利用者:青子守歌/12月第1週のMediaWikiシステムメッセージ変更について
今回の一連のシステムメッセージの変更(translatewiki.netにおける2010年12月2日から3日の編集)により、ウィキペディア日本語版の利用者の皆さまに、混乱を招きその結果、不愉快な思いをさせたことについて、まずはここに深くお詫び申しあげます。 また、12月9日深夜から10日朝にかけて、IRC上でご助言やご指摘をしていたたいだ皆さまには、お礼申しあげます。
起こったこと、そしてそれによる影響というのは、皆さま既にご存知あるいは体験していただいていることですから、ここでの説明は省かせていただきます。
当初は、現時点でこのような文章を公開することは、想定しておりませんでした(理由は後述します)。 しかし、先のIRC等でのご助言を受けて、ここにこれを記すものです。 ただし、あくまで私自身の主観であって、また、これが疑いようもなく完璧である、ゆえに、これを説明したからと言って批判を無視してよいようになるとは全く思っておりません。 この文章の意図することは、今回の変更について、そこに至った経緯と私の意図をお伝えし、これからのコトを進めるにあたっての判断材料にしていただこうというものです。
変更の目的と目標
[編集]なぜ今回の変更をしたのか、よりもまず、この変更が何を目指していたのかを先にご理解いただければと思います。 以降の行動は、最終的にこの目的のための行動であり、途中の過程で得られた影響や結論は、付随的なものにすぎません。
さて、では目的とは何かと申し上げると、それは直接的には、「MediaWikiの地域化の質の向上」であり、すなわち、ウィキメディアの使命である「あらゆる知識の集合を、全人類が自由に共有できる世界」の実現への貢献が目的です。 これがまず最終的な目標としてあり、今回の行動、あるいはこれまで、あるいはこれからの私の行動は、すべてこのためであり、それ以上でもそれ以下でもそれ以外でもありません。
その上で、前目標を達成するための、もう少し実務的な小さな具体的目標として、今回の変更は、MediaWikiの地域化における訳語や語調、その他、様々な面でその統一性を図ること、そして統一性を高めることで、その質の向上へつなげることを目指しています。
今回の変更が、果たしてこの目標を実際に達成出来るのか、現時点では分かりません。しかし少なくとも、今回の変更で、この目標に少し近づいている(以降で述べます)と私は考えていますし、どのようにであれ、最終的には、それは達成されるだろうと考えています。
目標の達成期限と荒い翻訳
[編集]目標とその達成期限は必ずくっついているもので、今回の件もただやみくもにダラダラと続けるものではありません。 具体的な目標期間としては、MediaWikiの次バージョン1.17のリリースまでが想定されています。 具体的にはこの変更を計画し始めた時点では「まだ分からないけど、しばらく先」という程度にしか分かりませんでしたが、つい先日、1.17がブランチに入ったことが発表されたため、そう遠くない(数ヶ月程度)と予想されています。
いずれにしても、期間としては、その程度までの達成を目指したもので、現在の翻訳は、それまでの叩き台としての性質が強く、また同時に、まだ一通りの翻訳をしかも翻訳指針案の洗い出しと同時に行なっただけであり、「荒い翻訳」(中には、相当ひどい翻訳)であることに異を唱えることはできません。その荒さについて、通常時よりかなり、目を瞑り、許容したものでもあります。 これはつまり、今回の現時点での翻訳は、この先ほかの方々の意見や修正が加えられ、精錬されていくべきものであって、このままの使用を必ずしも想定していないものであるということを意味します。 また、これは、私の、今回の「一通りの翻訳と翻訳指針案の洗い出し」を目指したスケジュールにおける最大限の努力の結果であり、意図して荒い翻訳に、あるいは改悪を目指したものではないことも、加えて述べさせていただきます。
ウィキメディアのウィキ(ウィキペディア日本語版)への影響
[編集]まず技術的な話として、ウィキペディア日本語版を含む、ウィキメディアのウィキでは、mw:Extension:LocalsationUpdateという拡張機能を導入しており、これは、MediaWikiの次のリリースなどをまたずとも、translatewiki.netにおけるMediaWikiメッセージ(MediaWiki名前空間の文章)の翻訳を、そのままそのウィキに即時に(といっても、最大で1-2日の遅延がありますが)反映させる機能です。 また、MediaWiki自体も、MediaWiki開発の本流とは異なる1.16wmf4というバージョンを用いており、メッセージ以外の、マジックワードや名前空間についても、変更が確認され次第、こちらはコミッター権限を持つスタッフにより手動で適用されます。
つまり、translatewiki.netでの翻訳をしてしまうと、それが例えどんなものであっても、MediaWiki本体のリリースとは関係なく、ウィキメディアには早いうちに導入される、ということです。 今回、「MediaWikiの翻訳の統一」を目標にした、その手前の荒い翻訳がウィキペディア日本語版およびその他のウィキメディアのウィキに反映させられ、利用者のみなさまに混乱を生じさせたのは、この機能によるものです。
そして、では今回のこの「荒い翻訳」が、ウィキメディアのウィキに展開されている状況が、その機能による不足の事態なのかというと、実のところ、それはそうではありません。 荒い翻訳でも一旦保存してしまえば今回のようなことが起こること、「荒い」翻訳が展開されることによるどれほどの影響や混乱が起きるかについて、最初から私が分かった上で、あえて強行したということは、疑いようもない事実です。これについては、一切の申し開きはありません。 少なくとも、現時点での影響や反応は、事前に覚悟(想定)されていた範囲内におさまっています。
これほどの影響を事前に分かっていながら、なぜ強行したかについては、次で述べます。
変更までの経緯と、変更を強行した理由
[編集]私が今回この変更を強行した理由は、複数の事象による複合的なものであり、簡単に「コレだから」と言えるものではありません。 そのため、今回の変更を実施する前までの経緯を交えながら、ここでその理由を述べさせていただきます。
まず私がtranslatewiki.netあるいはウィキメディア、ウィキペディア日本語版に参加する前から、MediaWikiの地域化は行なわれていました。 当初は、各ウィキのローカルで(ウィキペディア日本語版でも、ある時点までは実際にこのウィキのみでメッセージを翻訳していました)、その後、betawiki→translatewiki.netとなり、その間、この地域化や翻訳については、たくさんの人々からの貢献がありました。1つ2つのメッセージだけを翻訳した人もいれば、しばらくの間、MediaWikiの地域化における主力となった方もおられます。
そのおかげで、現時点のMediaWikiの日本語への翻訳の達成率は、非常に高いものとなっており、MediaWiki本体だけで99.9%以上、全拡張機能に対してでも99%以上のメッセージの翻訳がなされている状態を維持してきました。 しかし一方で、各翻訳者がそれぞれ翻訳した結果、その内容はあまり統一されておらず、例えば"user"に対しても利用者(これが大半ですが)以外に、ユーザー、ユーザなど表記に揺れがあり、また、その表現も、概ね敬体で統一されているものの、中には常体で書かれていたり、元のメッセージにある一文がまったく抜け落ちていたりと、翻訳の質から言えば「なんとか問題なく動かせる」ものでした。そのため、他言語(といっても、私自身は英語の他にドイツ語を少々読める程度なので、ほぼドイツ語に限りますが)の翻訳、あるいは、他のオープンソースソフトウェアの翻訳に比べ、とても質の面で比べられるものではなく、また、翻訳の不統一による問題は、translatewiki.netの日本語翻訳者コミュニティー(が活発だった頃に)でも何度か問題になったものの、その解決策を見いだせないまま放置されてきた問題でした。
一方で、ここ最近のtranslatewiki.netにおける日本語の翻訳の活性度は低く、事実上、私一人で担当してきました。 説明するまでもなく、このようなシステムは非常に問題があるもので、これを打開するため、これまでも機会があるごとに周囲にこの状況を説明してきました。 実際にtranslatewiki.netでの活動を勧誘出来る人、つまり、ソフトウェアの地域化、MediaWikiとウィキメディア(ウィキペディア日本語版)とtranslatewiki.netの関係とその違いについて、ある程度理解があり、かつその意欲を維持してもらえる人は決して多くはなく、そのような能力のある方々は、既に他の分野(ウィキメディアに限らず)で貢献があり、translatewiki.netの活性度はあがることはありませんでした。
つまり、変更を強行した理由の1つは、MediaWikiの日本語翻訳の質の悪さ(相対的)をウィキペディア日本語版を含めMediaWikiのウィキの利用者として、またtranslatewiki.netの翻訳に携わってきたものとして、この質の悪いまま放置しておくことは受け入れることは到底考えられませんでしたが、そしてその活性度の低さからも、ここで誰かがやらなければ、きっと誰にも気づかれないまま放置されていくだろうという状況であって、それを無理矢理にでも、という想いがありました。
事実、現在の結果として、ウィキペディア日本語版あるいはtranslatewiki.netでは、ここ最近では考えられない活性度で、MediaWikiの地域化について議論がなされています。 状況だけ見れば、先の想いは果たされており、この状況は、私自身、狙ったことであるとも言えます。 そのような状況がどうして作り出されたのか、どんな思いでそのような議論を強制されているかについては、私はそれを理解していると考えていますし、最初からそうなることは覚悟の上でした。また、そのような「強制的に顔をこちらに向かせる」という手法は、決して良い方法ではないと自覚していますし、やるにしても事前にどこかに相談するべきだったのではないか、という意見はもっともだと思います。
一方、別の問題として、(LocalisationUpdateによる)公開前の下書き翻訳を、translatewiki.net内などで広く共有、通知するためには、編集を保存する以外に効果的な方法がなかったことも、その翻訳が例え荒いものだと分かっていても、変更を強行した理由の1つです。 これは主にtranslatewiki.netのシステムの問題として、スタッフの人にも1-2度改善を求めましたが、今日までその解決には至っていません。これは、translatewiki.net自体の人的資源が豊富でなく、日常の業務以外のこと、コトいち言語の翻訳者からの依頼にほとんど手をかけられていないということにも起因します。 ただし、これはtranslatewiki.net側が悪いというわけではなく、ましてや現在のスタッフが悪いというわけではありません。彼らは、最大限の貢献をしてくれていますし、それは非常に有難いことで、その恩恵を受けられることは非常に幸せなことです。 ただ単純に、現在のシステムでは、変更を行ないそれを共有するには、それを保存し、つまりLocalisationUpdateによる展開を許容せざるをえなかった、そしてそれを許容してでも、私はMediaWikiの翻訳の質の向上を目指そうとした、ということです。
もちろん、これらの理由があろうとも、変更を強行せず他にもっと良い方法があったのではないか、少なくともこんな大胆な強制的な方法はとるべきではなかったのではないか、そのような疑問は尽きません。 しかし、最近のtraslatewiki.netでは、そのようなことについての相談でさえ難しい状況であったということも、事実でした。
これら含めて、複数の事柄を複合的に考え、懸念材料があることも承知の上で、最終的に変更を強行する方が、最初に述べた「目標」あるいは「目的」を達成するによりふさわしいと判断し、実行したということが経緯になります。
これから(私的なこと)
[編集]目的と目標、理由と経緯は以上述べたとおりです。 そしてこれらが引き起こしたことについて、これから私自身はどうするつもりなのか(だったのか)について、記します。
まず、translatewiki.netでの今後の活動については、他の方々へ引き継いでいければ、と思っています。 元々が「やる気がある」とか「地域化が楽しい」などという積極的な理由で地域化に関与していたわけではなく、「誰もやらないから、とりあえず自分がやっておこう」という消極的な気持ちで始めたものですし、私の目的は、私が地域化をすることではなく、最初に述べた通り、「MediaWikiの地域化の質の向上により、ウィキメディアの目指すものに貢献する」というものですから、私より質がよい翻訳が可能で、積極的に参加され、MediaWikiの質の向上(維持、ではありません)を可能とする方々が現れれば、自然と私の出る必要はなくなるだろうと思います。なにより、私自身の負担が減るわけですから、それは歓迎こそすれ、拒否する理由はありません。 あるいは、translatewiki.netにおいて、MediaWikiの地域化の質の向上に対して、私の活動が障害でしかなく関与を拒否するという意見でまとまるのであれば、それも私は受け入れざるを得ないでしょう。そこを押し通すことは、もはや「意見を聞かない」荒らしと同類です。 もしそのようなことが起こりそうになければ、私はその目的を達するため、これからもtranslatewiki.netで議論し、関与し続けるつもりでいます。少なくとも、自分で始めたこの「MediaWiki翻訳の統一」については、始めたものの責任として、それが達成出来る状況にはしていく所存です。
また、ウィキペディア日本語版あるいはウィキメディアのウィキにおける活動については、今のところ、今回の変更によって、ウィキ上での活動を制限、具体的には現在保持している利用者グループの権限から離れたり、各ウィキでの編集や議論あるいはその権限を使った作業(即時削除など)を永久あるいは有期であっても中止するということは考えていない、ということをここに明記させていただきます。 今回のこの変更は、translatewiki.netだったからこそ起きえた、このように判断されたものであり、これを他のウィキ、ましてはtranslatewiki.netとはコミュニティーの規模もなにもかもが違うウィキペディア日本語版で、同じことを行なうことは絶対にあり得ません。 (厳密には)ウィキメディアのウィキではない他ウィキであるtranslatewiki.netでの活動が、このウィキで通用するはずがないからです。 また、ウィキペディア日本語版あるいはウィキメディアのウィキで活動していくために必要な能力などを失ったものとは考えておりませんし、その「やる気」も今のところなくなる予定はありません。 各ウィキへ多大な影響と混乱を招いたことは理解し反省すべきところではありますが、しかしながら、そのウィキにおける活動実績とは違うものであって、違うものである以上その責任をその個別のウィキでとることはできないから、という点もあります。
しかしそれでもなお各ウィキ、特にウィキペディア日本語版において、今回の変更で「青子守歌」という利用者(の中の人)のことが信頼できなくなった、ゆえに、権限を保持していてもらっては困る、あるいは編集等に参加を拒否する、というのがウィキペディア日本語版コミュニティーの総意であり、しかるべき手続きでそれが示されるのであれば、私からそれを拒否することは出来ません。 そのようになった場合は、コミュニティーの一員として、そのコミュニティーの判断に従います。
結局のところ、今までと同じように「やろうと思っていること(とそれによる影響への対応)はやる。しかし、それはやらなければならないことではないから、拒否されてまで続けるものではない」という姿勢は変わることはない、ということです。
これから(ウィキとして)
[編集]今回の変更によって、ウィキペディア日本語版としてしなければならない(ように私がさせた)ことはいくつかあると思います。
まず、私自身の処遇について、既に「(私的なこと)」の方でも述べましたが、コミュニティーとして何を求めるのか(あるいは罰するのか)という問題を考えるかと思います。 そのような議論をすることを私から咎めることはできませんし、それをするつもりもありません。
しかし、それよりも、ウィキペディア日本語版のコミュニティー(私も含め)は、また同じ状況を引き起こさず、誰も、今回のような変更をしようと思う必要がなくなるようにする、もし起きたとしてもウィキペディア日本語版へ影響がないようにしておく、そのためにはどうすればよいのかを考えていくべきだと考えます。
例えば、今後、translatewiki.netでの翻訳をウィキペディア日本語版が受け入れるのか独自でやるのか、今後どのように関わっていくのかなど、具体的に検討し考えなければならないことはあると思います。
「お前が言うことではない」という意見もあるかと思いますが、そのような批判をされても、私はこのままこの問題が「一時的なもの」として扱われ、元に戻しまた放置されるという状況には二度とさせたくない、なってほしくない、ならないようにしようと行動しようと思いますし、そのような状況の回避が、ウィキペディア日本語版やウィキメディア、あるいはtranslatewiki.netにとってまず必要なことだと考えます。
おわりに
[編集]この文書は、ウィキペディア日本語版の「中の人」である私、青子守歌が、ウィキペディア日本語版で同じく活動をしている、コミュニティー内の利用者の方々へ、今回の変更について述べたものであることを、ここで明言しておきます。 これはすなわち、translatewiki.netがウィキペディア日本語版あるいはウィキメディアのウィキを特別扱いしているわけではないことを意味し、そしてまた、今後そのように誤解されることがないようにするためのものです。
そして最後にもう一度、今回の変更によってウィキペディア日本語版コミュニティーのみなさまに、決して少なくない混乱と影響を与え、その活動を乱したことについてお詫びし、この文書の締めとさせていただきます。 申し訳ございませんでした。
青子守歌(会話/履歴) 2010年12月10日 (金) 08:06 (UTC) |