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手品師 | |
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作者 | 江橋照雄 |
言語 | 日本語 |
ジャンル |
掌編小説 (読み物資料・読み物教材) |
初出情報 | |
初出 | 『小学校道徳の指導資料とその利用1』(1976年) |
出版元 | 文部省 |
ウィキポータル 文学 ポータル 書物 |
「手品師」(てじなし)は、江橋照雄の掌編小説(または読み物資料[1]・読み物教材[2])。主人公は、腕は良いが長らく無名の手品師である。その才能を世に知らしめる好機を捨て、ある少年との約束を守るというのが物語の筋書きである[3]。
初出は文部省作成の『小学校道徳の指導資料とその利用1』(1976年)である。掲載から現在に至るまで小学校道徳の定番教材として使用されている[4]。「特別の教科 道徳」が開始された2018年時点で、小学校の道徳教科書を扱う8社すべてが本作を取り扱っている[5][6]。
本作は40年にわたる道徳の定番教材(人気教材)であり、数多くの授業実践が行われ記録されている。他方で、「内容の不自然さなどから道徳の教材としては問題があるとして、多くの教育学者や実践者から批判」を受けている[7]。
概要
[編集]あらすじ
[編集]主人公は、腕は確かだが売れない手品師である。彼はいつの日か大劇場のステージに立ち、手品を披露することを夢見ていた。ある日通りにしゃがみ込む小さな男の子を見かけ声を掛ける。彼の話を聞くと、父親はすでに亡くなり、働きに出た母はなかなか帰って来ないという。見かねた主人公は手品を披露し少年を元気づける。手品師は男の子に翌日も手品を見せると約束し、その場を後にした。その晩仲の良い友人から電話が入る。内容は急遽翌日に大劇場のステージで手品を披露しないかという提案だった。自分の夢を叶えるまたとない機会だったが、手品師は少年との約束を優先し友人の提案を断った。そして翌日彼はたった一人のお客様の前で最高の手品を披露したのであった[8]。
道徳的価値観
[編集]文部科学省が定める学習指導要領において示される内容項目とは[9]、「道徳的価値を含む内容を短い文章で平易に表現したもの[10]」である。また道徳的価値とは「人間としての生き方の礎となるもの[10]」を指す用語である。本作の内容項目は「正直、誠実」とされている[4]。それを受けて各社の小学校道徳科用教科書には、本作の学習のねらいを『「せいじつに明るい心で」(東京書籍)、「せいじつな生き方とは」(学校図書)、「誠実に明るい心で」(教育出版)などと[5]』と定めている。
作品評価・研究
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ 板橋雅則 2017, p. 49.
- ^ “道徳の教科書における読み物教材とどう向き合うか - 世界一わかりやすい道徳の授業づくり講座 対話でつくる道徳の学び - 明治図書オンライン「教育zine」”. www.meijitosho.co.jp. 2023年5月7日閲覧。
- ^ 堤 2013, p. 12.
- ^ a b 堤大輔 2013, p. 12.
- ^ a b 井上健 (2019). “「登場人物の心情理解」と「考え、議論する道徳」 ―教師たちは定番教材「手品師」をどのように扱うのか―”. 東京都市大学共通教育部紀要 Vol.12: 7.
- ^ “根拠欠く教科書 どう評価?悩む先生 教科になった道徳:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2018年10月8日). 2022年12月27日閲覧。
- ^ 高橋美恵子 (2018). “-読み物教材「手品師」をめぐって-」”. 関東学院大学人文学会紀要 139号.
- ^ 堤大輔 2013, pp. 12–13.
- ^ “知識の習得に重点を置いた道徳教育の研究 -人間行動の自動性に基づく授業開発-”. 2023年5月8日閲覧。
- ^ a b “特別の教科 道徳の全面実施に向けて”. 2023年5月8日閲覧。
参考文献
[編集]図書
[編集]- 文部省 (1976). 『小学校道徳の指導資料とその利用 1』
雑誌
[編集]- 堤大輔 (2013). “道徳教育において物語の背景設定を漸次的に 開示することのメリットについて ―― 「誠実さ」を教えるための教材とされる「手品師」の話を例に ――(前編)” (日本語) (PDF). 育英短期大学研究紀要 第30号 .
- 板橋雅則 (2017). “道徳授業における道徳的判断力育成のための指導方法の開発 一「手品師」を事例として一”. 教育実践学研 第20号 .