群を合併した小脳梗塞にVR(Virtual Reality)技術を応用したリハビリテーション治療を実施した1例. リハビリテーション科診療 2021;1:18-22.
5. 原正彦. VR技術のリハビリテーション医療への応用. 臨床リハ 2021;30: 877-880.
4. 原正彦. VRを活用したリハビリテーション. medicina 2021;58:864-867.
3. 原正彦. VRリハビリ機器開発を通した医工連携による事業化の考え方と実際. BIO INDUSTRY 2020;37:39-46.
2. 原正彦. 仮想現実(VR)技術を用いたリハビリテーションは慢性疼痛患者の福音となるか? 運動器疼痛学会誌 2020;12:90-93.
1. 原正彦. Virtual realityを利用した理学療法. 理学療法ジャーナル 2020;54:90.