利用者:ポーチュラカ/sandbox
ワンダーウーマン(英語: Wonder Woman)はDCコミックスによって出版されたアメリカン・コミックスに登場するフィクションのスーパーヒーローである[1]。このキャラクターはジャスティス・リーグの創立メンバーで、女神、アマゾン族の特使である。このキャラクターは1941年10月『オールスターコミックス』8号に初登場し、1942年1月『センセーションコミックス』1号で初めて表紙を飾った。母国、島国セミスキラでの正式な肩書はヒッポリタの娘、セミスキラのプリンセス・ダイアナである。彼女は「男の世界」である外の社会に混ざって暮らす際に、ダイアナ・プリンスという市民としての身元を採用する。更にこのキャラクターは「アメイジング・アマゾン」、「スピリット・オブ・トゥルース(真実の魂)」、「セミスキラズ・チャンピオン」そして「ゴッデス・オブ・ラブ・アンド・ウォー(愛と戦争の女神)」という異名で呼ばれている。
ワンダーウーマンは心理学者で作家のアメリカ人、ウィリアム・モールトン・マーストン(ペンネームはチャールズ・モールトン[1])とアーティストのハリー・G・ピーターによって作られた。マーストンの恋人オリーヴ・バーンと彼の妻エリザベス は、キャラクターの風貌に対する彼のインスピレーション源であったとしてクレジットされている[1][2][3][4][5][6] 。マーストンは初期のフェミニズムと特に『ウーマン・アンド・ザ・ニューレース』という作品を書いた、産児制限のパイオニアであるマーガレット・サンガーから多大なインスピレーションを得て描いた。このキャラクターは1941年10月に『オールスターコミックス』8号に初登場し、1942年1月に『センセーションコミックス』1号で初めて表紙を飾った。『ワンダーウーマン』の本は1986年の短い休止を除き、DCコミックスによって継続的に出版されている[7]。
ワンダーウーマンの誕生の物語は母親のヒッポリタ女王に粘土で形造られ、アプロディーテーによって命が、ギリシャの神々からスーパーパワーが贈られたというものである。しかし近年アーティストたちは彼女のプロフィールを更新し、彼女はゼウスの娘であり、母親のヒッポリタと叔母のアンティオペ、メナリッペが共同で育てたと描かれている。1980年代のアーティスト、ジョージ・ペレズは彼女にたくましい容姿を与え、彼女のアマゾン族としての伝統を強調した。2010年にアーティストのジム・リーはパンツを含むダイアナのコスチュームを再デザインしたが、このデザインはのちに断念された。彼女はアレースの神の能力を受け継ぎ、「ゴッド・オブ・ウォー(戦争の神)」の象徴となった[8][9]。
ワンダーウーマンのアマゾン族としてのトレーニングは戦術、探索、戦闘における幅広い類まれなる能力を発展させることに役立った。彼女は真実の投げ縄、2つの破壊できない腕輪、弾丸として役に立つティアラを含む進歩的なテクノロジーの武器庫を保有している。旧作によると、アマゾン族のテクノロジーをもとにつくられた幅広い装置類も所有している。ワンダーウーマンのキャラクターは第二次世界大戦の最中に作られた。物語中のキャラクターは始め、枢軸国軍や、個性豊かなさまざまなスーパーヴィランとの戦いが描かれていたが、長い時間をかけ彼女の物語ではギリシャ神話のキャラクターや神、怪物が大きく強調されるようになった。多くの物語でワンダーウーマンが自ら拘束から抜け出す様子が描かれ、1940年代のコミックでよく見られていた囚われの姫君のテーマを覆した[10]。デビューから10年の間にワンダーウーマンは、古典的悪役のアレス、チーター、ドクター・ポイズン、キルケー、ドクター・サイコ、ギガンタや、近年の悪役のヴェロニカ・ケールやファースト・ボーンなどのアマゾン族の排除を決意する敵役と相見えた。ワンダーウーマンはさらにスーパーヒーローのチーム、ジャスティス・ソサエティー(1941年〜)やジャスティス・リーグ(1960年〜)を特集するコミックブックに定期的に登場している[11]。
他のメディアでのキャラクターの有名な描かれ方として、1971年のグロリア・スタイネムによる雑誌『Ms.』第二版の表紙への登場、1975年から1979年のリンダ・カーターが演じた『ワンダーウーマン』、さらに『スーパーフレンズ』や『ジャスティス・リーグ』などのアニメーションシリーズがある。カーターのテレビシリーズの後、スタジオは観客に向けた新しい実写版ワンダーウーマンの制作に苦闘した。キャラクター自体は様々な玩具や商品に登場しており、ケリー・ラッセルが演じたDVD用アニメ映画などをはじめとしてDCが権利を所有する作品のアニメ版翻案が作られていたにもかかわらず、実写版制作についてはなかなか作られなかった。 ワンダーウーマンのテレビ復帰の試みには2011年のNBCのテレビの脚本や、後に続いたが結局制作が中止状態になってしまったCWテレビジョンネットワークの他の作品が含まれる[12][13]。ガル・ガドットがDCエクステンデッド・ユニバースでワンダーウーマンを演じ、2016年の映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に出演したことで、75年の歴史の中で初めての長編映画への登場となった[14] 。ガドットは更に、2017年6月2日公開のキャラクターの初主演実写映画『ワンダーウーマン』にも出演した[15][16]。
2016年10月21日、国際連合によってワンダーウーマンが「女性や女子の地位の向上に対する国際連合名誉大使」に命名されたことで議論が巻き起こった。その式典には国連広報担当事務次長クリスティーナ・ガラッチと女優のリンダ・カーター、ガル・ガドットが出席した[17][18] 。2か月後、請願に従い、ワンダーウーマンは国連の役割を外された[19]。
出版の来歴
[編集]誕生
[編集]マーストンは自身とエリザベス、オリーヴのフェミニスト的理想を繋ぎ合わせ、女の子と男の子が尊敬できるスーパーヒーローキャラクターを作り出した[20]。
1940年10月25日に行われた雑誌『ファミリーサークル』のインタビューで、ウィリアム・モールトン・マーストンはコミックブック媒体の十分に発揮されていない素質について論じた[21]。この記事はコミック出版社のマックス・ゲインズの関心を引き、彼はマーストンをナショナル・ペリオディカルズやオールアメリカン出版社の教育コンサルタントとして雇った。この二つの会社はDCコミックスとなる[22]。その当時、マーストンは新しいスーパーヒーローを作り出したいと思っており、妻のエリザベスはそれは女性であるべきだと提案した[23]
すでにポリグラフの発明で有名である心理学者ウィリアム・モールトン・マーストンは、こぶしや火器でなく愛で打ち勝つ、新しいスーパーヒーローのアイデアを思いついた。「いいと思うけど」とエリザベスは言った。「でも彼女を女性にして」。
マーストンがこのアイデアをゲインズに紹介すると、企画を進めていいという正式な指示を受けたため、マーストンは『ワンダーウーマン』を生み出した。マーストンはヒロインがこの時代のしきたりにとらわれない、自由な女性のモデルになると信じていた。マーストンはさらに、夫妻とポリアモリーな関係を築き一緒に暮らしていたオリーブ・バーンが身に付けていたブレスレットからインスピレーションを受け描いた[24]。マーストンが書いたワンダーウーマンは『オールスターコミックス』8号( 1941年12月〜1942年1月号。1941年10月出版[25])でデビューした。
マーストンはポリグラフ(嘘発見器)の発展に非常に重要であった心臓収縮血圧測定装置の創案者である。マーストンのポリグラフの経験は彼に女性は特定の場面で男性より誠実であり、効率的に働くことが出来ると確信させた[26]。
マーストンはワンダーウーマンを理想の愛のリーダーという寓意像かつ、社会を動かすべき(と自らが信じる)女性のようにデザインした。マーストンは「ワンダーウーマンは私が信じる社会を動かすべき新しいタイプの女性の心理学的プロパガンダである。」と書いた[7]。1943年に『アメリカンスカラー』の記事で、マーストンは女の子のために「スーパーマンの力を持ち、善良で美しい魅力を持つ女性のキャラクター[27]」を作りたかったと述べている。
マーストンはBDSMにおける支配と服従を「尊敬すべき高貴な習わし」と明言する。マーストンは「アプロディーテの法律」と名付けた架空の規定を作った。この規定により、男性が「服従のブレスレット」を鎖でつなぎあわせるとアマゾン族のスーパーパワーを奪うことができる[28][29][30] 。しかし、どの一作でもこのマーストンの設定の全体像は明瞭に説明されておらず、作家たちやファンの間で何年もの間混乱を招いた。
ゴールデンエイジ
[編集]始めワンダーウーマンは、スティーヴ・トレバー(アメリカ合衆国諜報部員で、飛行機がアマゾンの孤島の祖国に墜落した)を「男の世界」へ帰し、犯罪とナチスの悪と戦う権利を勝ち取ったアマゾン族の戦士である[31]。
この時代ワンダーウーマンは、アメリカ・ジャスティス・ソサエティーにチームの秘書として参加した[32][33]。
シルバーエイジ
[編集]シルバーエイジの間、作家のロバート・カニアーの下で他のキャラクターと共にワンダーウーマンの誕生が改訂された[34]。 新しい誕生の話では、彼女のベビーベッドはそれぞれの神から天恵を受け、ダイアナは「アプロディーテーのように美しく、アテーナーのように賢く、ヘーラクレースのように強く、ヘルメースのように素早くなる宿命にある[35]」ため、キャラクターのヘレニズム的かつ神話的ルーツが増した。
1960年代の終わりごろ、マイク・セコースキーの導きの下、ワンダーウーマンは別の次元のアマゾン族の仲間に同行するのではなく、男の世界に留まるために自らの力を放棄した。ワンダーウーマンは別名のダイアナ・プリンスを使い始め、モッズのブティックを開いた。彼女はアイ・チング という中国人の師を得た。彼はダイアナに武道と武器のスキルを教えた。彼女の戦闘能力をスーパーパワーの代わりに使うことで、ダイアナはスパイ行為から神話的なものまで、さまざまなジャンルにわたる冒険に加わった[36][37] 。彼女の物語におけるこの側面は英国スパイのスリラー『おしゃれ(秘)探偵』(アベンジャーズ)とダイアナ・リグによるエマ・ピールの演技から影響が直接及んだ[38]。
ブロンズエイジ
[編集]1970年代始め、ワンダーウーマンはタイトルロールをつとめる『ワンダーウーマン』シリーズで、『ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ』における本人のスーパーヒーローとしてのルーツに戻り、第二次世界大戦の時代が描かれた[39]。しかしこれは結局、第二次世界大戦時代を舞台にした当時のテレビシリーズの人気のせいであり、ひとたびテレビ番組が1970年代に戻ると、コミックも同じく70年代に戻った。
1980年代の到来とともに、DCの社長ジェネット・カーンはワンダーウーマンの容姿を改革するよう指示を出した。1977年にDCが採用する銃弾のロゴをデザインしたアーティストのミルトン・グレイサーが「WW」のエンブレムを様式化し、彼女のコルセットの鷹を連想させる代わりの物として1982年以降用いられた[40]。このエンブレムはもまた、スタジオのレタラーであるトッド・クラインによって毎月のタイトルロゴに組み込まれ、グレイサーのスタジオの別のバージョンへと変わるまで、1年間半続いた[41]。このタイトルの売り上げは1985年までに下がり続け、未刊行に終わったものの、改革版を求める動きもあった。しかしシリーズは中止となり、ゲリー・コンウェイによってスティーヴ・トレバーとワンダーウーマンの結婚が描かれた329号(1986年2月)で終了した。
1986年に行われた『ザ・クライシス・オン・インフィニット・アース』のクロスオーバーは、DCのキャラクターをもう一度きちんとした連続性を保ってすっきりした形に整理し、新たな時代に向けて再発明する目的でデザインされ描かれた。しかし、ワンダーウーマンとスティーヴ・トレバーはアース2の次元から来たことが明らかになり、2人が行った全ての事績とともに歴史から抹消された。したがって、新しいワンダーウーマンのキャラクターやお話、タイムラインなどが優先できるようになった。
モダンエイジ
[編集]1985年の『クライシス・オン・インフィニット・アースズ』シリーズに続いて、ジョージ・ペレス、レン・ウェイン、グレッグ・ポッターが、ワンダーウーマンを外の世界に平和をもたらす任務を任されたセミスキラからパトリアークス・ワールドへの密使であり大使として描き、キャラクターの誕生の物語を書き直した。ペレスはギリシャ神話から様々な神やコンセプトをワンダーウーマンの物語や生まれに組み込んだ。彼のキャラクターの解釈は現代のワンダーウーマンの物語の基礎としての役割を果たし、ダイアナが粘土から生まれたという広く認められていた誕生を発展させた。この再開は批評的かつ商業的に成功した[42]。
2010年8月(600号)で、J・マイケル・ストラジンスキーがシリーズの執筆責任を追うようになり、ワンダーウーマンを神によって作られた別の時間軸に登場させた。この時間軸では、パラダイス島は破壊され、アマゾン族は世界中に散り散りになった[43] 。この時間軸の中で、ダイアナはニューヨーク生まれの孤児だ。世界中がワンダーウーマンの存在を忘れ、このシーズンの主なストーリーは、ダイアナは彼女自身はっきりと覚えていないのにも関わらず、現実を取り戻そうと試みる。ザ・モリガンと呼ばれる三人組の女神たちがワンダーウーマンの主な敵を演じた[44][45]。このシリーズでワンダーウーマンはジム・リーによってデザインされた新たなコスチュームを身に付けた[46]。ストラジンスキーが構想を決め、ワンダーウーマン605号まで執筆の責任を果たし続けた。作家のフィル・ヘスターがその後シリーズを続け、結局ワンダーウーマン614号で終わった[47]。
2011年にDCコミックスは新たな世代の読者を引きつけるため、すべての出版シリーズを再スタートさせ、4巻目のワンダーウーマンのタイトルがリリースされた。ブライアン・アザレロとクリフ・チアンはそれぞれ執筆と作画の仕事に割り当てられ、キャラクターの歴史を大幅に改革した。この新しいシリーズで、ワンダーウーマンはマーストンのオリジナルのコスチュームと似ているコスチュームを身に付け、剣と盾を活用し、全く新しい誕生物語を割り振られた。もはや神の魔法で命を吹き込まれた粘土の人形ではなく、その代わりに半神で、ヒッポリタとゼウスの間に生まれた娘とされた。アザレロとチアンのキャラクターの改革は批評で称賛されたが、キャラクターを長く支持してきたファンたちの間で大きな対立を生んだ[48][49][50][51]。
『ハーレイの小さな黒い本』の一部のサイドストーリーで、ワンダーウーマンはロンドンでハーレイ・クインに出会った。ハーレイは何年もの間ワンダーウーマンの大ファンであり、少々夢中になっていて、短期間チームを組んだ。悪党との戦いの後、ワンダーウーマンとハーレイの2人は地元のバーに退散し、そこでハーレイは英国のスーパーチームに加わろうと提案し、さらに魔法の投げ縄を盗んだが、これは他のお客と「真実か挑戦か」ゲームができるよう自分の体に巻き付けるのが目的なだけであった。最後に2人が目撃されたのは、ワンダーウーマンが眠っているハーレイをバーの外に運び出す姿である。その他の作品では、ハーレイが縛られ、ワンダーウーマンにキスをしようとしているところを見ることができる。
2016年に、DCコミックスは「DCリバース」の継続的な再起動の一部として、作家のグレッグ・ルッカによる新たな隔月のワンダーウーマンシリーズを含む、全ての出版物をもう一度再スタートした。新しいシリーズは、毎号通例のストーリーが展開する形をとらず、そのかわりに2つの違うストーリーラインが一冊をシェアする。あるストーリーが1号おきに出て、別ストーリーがその間に出る。このストーリー展開の実行は『ザ・ライズ』は奇数号で『イヤー・ワン』が偶数号で始まった。こうした号に登場するストーリーラインは、それ以前の『ニュー52』シリーズの出来事を効果的に再説明するものである。『ザ・ライズ』[52]のストーリー展開は近年のワンダーウーマンシリーズの多くの出来事を明らかにした。このシリーズの中でダイアナはアマゾン族の女王であり戦争の神とされた。実際には、すべての幻覚はミステリアスな悪党によって作られ、彼女はセミスキラを去って以来一度たりとも戻ることはなく、また彼女はそこに戻ることもできない。『イヤーワン』の物語は、彼女を古典的なDCのルーツに連れ戻すことを意図し、どのような方法で彼女がオリンピアの神々から彼女の力を授かったのか[53] を明らかにすることで、ダイアナのまったく新しい出自の物語を説明した[54]。 ワンダーウーマンはDCリバースに赤いケープと軽い防護服などの変更された衣装で登場した。現在は頻繁に、投げ縄と腕輪と共に剣と盾を活用している。『ワンダーウーマン・リバース』のアーティストのリアム・シャープは新しい防護服を彼女がさらに自由に動くことが可能な実用性のあるものとして描いた[55]。
文化的影響
[編集]批評と反響
[編集]神のような強さを持つ情け深い戦士として、ワンダーウーマンは戦争や暴力よりも平和や愛を好んだ。これには矛盾があるため、ワンダーウーマンは長らく女性の地位向上のシンボルである一方、議論の的でもある。初期のワンダーウーマンの物語は、多くのボンデージの描写を主に扱ったため、批評家たちは危惧した。
肯定的なロールモデルであり、女の子や男の子向けの強い女性キャラクターとして作られても、何十年もの間、ワンダーウーマンはコミックブック産業ではありふれたものであるミソジニーに対処しなければならなかった。例えば、ワンダーウーマンはジャスティス・ソサエティー・オブ・アメリカの創立メンバーである。この名簿にはオリジナルのフラッシュやグリーンランタンが含まれている。ワンダーウーマンは経験を積んだリーダーであり、容易に彼らの誰よりも強くなれるにも関わらず秘書として描かれた。さらに彼女は殆どのジャスティス・リーグの冒険の中で彼女の力を失ったり、捕まったりすることがあった。50年代と60年代の間、コミック作家は頻繁にワンダーウーマンがアメリカ軍の少佐スティーヴ・トレバーとの恋に悩んでいるようにした。物語では頻繁にワンダーウーマンがスティーヴ・トレバーとの結婚を望み、どうなるか想像している様子が描かれた。
ワンダーウーマンの名前は『エンパイア』の選ぶ偉大なコミックブックキャラクター20選に挙げられた[56]。彼女はコミックス・バイヤーズ・ガイドのコミックに登場するセクシーな女性100のリストに6位でランク付けされた[57] 。2011年5月には、ワンダーウーマンはIGNの従来のコミックブックのヒーロー100で5番目となった[58]。
ワンダーウーマンへの反応が肯定的であったとは限らない。議論の的となる『無垢への誘惑』で、精神科医のフレデリック・ワーサムは、ワンダーウーマンは強さや独立性のせいでレズビアンになると、批判的な調子で主張した[59]。
フェミニストアイコン
[編集]ワンダーウーマンのオリジナルの能力の復活は、雑誌『Ms.』の創設者であり、フェミニストアイコンであるグロリア・スタイネムに負うところがある。スタイネムは、最も有名な女性のスーパーヒーローが無力でボーイフレンドのことばかり考えている囚われの姫君であることに気分を害していた。スタイネムはコスチューム姿のワンダーウーマンを1972年の『Ms.』初号の表紙に登場させた。DCコミックスのオーナーでもあるワーナー・コミュニケーションズ(現タイム・ワーナー)は『Ms.』の投資者で、この雑誌にはキャラクターを高く評価するエッセイが含まれていた[60]。ワンダーウーマンの力と伝統的なコスチュームは1973年1~2月の204号にて復帰した [60]。
1972年、革新的なアメリカ合衆国最高裁判所の判決(ロー対ウェイド事件)のちょうど1か月後、SF作家のサミュエル・R・ディレイニーは『Ms.』のために、私服のワンダーウーマンが妊娠中絶クリニックを守る物語を計画をしていた。しかし、スタイネムがワンダーウーマンがコスチュームを身に付けないことに不満を示したため、議論を呼びそうな物語は発表されなかった[61]。
ワンダーウーマンの本来の意義は、男性のみが得るのではないものとして身体的、精神的強さ、価値、倫理的な特質を披露することで、全ての年齢の多くの女性に影響を与えようという意図があった。「ワンダーウーマンは、今、フェミニストたちがメインストリームに加えようとしている、女性の文化のものとされるたくさんの価値観を象徴している。それは女性の強さや自己に対する信頼、女性の絆、女性間の相互サポート、平和と生命の尊重、また『男らしい』攻撃性及び暴力は戦争を解決する唯一の方法であるという信念を両方ともなくしていくことなどだ」と当時スタイネムは書いた[62]。
ワンダーウーマンの誕生と、ウィリアム・モールトン・マーストンがこのキャラクターをこうした形で作った理由の裏にある心理を考えることにより、マーストンの教育的、道徳的、倫理的価値観がよく理解できる[63] 。「ウィリアム・マーストンは彼女をフェミニストのキャラクターにすることを意図し、若い男性たちに、有名なスーパーマンと同じように強いとも考えうる女性の無限の可能性を示した」と、グラディス・L・ナイトは、スーパーヒーローが1870年代から現在までに社会に及ぼした強い印象と影響を説明した。
マーク・ディパオロはワンダーウーマンの制作者と歴史を紹介し、「キャリア」の全段階において、いかに彼女が「第二次世界大戦の退役軍人で、フェミニストアイコン、セックスシンボル」であるかを論証した。ワンダーウーマンは多くの映画に出演し、赤、白、青のワンピースと、背が高く、セクシーな自己主張の強さで最も一般的に知られている。ディパオロによると、多くの人が知らないのは、いかに彼女のキャラクターが現実の人間、すべての年齢、性別、民族、人種に影響を与え、ワンダーウーマンがコミックとスーパーヒーロー世界の歴史の中で大きな役割を果たしたのかということである。「マーストンはコミックブックのキャラクター、ワンダーウーマンを、女性が言い訳を伴わない自己主張の強さを見習うよう促す手段として力強くかつセクシーに作った[64]」。
影響力のあるフェミニストアイコンとしての伝統を継続し、2015年にワンダーウーマンはコミックシリーズで初めて同性愛婚式を執り行うスーパーヒーローとなった[65][66]。
2016年10月21日、国際連合がワンダーウーマンを女性や女子の地位の向上に対する国際連合名誉大使に任命し、議論を呼んだ[17][18]。式典には国連広報担当事務次長クリスティーナ・ガラッチや女優のリンダ・カーター、ガル・ガドットが出席した。このキャラクターは2か月後、ワンダーウーマンは「文化的注意が不足している」そして「国際連合が明白に性的イメージのあるキャラクターを使うことを考えることに警戒心を抱く」という任命に反対する請願の主張により、国連の役割を外された [19]。
平和主義アイコン
[編集]雑誌『Ms.』の編集者であり、ワンダーウーマンの強いサポーターであるグロリア・スタイネムは「...(マーストンは)ワンダーウーマンを小さい女の子向けのヒロインであり、男の子向けの暴力的なコミックブックの代わりになるものとして意識しつつ発明した[67]」と述べた。DCコミックスのライターであるジェイソン・バドワーも、ワンダーウーマンが「ストーリーの中で実際には何も暴力的なことをしていない」ことを褒め称えている[68]。
ニック・パンフリーはワンダーウーマンは希望を与え、女性と男性にインスピレーションを授ける非暴力ののろしであると述べた[69]。グラント・モリソンは映画版『ワンダーウーマン』の戦闘的なヒロイン像を批判し、「マーストンのダイアナは医者であり、科学者である」と述べた[70]。
LGBTアイコン
[編集]マーストンの初期の作品には言外に「女性同性愛の潜在要素」が含まれていることで悪名を馳せた。フレデリック・ワーサムは『無垢への誘惑』で彼女を「バットマンと同様のレズビアン」だと言及した(ワーサムはバットマンも同性愛者だと考えていた)。DCコミックスが彼女のセクシュアリティを軽く扱うことを試みた以降の10年、コミックブック作家とアーティストはワンダーウーマンのエロティックな遺産の暗示以上のことは行わなかった。
最近のDCコミックス・リバースの正典と並行するグラント・モリソンの2016年のコミック『ワンダーウーマン・アース・ワン』で、ダイアナが身体に左腕をまわしたブロンドの女性から右頬にキスをされる姿が描かれた[71]。
ワンダーウーマンは「自分らしくいる人」さらに「ただ彼女らしくいること」を愛しているため、「性的なラベルをつけられる」必要はないと感じている。女性のみが人口を占める社会から来たので、「世間の目」だと「レズビアン」になるものは彼女たちにとっての「ストレート」であったのかもしれない。「彼女の文化は始めから完全に異性愛規範の足かせから自由であるため、彼女はいかなる性別における性役割さえももっていない[72]」。彼女と他のアマゾン族イオがお互いに相互の好意を抱いていていたことで、ワンダーウーマンはクィア[73]または両性愛であることが暗示された[74]。
2016年、『センセーション・コミック』は同性婚式を執り行うワンダーウーマンを48号で描いた。オーストラリア人のイラストレーター、ジェイソン・バドワーによって描かれた。「私の国は女性だけの国。私たちにとってこれは「同性婚」ではない。これはただの結婚」と彼女はスーパーマンに主張した。アメリカ合衆国の50州で平等な結婚を確立した6月のオーバーグフェル対ホッジス裁判に触発され、バドワーはDCコミックスがこの号に関する自分のアイデアを「素晴らしい」と思ってくれたと述べた。『シドニー・モーニング・ヘラルド』のインタビューで、彼は編集者が「『とても良い!大好きだ!やろう!』という感じだった。あれはほとんどあっけないものだった」と述べた[75]。「ダイアナの母(女王)は、少なくともこういう結婚式を公認していたし、執り行った機会もあった」とバドワーは述べた。「これはただこのことに感謝する人びとのためにダイアナが引き受けた王室の務めのように思われる[68]」。
ワンダーウーマンの同性愛者の権利に対する支持は、2016年9月にさらに一歩進んだ。この時、コミックブック作家のグレッグ・ルッカがDCリバースのリブートによるとワンダーウーマンはキャノンにおいてバイセクシャルであると発表した[76]。ルッカは彼の意見として、彼女はクィアに「でなければならない」し、「明らかに」美しい女性に囲まれた島で同性愛関係をもっていたと述べた[77][78] 。これはグラント・モリソンによって、別展開でキャノンというわけではない『アース・ワン』でワンダーウーマンが描かれた内容に従うものである[79] 。そしてワンダーウーマン作家の同僚ゲイル・シモンは断固としてルッカの声明を支えた[80]。ファンクラブの反発の量に驚き、ルッカは「憎悪をたぎらせている人々」に対して、スーパーマンが真実を大事にしているのと同じくらい、女性との合意上のセックスはワンダーウーマンにとって大事なものだと返答した[81]。
ワンダーウーマンの女優ガル・ガドットはリブートにおける性的指向の方向性に好意的に反応し、ダイアナのセクシュアリティは女性だけのセミスキラで育ったことが影響したと同意した[82][83][84]。
その他のメディア
[編集]1941年12月の『オールスターコミックス』8号でのデビュー以来、ダイアナ・プリンス/ワンダーウーマンはコミックブックに加えて、「スーパーフレンズ」などのテレビアニメーション番組やDCオリジナルビデオアニメ映画、ビデオゲーム、1970年代の実写テレビドラマ『ワンダーウーマン』、劇場コンピュータアニメーション「LEGO ムービー」(厳密にいうと彼女の初めての銀幕デビュー作)、DCエクステンデッド・ユニバースの実写映画「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016)」、「ワンダーウーマン(2017)」など多くの様々な形で出演をしている。2017年11月には、DCエクステンデッド・ユニバースが公開する「ジャスティス・リーグ」に登場した。
エリザベス・ホロウェイ・マーストンと彼女の夫のウィリアム・モールトン・マーストン、オリーヴ・バーン、そしてワンダーウーマンの創作についての伝記ドラマ「マーストン教授とワンダーウーマン」が、2017年10月27日に公開予定である[85]。
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External links
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