利用者:中村明裕/ソマリ語の音写法
ソマリ語の音写法
[編集]現在、ソマリ語の固有名詞やソマリ文化の用語を日本語の文字でどのように写すかは一定していない。たとえばGarooweはガローウェ、ギャロウェー、ギャロウェイと、不安定な写され方をしている。確かに外国語を日本語に一対一対応で音訳することは不可能である。しかしソマリ語においてはむしろ、日本にソマリ語の文字を音読できる人がおらず、したがって人によってローマ字読みをしたり英語風に読んだりするために生じている。この現状はソマリア情勢の研究にはきわめて不便と言わざるを得ない。
これを鑑みて、ソマリ語の日本語への音訳方法を以下のように統一することを提案する。
なお本案は、初学者への教育などのために、平仮名や小書き文字、ダイアクリティカルマークなどを加えて一対一に近づける表記を使うことに反対するものではない。
また、これは便宜上のものであって、ソマリ語の正しい発音を写すものでは全くない。
1. 子音+単純短母音は次のように写す。
-a | -e | -i | -o | -u | |
b- | バ | ベ | ビ | ボ | ブ |
c- | ア | エ | イ | オ | ウ |
d- | ダ | デ | ディ | ド | ドゥ |
dh- | ダ | デ | ディ | ド | ドゥ |
f- | ファ | フェ | フィ | フォ | フ |
g- | ガ | ゲ | ギ | ゴ | グ |
h- | ハ | ヘ | ヒ | ホ | フ |
j- | チャ | チェ | チ | チョ | チュ |
k- | カ | ケ | キ | コ | ク |
kh- | ハ | ヘ | ヒ | ホ | フ |
l- | ラ | レ | リ | ロ | ル |
m- | マ | メ | ミ | モ | ム |
n- | ナ | ネ | ニ | ノ | ヌ |
q- | カ | ケ | キ | コ | ク |
r- | ラ | レ | リ | ロ | ル |
s- | サ | セ | スィ | ソ | ス |
sh- | シャ | シェ | シ | ショ | シュ |
t- | タ | テ | ティ | ト | トゥ |
w- | ワ | ウェ | ウィ | ウォ | ウ |
x- | ハ | ヘ | ヒ | ホ | フ |
y- | ヤ | イェ | イ | ヨ | ユ |
'- | ッア | ッエ | ッイ | ッオ | ッウ |
2. 長母音(同じ母音が二つ続くもの)は1.の表に「ー」を加える。二重母音は-yの場合は「イ」を、-wの場合は「ウ」を加える。
3. 単独子音は次のように写す。ただし両唇音の前の“m”は「ン」で写す。
b | c | d | dh | f | g | h | j | kh | l | n | q | r | s | sh | x | ' |
ブ | ア | ド | ド | フ | グ | ハ | チュ | ハ | ル | ン | ク | ル | ス | シュ | ハ | ッ |
4. 二重子音はその一つ目を、“m” “n” の場合は「ン」、その他は「ッ」で写す。
5. 子音字+yはその間に音節の切れ目があるものとして書く。すなわち、gelyoは「ゲリョ」ではなく「ゲルヨ」である。y+母音字はその間に音節の切れ目がないものとして書く。すなわち、hooyoは「ホーイオ」ではなく「ホーヨ」である。
参考
[編集]「ソマリ語の音写法」についての覚え書き
[編集]悩む箇所
[編集]「ソマリ語の音写法」ではソマリ語を聞いた時の日本語話者(中村)の聴覚印象に基づいて音写法を定めた。しかしながら聴覚印象上複数の表現をしうるような音素もある。すなわち、単独のh、kh、xは「ハ」か「フ」か「ホ」か。あるいはhは「ー」か。またcは「ア」か「オ」か「ウ」か。
jはチャ行に近い音の場合とジャ行に近い音の場合とがある。チャ行が普通と見てチャ行で写すことにしたが、慣習などと照らすとジャ行が混乱を招きにくいか。
“g”や“d”の無声化はどうするか。“wanaagsan”という場合、実際の発音は「ワナーグサン」より「ワナークサン」に近い。
これらの点は今後吟味・改定が必要であるように思う。
運用について
[編集]ソマリ語内部にも方言差や異綴が多いから、固有名詞への過剰な適応は避けるべきであろうと思う。それよりはアラビア語や英語などを経由して定着した用語があればそれを用いるのがよいだろう。たとえばモガディシュを「ムクディショ」と言い換えるのはあまり望ましくない。
書き換え
[編集]たとえば「ソマリ料理」最古版に含まれるソマリ語を「ソマリ語の音写法」で音写すると次のようになる。
ソマリ語 | 2009年7月4日12:16版 | 「ソマリ語の音写法」 |
---|---|---|
subag | - | スバグ |
jinow | ジノー | チノウ |
Quraac | クラーク | クラーア |
Qado | クアド | カド |
afur | アフール | アフル |
Canjeero | カンジェロ(またはアンジェーロ) | アンチェーロ |
muufo, muffo | ムーフォ | ムーフォ、ムッフォ |
kooris canjeero | クーリスカンジェロ | コーリス・アンチェーロ |
malawax | マラワックス | マラワハ |
xalwo | ザルオ | ハルウォ |
Rooti iyo xalwo | ローチ・イヨ・ザルオ | ローティ・イヨ・ハルウォ |
Laxoo | ラクソー | ラホー |
Boorish | ブーリッシュ | ボーリシュ |
mishaari | ミシャーリ | ミシャーリ |
soor | スール | ソール |
bariis | バリース | バリース |
Baasto | バースト | バースト |
otka | オトカ | オトカ |
Iskudahkaris | イスクダーカリス | イスクダハカリス |
suqaar | スカール | スカール |
shakshuka | シャクシューカ | シャクシュカ |
baar | - | バール |
cambuulo, ambola | カンブーロ | アンブーロ、アンボラ |
digir | - | ディギル |
Xidigta Oktober | キジタ・オクトバー | ヒディグタ・オクトベル |
qamadi | - | カマディ |
maraq | マラク | マラク |
fool | フール | フォール |
kaluun | カルーン | カルーン |
shaah | シャ | シャーハ |
balbeelmo | バルベルモ | バルベールモ |
raqey | ラキー | ラケイ |
cambe | キャンベ | アンベ |
seytuun | セイタン | セイトゥーン |
tufaax | ツファックス | トゥファーハ |
isbarmuunto | イスバルムント | イスバルムーント |
laas | ラース | ラース |
fiimto | フィムト | フィームト |
sambuusa | サンブーサ | サンブーサ |
Bajiye | バジエ | バチイェ |
bisbaas | ビスバース | ビスバース |
Gashaato | ガシャート | ガシャート |
qumbe | クンベ | クンベ |
Loos iyo sisin | ルース・イヨ・シシン | ロース・イヨ・スィスィン |
Buskut | バスカット | ブスクト |
Buskud | バスカット | ブスクド |
daardaar | ダールダール | ダールダール |