利用者:加藤勝憲/エイコーン管
エイコーン管は、第二次世界大戦の直前に製造され始めたVHF/UHF周波数帯域用真空管ファミリーを指す。それらはどんぐり(英語のacorn)に似ていることから名付けられた。特に、ガラス管の一方の端にあるキャップがどんぐりの殻斗(かくと)に似ているためである。エイコーン管は、ラジオやレーダーシステムで広く使用された。
性能・特徴
[編集]高周波性能は、(1)リードの寄生インダクタンスとキャパシタンス、および表皮効果、および (2) 電子走行時間 (陰極から陽極まで移動するのに必要な時間) によって制限される。通過時間の影響は複雑であるが、単純な影響の1つは位相マージン、もう1つは入力コンダクタンスで、グリッド負荷とも呼ばれる。非常に高い周波数では、グリッドに到達する電子は、陽極に向かう電子と位相がずれることがある。この電荷の不均衡により、グリッドは低周波の「開回路」特性よりもはるかに小さいリアクタンスを示す。エイコーン管、 灯台管、およびニューヴィスタは、陰極、グリッド、および陽極をできるだけ近接して配置することにより、この影響を最小限に抑えようとしている[1]。
ファミリー
[編集]元の範囲には、VHF周波数帯域で動作するように設計された約半ダースの真空管が含まれていた。 955は三極管、 954と 956は、それぞれシャープ カットオフとリモート カットオフの五極管で、すべて 6.3V、150mA 傍熱形(indirectly heated type)である。957、958、959は携帯機器用で、1.25 V、NiCd 蓄電池ヒーター。 957は中利得(μ、ミュー) の信号三極管、958は送信用三極管で、電子放射を増加させるために二重の並列フィラメントを使用している。959は 954と同様のシャープ カットオフ五極管で、957と959は50mAヒーター電流で、958の2倍の電流を消費する。1942年に、極端に高い放射を伴う958がフィラメント電源が切られた後も動作し続け、フィラメントは陽極電流だけで十分に加熱されることが判明した後、高い放射仕様の 958Aが発表された[2][3]。ミニチュア 7ピン ベースの発表後には、954、955、および 956 は、このベースを 9001、9002、および 9003 として使用できるようになった。
関連する種類
[編集]他のエイコーン管には次のものがある。
- アメリカ:
- ヨーロッパ:
- イギリス: A40、A41、AP4、AT4、HA1、ZA1、ZA2
- コンチネンタル: 4671、4672、4674、4675、4676、4695
- Mullard-Philips : D1C、D2C、D1F、D2F、D3F、D11F、D12F、E1C、E1F、E2F
316A、368A、388A、および 703A の三極管[6]や 713A および 717A の五極管などの大型で高出力のタイプは、形が似ているということでドアノブ管と呼ばれていた。 EF50が発表されたことでエイコーン管の設計に関する最初の本格的な競争が始まり、特に戦後、何百万個もの余剰の EF50 が市場に出回り、エイコーン管に取って代わることになった。
参照
[編集]脚注・参考文献
[編集]- ^ “Recent developments in miniature tubes”. R.C.A. Manufacturing Company, Harrison, New Jersey, USA. 17 June 2021閲覧。
- ^ “957 • 958 • 959 (Acorn Types)”. R.C.A. Manufacturing Company, Harrison, New Jersey, USA. 15 August 2015閲覧。
- ^ Ludwell A. Sibley. “The Acorn Tube”. 15 August 2015閲覧。
- ^ Klausmobile Russian tube directory
- ^ 日本のレーダー用受信管 -エーコン管と高周波増幅5極管
- ^ A. L. Samuel. “Bell system technical journal: A Negative-Grid Triode Oscillator and Amplifier for UHF”. 19 January 2016閲覧。
参考書籍
[編集]- 『真空管70年の歩み 真空管の誕生から黄金期まで』 ジョン・W. ストークス(John W. Stokes) 著/斎藤 一郎 訳、誠文堂新光社、2006年、ISBN 9784416106020
- 『電子管工学 第2版』 桜庭一郎、森北出版、1989年、ISBN 9784627710115
- 『マイクロ波回路の基礎』 鈴木 清司、啓学出版出版、1971年
- 『東北大学基礎電子工学入門講座 真空管』 小池勇二郎 監修/和田正信 著、近代科学社、1960年
- 『解説無線工学』 武田行松、共立出版、1938年
外部リンク
[編集]- 眞空管「エーコン管」物語
- エーコン管と高周波増幅5極管 - 日本のレーダー用受信管
[[Category:真空管]]