利用者:塚本惠一/知識人のための囲碁入門
はじめに
[編集] 世間には囲碁の入門書があふれていますが、多くは子供向けで、石の取り方などの基本的な技術を細かく説明しているものが殆どです。それは、囲碁の着手のルールを理解させようとする目的なのでしょうけれども、入門書を読み終えても、19×19の広大な盤の前に立ちすくむことになります。周りに自分と同じように碁を覚えようとする人がいれば、実戦を重ねるうちに少しづつ碁の打ち方が分かってくるというのが実態でしょう。
本書は、知識人と称すべき知恵ある大人の皆様を想定して、短期間で囲碁の考え方を理解して戴くことを目的とした入門書です。世間の入門書にある基本的な技術も知識人には十分と思われるレベルで一通り触れております。また、主に文系の方のための囲碁の歴史や文化、理系の方のための囲碁のルールの説明などを付記しております。
囲碁は碁石で地と呼ばれる空間を囲み、その広さを争うゲームです。相手より広い地を作ろうとすると、相手は邪魔をしてくるので戦いになります。そういう戦いでは論理的な読みが必要になりますが、多くの場合、石の配置に応じた「筋」や「形」と呼ばれる有効な手段が経験的に知られているので、人間がパターン認識を活用して、感覚的に打つことができます。アマチュアでも高段者ともなれば、ノータイムで打っても滅多に悪い手を打たなずに済むようになります。
このように、囲碁は論理的な方にも感覚的な方にも楽しんで戴けるゲームです。65歳で始められて2年ほどで初段の力を付けた方も存じております。忘憂清楽の趣味としてお楽しみ戴ければ幸いです。
本書の読み方
[編集] 本書では、概ね30級(初心)~10級の方を初級、10級~3級の方を中級、有段者を目指す方を上級としております。本文は初級の方を念頭に書いており、それをマスターされた方は各章の中級編、上級編にお進み下さい。
囲碁用語については、本来の漢字と平仮名を基調に書いており、初出の際に片仮名と平仮名で読みを示しております。囲碁独自の用語で一般の方には難訓と思われるものは片仮名を基調に書いております。
囲碁の基本ルール
[編集]信義則
[編集]『日本囲碁規約』の前文に「対局者の良識と相互信頼の精神」
用具
[編集]〔用語〕石、取り、着手、実戦、対局、盤、碁石、地、戦い、
地
[編集]〔用語〕碁盤、碁石、黒石、白石、先手、後手、碁罫紙
着手の3大ルール
[編集]交互着手、石取り、劫(コウ)
交互着手
[編集]石取り
[編集]- 囲めば取れる
- 呼吸点とダメ
- 着手禁止点
劫
[編集]終局
[編集]- 実戦は「終わりですね」
- ネットは「パス、パス」
対局の作法
[編集]礼
[編集]手合い割
[編集]握り
[編集]整地
[編集]基本戦略
[編集]「一に空き隅、二に絞まり(シマリ)」
[編集]- 序盤は隅>辺>中央
- 3線と4線
- 武宮先生の宇宙流
鶴翼の陣
[編集]模様に芯を入れる
三連星
[編集]掛かり(カカリ)と挟み(ハサミ)
[編集]石の効率
[編集]2眼の活き
[編集]封鎖の利
[編集]攻めと守り
[編集]厚みに近寄るな
[編集]囲碁の黄金律
大場より急場
[編集]包丁を入れよ
[編集](坂田栄男の教え)
2立3石
[編集]開き(ヒラキ)と打ち込み 「二立三石」
模様と消し
[編集]生きている石が一番強い
[編集]碁なりせば
[編集](本因坊算砂の辞世) コウ争い
基本定石
[編集]小目
[編集]星
[編集]高目と目外し
[編集]三々
[編集]「三々には近寄るな」
中級編
[編集]上級編
[編集]布石
[編集]本法の布石
[編集]秀策流
[編集]宇宙流三連星
[編集]中国流
[編集]ミニ中国流
[編集]小林流
[編集]中級編
[編集]上級編
[編集]石の取り方
[編集]2線の石をカカエる(抱える)、シチョウ、ゲタ
筋と形
[編集]中級編
[編集]上級編
[編集]死活
[編集]広さが基本、中手、
中級編
[編集]上級編
[編集]ヨセ
[編集]ヨセは2線から、死活は大きい、先手ヨセを逃がすな
中級編
[編集]上級編
[編集]終局の前に
[編集]付録
[編集]囲碁の歴史
[編集]囲碁の発祥、日本への伝来、名人と棋聖
囲碁と文学
[編集]碁盤と碁石
[編集]白江先生のカリキュラム
[編集]囲碁のルールについて
[編集]「終わりですね」と「パス、パス」
信義則と地
セキ、三劫、長生、循環劫、両負け
二人完全情報ゼロ和ゲーム?
囲碁の雑学
[編集]囲碁の上達法
[編集]棋士の言葉
[編集]- 碁の正しい打ち方は必すしも論理的なものばかりではなく、極めて感覚的にとらえる場合が少なくない。要するに経験に基づく感覚的な把握の仕方で理論を越えたケースが多いのです。ということは、そうした感覚向上がとりもなおず碁の上達に結びつくということになります。(大竹英雄)
- 敵が強いところでは堅実に控えて打ち、味方の強いところでは大きく広げて打つ。これは定石に限らず、碁一般の原則である。(梶原武雄)
- 先手の意味をもっと拡大して、先手すなわち主導権というふうに解釈すれば、序盤から終盤に至るまで、碁はすべて先手をめぐる争いということができます。特にヨセでは、打つ箇所がある程度限定されてきている段階なので、先手が何にもまして貴重になっているです。(坂田栄男)
- 碁は調和にあり。(呉清源)