利用者:吟遊詩人123/sandbox
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新城 拓也(しんじょう たくや、1971年[昭和46年]4月25日―)は日本の医師、日本緩和医療学会認定専門医、在宅医療を専門に提供しているしんじょう医院の院長である。
来歴
[編集]祖父の代からの医師家系で、祖父は宮古島出身で台北帝大医学部卒の新城恵清で、名城大学の創設者である田中壽一の娘婿にあたる[1]。父の郷里も宮古島であるが、広島大学医学部在学中に学生結婚をし、卒業前に出生した。父が卒業後は名古屋周辺に仕事と生活の場を移したので、幼少期から大学卒業まで、名古屋で過ごした[2]。
特に将来の進路を考えることなく高校生活を送っていたが、友人の心療内科の診察に付き添い、薬を使わずに話をしているだけで友人の具合が良くなっていく様子に深く感銘を受け、その医師に憧れて医師を目指した[3]。
名古屋市立大学医学部卒業後、脳神経外科に入局した。脳神経外科医を志した理由として、当時入局希望者が少なかったので、人がやらないことをついやりたくなってしまう自身の志向性と、当時の教授が同じ目線に立って脳外科分野の将来を語ってくれる純真な目に心を打たれたからだとふり返っている[4]。
3ヶ月の間、大学病院で研修を行ったあと、知多厚生病院の脳神経外科医として赴任したが、夜間の緊急呼び出しとそれに続く長時間の手術の多さと、当直明けから連続する通常業務の過酷さに次第に心身ともに疲弊していった[5]。
脳神経外科の学会で、卒後6年目までとそれ以降のベテラン医師に分けて、難しい位置にある脳動脈瘤の手術方針を検討するセッションに参加したときに、都市部の病院に勤務する医師は、自分が所属している医局では到底経験させてもらえないような難しい手術を、指導医の指導のもとに経験を積んでいることを知り、脳神経外科の医局を辞めることを決意した[6]。
尊敬する看護師長の助言もあり、内科を志すことに決め、名古屋市立大学病院の内科に入局し直した[7]。
内科医として名古屋市立大学病院で1年間の研修を行い、いなべ総合病院(当時:員弁厚生病院)に赴任することになったが、大学病院研修中に大阪出身の女性と結婚したため、新天地へは夫婦で転居することになった[8]。
夫婦での生活を開始してまもなく長男にめぐまれたが、後に先天性の障害があることが判明する。その長男を看病し育てていく経験の中で「医者は正しい知識を患者に教育、指導するだけでは不十分」ということを痛感する。「治らない」障害や重い病いが降りかかった時に一変する患者とその家族の生活をより良くするために、具体的、実践的な助言を行い、「治らない病気」に向き合う心構えと生活の工夫を医療者も共有することが大事だと悟り、自身の診療態度を見直し、緩和ケアに傾倒していくきっかけになった[9]。
またこの内科医時代に多くの患者を短時間の診療で捌いていくことよりも、人そのものに対する好奇心が強いので、1人にじっくり時間をかける診療スタイルが向いていると自覚していく[10]。
緩和ケアに関する本を読みあさり、他の医師から終末期の患者を引き受け、試行錯誤しながら独学で学んだ緩和ケアを提供した。自宅で過ごしたい患者に対しては往診や在宅看取りも実践した[11]。
大学医局の方針で、次の転勤地がまた地方都市の田舎の病院であることを知り、転勤生活から抜けだして家族の生活を安定させることと、緩和ケアを専門的に提供する施設での勤務を希望し、所属している名古屋市立大学の医局を辞めることを決意する[12]。
都市部の病院を中心に、緩和ケアを担当する医師を募集する病院がたくさんあったが、大阪出身の妻の実家に近いこともあり、神戸にある社会保険神戸中央病院のホスピス病棟を選択した。
神戸に転居してからは、生活も安定し、緩和ケア病棟に入院している終末期がんの患者に専門的な緩和ケアを実践しながら、日本緩和医療学会の理事や代議員を務め、緩和医療ガイドライン作成委員会の担当委員として緩和医療領域のガイドライン作成に尽力し、特に消化器症状ガイドラインについては作業部会長を務め、ガイドラインの作成、改訂に尽力した[13]。また、Journal Of Clinical OncologyやJournal of Palliative Medicineといった、がん領域での有名雑誌をはじめとした和洋雑誌に論文を多数投稿し、緩和領域での新しい知見を精力的に発表している[14]。
上司、同僚にも恵まれ、ホスピスでの仕事は充実し、日本緩和医療学会の仕事も精力的に取り組み、仕事に対する不満は全く感じていないものの、10年の節目を迎えようとしている頃、ふと自分の能力を全て出し切ってしまったと感じることが多くなってきた[15]。
2011年3月11日、東日本大震災の惨状を伝える報道、映像を繰り返し見る中で、被災地に赴いて直接被災者を援助したいという耐え難い焦燥感にかられた。南相馬市立総合病院に援助の申し出をすると快諾されたので、SNSを通じて知り合った訪問看護ステーションの職員、看護師を誘い、南相馬市の避難所を回る旅に出た。各避難所では診察を一通り済ませた後に得意のバイオリンを演奏するという一風変わったスタイルだったが、この活動を通じて大きい病院のように整った環境で医療を提供するよりも、ケアやサービスが行き届かない環境に暮らしている人達のために医療を提供したいという思いを強くし、在宅医療を中心に仕事をしたいと決意する[16]。
2012年3月に社会保険神戸中央病院を退職し、「小商い」をキーワードにして、できるだけ少ない患者をきめ細かく丁寧に診ることができるスタイルを目指してしんじょう医院を開業した。また開業に至るまでの思考の過程や準備、運営していくうえでの工夫を執筆している。
人物像
[編集]幼少期からバイオリンを習い始め、大学時代はオーケストラ部に所属し、勉学よりも音楽に打ち込んでいた。現在もアマチュアオーケストラの六甲フィルハーモニー管弦楽団に所属して定期的な演奏活動を行っている。職場では音楽活動を行なっていなかったが、ある末期がんのピアノ教師の患者さんと出会い、緩和ケア病棟での演奏会を定期的に開いたことをきっかけに、臨床の現場や自身の講演会などでもたびたびバイオリンの腕前を披露することがある。近年は自院で看取った患者の遺族のグリーフケアを兼ねて、関わった方やご遺族を招待し定期的な演奏会を開いている[17]。
年表
[編集]- 1990年 - 私立東海高等学校卒業
- 1996年 - 名古屋市立大学医学部卒業
- 1996年 - 名古屋市立大学病院 脳神経外科研修医
- 1996年 - 知多厚生病院 脳神経外科
- 1997年 - 名古屋市立大学病院 第一内科研修医
- 1998年 - いなべ総合病院(旧員弁厚生病院) 内科
- 2002年 - 社会保険神戸中央病院 緩和ケア病棟
- 2012年 - しんじょう医院開業
著書
[編集]- 『社会保険神戸中央病院の看取りのケア指針-緩和ケアコミュニケーションの実践』(共編著) 日総研出版、2007年
- 『秘伝臨床が変わる緩和ケアのちょっとしたこつ』(共編著) 青海社、2010年
- 『エビデンスで解決!緩和ケアケースファイル』(共編) 南江堂、2011年
- 『3ステップ実践緩和ケア』(共編)青海社、2013年
- 『患者から早く死なせてほしいと言われたらどうしますか?-本当に聞きたかった緩和ケアの講義』(単著)金原出版、2015年
- 『続・エビデンスで解決! 緩和医療ケースファイル』(共編)南江堂、2016年
- 『緩和医療・終末期ケア (スーパー総合医)』(編者)中山出版、2017年
- 『超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式』(単著)金原出版、2017年
出演番組
[編集]- クローズアップ現代 在宅で迎える”最期のとき” 終末期鎮静 めぐる葛藤(2016年1月19日 NHK)
- NEWS PORT 在宅ホスピス 看取りと向き合う緩和ケア医 (2016年3月9日 サンテレビ)
- ニュース神戸発 あの日を胸に 人とつながる終の住みかを(2016年1月19日 NHK)
脚注
[編集]- ^ 名城大学物語 第2部 ~草創の門~
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p67]
- ^ 新城拓也さん(2)緩和ケア医を志すきっかけになった長男の病気
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p72-73]
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p73-75]
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p75]
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p76]
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p77]
- ^ 新城拓也さん(2)緩和ケア医を志すきっかけになった長男の病気
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p78-79]
- ^ 新城拓也さん(2)緩和ケア医を志すきっかけになった長男の病気
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p78]
- ^ [がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2011年版]
- ^ 著者Shinjo Tの執筆論文一覧
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p3]
- ^ [超・開業力 在宅医療・クリニック経営の新常識と新城式 p8-13]
- ^ らしんばん 緩和ケア病棟で創りだすハーモニー -消すことが出来ない楽譜の書き込み-
外部リンク
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