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利用者:中竹たけし/sandbox

蔦井グループ(つたいグループ)は、蔦井本社を中心とし北海道を中心に事業展開を行っていた日本の企業グループ。

概要

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蔦井與三吉が現在の北海道赤平市で1913年に「蔦井運送店」「蔦井販売部」として創業し[1]、雑貨店や運送・倉庫業に拡大し稚内・天塩・遠別・江刺・中頓別・士別などへ運送業を拡大し[2]、1937年には稚内から利尻・礼文島を結ぶ航路を運航する「稚内利礼運輸」の運営に乗り出し[3]、太平洋戦争で運送部門を提携していた日本通運に統合されるもセメント販売事業で商事会社としての形態を整える[2]

戦後は1953年に「蔦井商事」を設立しその後石油・不動産事業への進出や[2]、石炭販売・倉庫事業の買収と多角化を図る[2]。また1961年には「道南海運」の経営に乗り出し[4]、1965年に同社や青森県財界によるによる合弁会社として「東日本フェリー」を設立[5]。前後して1962年5月にはグループを統括する「蔦井本社」が設立され[6]、1974年の與三吉の死後には長男の蔦井孝信が本社社長となり[2]、1981年には札幌市中央区に東日本フェリーを初めとしたグループ各社が入居する本社ビル「蔦井ビル」が完成[7]

グループ企業は蔦井本社を中心に1982年時点では東日本フェリー・蔦井商事・蔦井石油・蔦井倉庫・東日本海フェリーの5社を子会社に据え各主要子会社がそれぞれに系列会社を持ちグループ化する形としており、本社を中心に商事・石油・東日本フェリー・東日本観光・倉庫・東日本海フェリーの6社社長を集めての「社長会」を形成し、月1回開く形で経営に関する相談を行っていた[2]

その後1990年代に入るとバブル崩壊に伴い1992年には蔦井商事が株式投資に失敗し60億円余の損失を出し蔦井石油を併合し再建を行い、2001年時点では約1000億円規模の売上高とされ、本社が東日本フェリーの44%・東日本海フェリーの6割・蔦井倉庫の5割・ツタイ商事の45%の株を筆頭株主として所有していた[8]

2003年6月にグループの一角を担っていた東日本フェリーが会社更生法を申請し北海道航空が離脱するなどグループは整理されることとなり[9]、また中核の蔦井本社をツタイ商事に吸収合併させ存続を図ったものの、2005年には93億円の負債を抱えツタイ商事が民事再生法申請を行いクワザワの支援下に入り[10]、グループは事実上解体され[11]、2007年にはグループ本社の蔦井ビルが売却され[12]、ツタイ商事の事業についてはクワザワの子会社「エフケー・ツタイ」に事業を移管した後2014年4月に石油事業を北海道エネルギーに譲渡して建材販売事業を残し10月にはクワザワに吸収合併された[13]

グループ企業

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太字は現存する会社。

主要会社[14]
  • 蔦井本社 - 保険代理業、札幌市、6471万円[8]
    • 東日本フェリー - 海上運送、札幌市、本店函館市、15億円[8]
    • 東日本海フェリー - 海上運送、札幌、1億円[8]
    • 蔦井倉庫 - 倉庫業、札幌、1億円[8]
    • ツタイ商事 - 建材・石油販売業、札幌市、資本金1.8億円、旧「蔦井商事」[8]
東日本フェリー傘下[14]
  • 道南自動車フェリー - 海上輸送業、函館市、資本金2000万円。現・津軽海峡フェリー
  • 東日本海陸輸送株式会社(上磯郡上磯町)- 貨物自動車運送業、上磯町、資本金5000万円。
  • 東日本輸送 - 貨物自動車運送業、室蘭市、資本金5000万円[14]
  • 東日本観光サービス(北海道札幌市) - 旅行業・食堂売店経営、資本金2.8億円。1985年時点では「東日本観光」[6]
  • 東日本エンタープライズ(北海道札幌市) - 船舶用機器油脂卸、札幌市、資本金5000万円。
  • 板谷観光開発(山形県米沢市) - スキー場・ホテル経営、資本金1.5億円。
  • ホテル・イーストジャパン(北海道苫小牧市) - ホテル経営、資本金2億円。
  • 北海道航空(北海道札幌市) - 不定期航空運送、札幌市東区、資本金1億円。
  • 九越フェリー(福岡県福岡市) - 海上運送業、資本金8億円
  • ツタイ・コンピュータ・サービス - 情報処理受託他、資本金8000万円、札幌市、連結対象外。
    • アイビー・システム - システム開発他、札幌市、資本金5000万円。
  • 丸日日諸産業 - 自動車運送業、札幌市、資本金7950万円、連結対象外
蔦井倉庫傘下
  • 蔦井物流サービス - 貨物自動車運送業、札幌市、3.2億円[8]
  • 蔦井フレートサービス - 貨物取扱業、札幌市、3千万円[8]
ツタイ商事傘下
  • 東日本自工 - 自動車修理業、札幌市、3千万円[8]
  • ツタイホームサービス - 配置薬他販売、札幌市、3千万円[8]
  • 和寒コンクリート - 生コン製造販売、和寒町、800万円[8]
  • 奥尻コンクリート工業 - 生コン製造販売、奥尻町、1800万円[8]
過去の関係会社
  • 札幌ケーブルテレビジョン - グループ8社共同出資で設立、1997年にタイタス・コミュニケーションズと提携し「タイタス・スキャット」、2000年にジュピターテレコムと統合し「ジェイコム札幌」となる[15]
  • 北海商船フェリー - 海上運送業、小樽市、資本金1000万円。1985年時点で東日本海フェリー59%出資[6]
  • 蔦井不動産 - 不動産業、札幌市、資本金3億円。
  • 蔦井石油 - 石油製品販売、札幌市、資本金8000万円[6]。1992年に蔦井商事と合併。
  • 東日本設備工業 - 冷暖房設備施工、札幌市、資本金1000万円、蔦井石油34%出資[6]
  • 東日本フェリー傘下[6]
    • 新東日本フェリー - 札幌市、資本金1億円。東日本フェリーやグループ役員らによる出資で設立ののち[16]、1974年時点では東日本フェリー連結子会社[17]
    • 新港工業 - 船舶修理業、多賀城市、300万円、1985年時点で東日本フェリーの子会社[6]
    • 東日本物流 - 貨物取扱運送、札幌市、資本金4000万円[14]
  • 蔦井商事傘下[6]
    • 道栄運輸 - 貨物自動車運送業、稚内市、415万円
    • アサノ生コンクリート運輸 - 貨物自動車運送業、札幌市東区、資本金2000万円。
  1. ^ 東日本フェリー(1995年)、208-209頁。
  2. ^ a b c d e f 北海道の企業グループ研究 堅実経営で着実に前進する蔦井グループ - 北方ジャーナル1982年5月17日号52-55頁
  3. ^ 東日本フェリー(1995年)、208-209頁。
  4. ^ 東日本フェリー(1986年)、9頁。
  5. ^ 東日本フェリー(1986年)、12頁。
  6. ^ a b c d e f g h 東日本フェリー(1986年)、214-215頁。
  7. ^ 東日本フェリー(1985年)、87頁。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l 東日本フェリーグループの行く手を阻む負債の大波 - 北方ジャーナル2001年4月号(北方ジャーナル)24-27頁
  9. ^ 更生法法申請受け蔦井グループ 東日本フェリー「切り離し」進む 北海道航空単独経営探る - 北海道新聞2003年7月18日朝刊
  10. ^ ツタイ商事再生法申請 負債93億円クワザワ支援へ - 北海道新聞2005年3月15日朝刊
  11. ^ 蔦井グループが「崩壊」ツタイ商事再生法申請 各社は独自路線に - 北海道新聞2005年3月15日朝刊
  12. ^ 東日本フェリー旧本社ビル年明けにも売却リベラ - 北海道新聞2006年12月27日朝刊9面
  13. ^ 子会社を吸収合併へクワザワ - 北海道新聞2014年8月13日朝刊
  14. ^ a b c d 東日本フェリー(1995年)、218-219頁。
  15. ^ 新札幌市史 第5巻 通史5下 都市型CATVの放送開始 - 新札幌市史デジタルアーカイブ
  16. ^ 東日本フェリー(1986年)、88頁。
  17. ^ 東日本フェリー(1986年)、97頁。