ここでは、ビッグバン直後の輻射優勢の時代の宇宙の温度 T を時刻 t の関数として導出する。
銀河系を宇宙の中心と仮定して、銀河系から宇宙の端までの距離を r とすると、宇宙の膨張にかかる力学的エネルギーの和は宇宙の膨張の速度による運動エネルギーと引力の和となるが、宇宙が漸近的に平坦であると仮定すると、力学的エネルギーの和は 0 になる。したがって、宇宙の膨張の速度を距離の時間微分 ·r、宇宙の全物質の質量を m、万有引力定数を G とすると
となり、エネルギー密度 u と光速 c を用いて全物質の質量 m を
と表すと
となる。これにシュテファン=ボルツマンの法則 u = 4σT4/c を代入すると
(1)
と表される。ただし、σ = 2π5k 4
B /15h3c2 = π2k 4
B /60ħ3c2 はシュテファン=ボルツマン定数で、kB はボルツマン定数、h はプランク定数、ħ はディラック定数である。
ここで、ウィーンの変位則を rT = const. として時間について全微分すると
となり、両辺を rT で割ると
となる。これにより(1)式は
となり、·T = dT/dt より −dT/T3 = √32πGσ/3c3dt なので、左辺を 0 から T まで、右辺を 0 から t まで積分すると
となる。
光速と万有引力定数およびシュテファン=ボルツマン定数はそれぞれ2014CODATA推奨値で、c = 299792458 m/s, G = 6.67408(31)×10−11 m3/(s2·kg), σ = 5.670367(13)×10−8 W/(m2·K4) なので、T = 1.51812×1010/√t となる。