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利用者:海獺/ウィキペディアタウンの準備

この文書の短縮URLは

https://w.wiki/DV5

です。

あなたの目的にウィキペディアの編集イベントが相応しいなと思ったら、開催を検討してみてください

2019年図書館総合展 パシフィコ横浜 フォーラム「ウィキペディアと図書館の親和性」のスライドも併せてご覧下さい。

https://www.slideshare.net/RaccoJawp1/20191114-193964337

前口上

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もしあなたがウィキペディアタウンを開催してみたい、と思ったとき、この文書がちょっとでも役に立つと良いなと思って書いてます。

私の個人的な位置づけでの「ウィキペディアタウン」とは以下のようなものです。

もともとの「ウィキペディアタウン」は、街の中の事物をウィキペディアに記事として作成し、さらにリアルではそこにQRコードをつけてインタラクティブに展開した「街」のことでした。日本では2013年に横浜からはじまり、街歩きをして、地元にある資料を使い、ウィキペディアを編集するという体裁の「ウィキペディア編集イベント」をウィキペディアタウンと呼ぶことが慣例化したというのが実情です。つまり、ウィキペディアのアウトリーチ活動である程度の人数が集まって共同で編集作業をするなどの要素があれば「ウィキペディアタウン」の範疇に入りますし、名称をどのようにつけて展開するか、どのようなやり方をするかは、主催をする方々の目的により(ウィキペディアでの決まり事や慣例から逸脱しない限りは)自由に形が変えられます。


ウィキペディアタウンの準備

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主催者と協力

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主催者は個人なのかグループなのか

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  • 個人での開催も充分可能。ただし、回を重ねるごとに個人での開催はなかなかしんどくなってくる。そこで下準備として理解ある方々を巻き込んで、ゆくゆくは運営委員会的なものを発足させる方が良いかもしれないし、あるいは協賛・協力として地元自治体等にバックアップしてもらうのが良いと思う。教育委員会、行政の観光課など。(協賛や協力が地元の商店街等の場合、記事作成の段階になってウィキペディアの編集方針と共存できなくなる可能性がある→「ウチの店もウィキペディアにのっけてよ」的な何か)
  • 特に初回開催時に次回以降も協力してくれそうな人を捕まえる。
  • オープンストリートマップや地元図書館の方々からの協力があると記事が充実する。

予算

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2022年7月現在、ウィキメディア財団より、継続的な編集イベントに対する助成金申請のシステムがあります。→「助成金:プロジェクト/随時/申請方法

予算や距離の事で開催をあきらめてほしくないので、講師の交通費、会場費、Wi-fiレンタル費などの経費を助成金で、と考える道筋として示します。


記事対象の設定

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候補

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最初の開催は、地元の建造物や神社仏閣、名所など、対象をあらわす単語を聞けばある程度の枠組みがイメージしやすいものが適している。抽象的な題材は共同作業で編集をする場合、個人のイメージで範囲が変わってしまうので、具体的な物の方が良い。

条件

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  • 特筆性:ウィキペディアの単独記事になりうるだけの特徴があるかどうか。 これを参照→「独立記事作成の目安
  • 潤沢に資料があり、第三者的な情報源も豊富であるか。
  • 文化財がある。由来が特徴的。歴史がある。有名なエピソードがあるなどなど。
  • 見映えのする写真が撮れそうか。
  • アクセス:集合場所や執筆会場などのポイントからの距離と所用時間が適しているか
  • 協力を得られるか:現地に赴いた時に、立ち入り許可や収蔵品を見せてもらえるかなど。(ウィキペディアの記事にするために見学をしたいと申し出ても理解されないことも多い)
  • 主催者に近い項目、例えば図書館主催でその図書館の記事を書くなどはなるべく避ける。→Wikipedia:自分自身の記事をつくらない
  • 歴史が古くない建物の記事や、公共施設の記事は、公式サイトのミラーサイト的なアプローチになりがちなので、百科事典としてどう書くかをイメージする。
  • 現時点での記事の有無:新規記事を作ろうという目的は、イベント内で「既存記事をブラッシュアップしていきましょう」という目的よりもわかりやすく、出来上がった時に「ゼロからここまでになった」という満足度も高い。
  • どの記事を作りたいか/イベントでの編集対象にするかは、もし主催者がウィキペディアにあまり詳しくないならば、講師役のウィキペディアンと打ち合わせをする。

便利なテンプレート

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(小池さん作成)

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開催日までの準備

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  • 開催規模と記事対象の絞り込み:5~6人でひとつの記事を担当するくらいがちょうどよい。撮影・画像アップの役目を専門で行うチームは1~3人で構成。
  • 参加者人数見込みから、記事対象をいくつにするか決め、上記の条件からスケジュールを組み立てる。
  • 現地の事前調査を行い、移動時間、交通上の危険個所などをピックアップ。昼食などのロケーションもある程度決めておく。
    • 必要に応じて、イベント賠償責任保険への加入を検討する
  • 記事対象の文献資料のあたりをある程度つけておく。事前に借りる、該当箇所のコピーを取るなど(書誌情報やページなどのメモを忘れずに)。
    • イベント当日に図書館にて資料を借りる場合、貸し出されていたり、諸事情で借りれなかったりすることがある。
  • 図書館の協力が得られている場合は、司書の方にレファレンスをお願いするとみんな幸せ。
  • 執筆できる会場をおさえる。ネット環境や使える備品をチェック(プロジェクタ、電源延長コード、ホワイトボード)。飲食可能かどうか。
  • 懇親会の場所設定
  • 記事対象別にテンプレート(記事の大まかな枠組み)を準備(ウィキペディアン任せでもよい)。
  • 地域メディアなどに取材してもらうと盛り上がります。むしろ積極的に取材に来てもらいましょう。

告知

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  • プロジェクト:アウトリーチ/ウィキペディアタウン、SNSや外部サイト。peatixなどのイベントサイトでの募集。
  • ウィキペディアの編集方針や成り立ちについて、講義が行える人物を捕まえる。
    • その役目をやってもいいよ、というウィキペディアンはどんどん名乗り出てください。
    • その他に、ひとつの班あたりひとり、ファシリテーターとしてウィキペディアの編集をある程度理解している人がいるといろいろ楽。
  • 会場費、運営費などを頭割りして、参加費を設定する

アカウントの事前取得について

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どうして本名や組織名のアカウント名は好まれないのですか
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ウィキペディアの編集には履歴が残ります。つまり、いつだれがどのページをどんなふうに編集したかが残ります。ウィキペディアの編集に夢中になってくると、履歴に利用者の趣味嗜好や生活パターンがだんだんと浮き彫りになり、いつ仕事をさぼってるのかまでがわかることになります(自戒を込めて)。ネットはとても怖いところなので、現実のあなたと、現実のあなたと切り離して活動しているアカウント、ユーザー名などを、ウィキペディアによって推測されてしまう場合もあります。ですから、ウィキペディアで使用するアカウントは、現実の名前、よく知られた名前、ほかのサイトなどで使用しているアカウントなどから切り離したものにするほうがベターです。

当日の準備 (あったほうがいいよねリスト)

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室内

  • テーブル、イス
  • Wi-fi設備 (なければ1日単位でレンタル。レンタルWi-fiルーターは、参加者5人に対して一台程度)
  • 電源コード
  • 会場の備品と私物の区別をつけるためのシール
  • プロジェクタ
  • ホワイトボード
  • 付箋
  • 模造紙やカレンダーの裏などの大きな紙(テーブルに広げてグループ全員が把握できるメモとして使用)

街歩き

  • ウィキペディアタウンのイベントだとわかるようなプレート(バスガイドさん風)
  • 簡単な地図(OpenStreetMapを使いましょう)[1]
  • カメラ

その他

  • 私物を保管できる場所(街歩きに必要のない荷物を置いていけると楽)
  • 懇親会に行く人数を早めに把握し店に連絡

ウィキペディアン側の準備と心づもり

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  • スケジュールに応じて、事前説明の内容を調整する。
    • ウィキペディアに関する説明は、なるべく初心者向けに作っておき、参加者のウィキペディア編集経験や習熟度などを聞いたうえで端折って良いところは端折る。
    • ウィキペディアに関する説明は、大まかに分けて二つの柱がある。ひとつはウィキペディアそのものについて。もうひとつは編集方法について。
      • ウィキペディアそのもの(理念、目的や規模)の説明と、ウィキペディアタウンに関する説明
      • 編集方法や方針などのルール関連の説明と、マークアップなどの本文以外の説明
  • 当日までにアカウントを作成していない参加者がいるケースがある。この時、会場のWi-fiやルーター、テザリングなどからは、広域ブロックに引っかかってアカウントが作成できない場合がある。また1IPアドレスからは一日に6個までしかアカウントが作れない(まれに主催者側が「今朝、さっき作りました」などと言って当日全く作れないケースもある)。その場合は、
    • 1.作成してこない人が悪いので諦めてもらう。
    • 2.管理者の誰かにリアルタイムで連絡を取ってアカウントが作成できるようにしてもらう。
    • 3.管理者をひとり巻き込んでおき参加させる。
  • なるべく編集には手は出さないで、温かく見守る。参加者には、とにかく地の文(出典含む)を書いてもらうこと、画像をアップしてもらうこと、最低限の体裁(infobox埋めなど)に注力してもらい、気になるところはイベント後に直せばいいだろ的な感覚で。あとからたくさんのウィキペディアンが記事を整えてくれるんだということを実感してもらう。
  • 編集は誰でもできるんだよというハードルの低さを強調するとともに、他方、編集結果は全世界に発信され「ウィキペディアに載っていること」として扱われるんだよと強調する。
  • 当日作成予定の記事についてウィキペディアンぽい下準備をする
    • 記事名を確定する(神社仏閣名はあいまいさ回避になるケースがある)。曖昧さ回避ページの編集はウィキペディアンがやる方がベター。後でその必要性を口頭で説明。
    • 作成予定の記事のノートに「今日この記事はイベントでいろんな人がいじってますよー」とお断りを入れる。こんなの→[2]
  • 「撮影した写真や記述した文章はあなたのものだけれど、あなた以外の人が自由に使えるライセンスで提供されることに合意したことになる」ということを説明する。
    • とくに写真については「自分が写した写真は自分のものだ」という意識が高い方が参加してる場合あるので、「もし他人に自由にされちゃうのは嫌だという場合には使用しない方がいいでしょう」という説明とともに「ウィキペディアに載ることで多くの方に見てもらえるチャンスでもある」と説明する。
  • 地域密着型のイベントなので、街の歴史研究家のような方が参加される場合もあり、「情報の合成」や「独自研究は載せない」といった決まり事に対してご理解がいただけない場合がたまーにある。→「その説は、ご自身の著書を出版されるときまで取っておくほうが良いでしょう」など。
  • ウィキペディアの編集をする人を増やすという目的、イベントの継続的な運営の協力をするという目的を理解して、イベントを次回につなげること。
    • 今日のイベントが終わっても今日できた記事の成長は続いていくので、資料が見つかったらご自宅でも引き続き編集加筆を、などのアナウンス
  • 記事ウィキペディアタウンには"ウィキペディアに掲載することで地域の情報が世界中に公開され、地域の活性化につながる可能性"と記されているが、地域の活性化の部分は主催者側に任せ、ウィキペディアン側は中立的な記事になるように(宣伝臭くならないように)誘導する。
  • イベントのために初めてアカウントを作った方は、おそらくウィキペディアの編集も初めて。利用者ページ、会話ページ、ノートページ、ウォッチリストなどについても時間があればさらっと説明。
  • ウィキペディアに投稿した文章は自分で「除去」できるが、過去版には記述は残っている。「削除」してもらうには管理者の権限を使用しなければならず、削除には条件があるということも時間があればさらっと説明。

こうしとけばよかった

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  • 名刺大くらいのフリーカードを首から下げるアレを人数分用意し、参加者に参加者としての名前とアカウント名を書いてもらう。イベントが終わったらカードごと回収。
    • これをやらないと、あとで、あの人のアカウントはどれだっけってなる。
  • 参加者による感想や、メディアによる記事等のURLは、主催者がイベントページにまとめるといいかも。←これちゃんとしたほうがいいよね

その他

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ウィキペディアタウンはもともと双方向のものを目指していて、その地域にまつわる記事をウィキペディアに作成あるいは編集し、記事によって対象を深く知る機会を増やすだけではなく、編集対象にQRコードなどをつけ、対象から記事へアクセスしやすい状態にすることも含まれています→QRペディア

そのため、【1.既存の記事を多言語に翻訳する】【2.対象にQRコードを表示できるよう方式、素材、許可申請関連を整備する】などの展開がこれからは見込まれていく。例えば博物館、美術館単位で企画し、進めていくことを期待しています。

関連項目やリンク

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