利用者:まとりょーしか/sandbox4
パラグラフライティング (paragraph writing) とは、文章の構成の一つである。その構成では、まず文章の論旨から述べ、なおかつ文章の展開が論理的であることが求められる。パラグラフライティングは、英語圏では文章の一般的なスタイルとなっている[1]。アメリカでは、パラグラフライティング (five paragraph essay) が、少なくとも大学までには必修とされている[2]。
パラグラフライティングの構成は、主張→根拠 から成る。文章は序論、本論、結論のそれぞれのパラグラフ (段落) に分かれ、筆者の主張 (シーシス) は序論に書かれる。本論は、その主張の根拠である。本論は1つ以上のパラグラフから成り立つ。本論のパラグラフは、その内容を一文で表したトピックセンテンスと、その裏づけとなる複数のサポーティング・センテンスから出来ている。結論は、全体のまとめである。そこでは、序論の主張が別の表現で繰り返される[1][3]。
パラグラフ
[編集]パラグラフ (paragraph) とは、あるトピック (topic, 人や物事) について述べた文の集まりである。パラグラフは、日本語における「段落」に近いが、定義がより明確である。パラグラフライティングでは、 "One paragraph, one topic sentence"[4] すなわち「1つのパラグラフには1つのトピックセンテンス」が原則である。新たなトピックを述べるときには、パラグラフを分ける。トピックと無関係な文 (irrelevant sentences) は書いてはならない[5][1]。起承転結の「転」のような論述は、論理の飛躍 (logical leap) であるとして認められない[1]。文章は「章」(chapter) に分けられ、章は「節」(section) に分割され、そして、節はトピックごとにパラグラフに分けられる[6]。
序論 (Introduction)
[編集]序論は、筆者の主張が示されるところである[要出典]。序論のパラグラフは、ゼネラル・ステートメント (general statement) とシーシス・ステートメント (thesis statement) から成り立つ。ゼネラル・ステートメント (前提) は、これから筆者が主張することの前提を述べた部分である。シーシス・ステートメント (論旨) は、筆者が文章全体を通して最も言いたいことである。序論は、まず一般的な事実であるゼネラル・ステートメントから始まり、筆者の具体的な意見であるシーシスで終わる。最初にゼネラル・ステートメントが置かれるのは、何の前提も書かずにシーシスを示せば、読者に唐突な印象を与えるためである[要出典]。
以下は、ゼネラル・ステートメントの例である。これらはシーシスの前提になる。
ウィキペ市の市長選挙が1ヶ月後に行われる (ゼネラル・ステートメント)
Xさんが今回の選挙に立候補している (ゼネラル・ステートメント)
以下は、シーシス・ステートメントの例である。
有権者のみなさんはXさんに投票してほしい (シーシス)
このシーシスの根拠は、次の本論のパラグラフで示される。
本論 (Body)
[編集]本論は、序論で述べたシーシスの根拠を書くところである[要出典]。 本論のパラグラフは、トピックセンテンス (topic sentence) とサポーティングセンテンス (supporting sentences) から出来ている。トピックセンテンスはパラグラフの先頭に書かれ、複数のサポーティングセンテンスがそれに続く[7][3][1]。最も単純なワン・パラグラフ・エッセイ (one-paragraph essay) では、パラグラフの数は1つであり、それは本論のみで構成されている[要出典]。
トピックセンテンス
[編集]トピックセンテンスは、シーシスの根拠を手短に述べた文である[要出典]。トピックセンテンスは、主題文または要約文[8]とも呼ばれる。トピックセンテンスはパラグラフの最初に置かれ、1つのパラグラフにつき1つのみである[要出典]。 以下は「有権者のみなさんはXさんに投票してほしい」というシーシスを裏づけるトピックセンテンスの例である。
Xさんは福祉の充実を公約している (トピックセンテンス) + パラグラフ
Xさんはロボット工場の誘致を目指している (トピックセンテンス) + パラグラフ
Xさんは市議の時代の公約を全て実現した (トピックセンテンス) + パラグラフ
ここでは、"One topic sentence, one main idea" の原則があり、トピックセンテンスで言いたいこと (メインアイディア) は、1つに絞らなければならない。例えば、「Xさんは福祉の充実を公約しており、また、ロボット工場の誘致も目指している」といった文は、トピックセンテンスではない。この文は分割され、互いに別々のパラグラフに書かれなければならない[要出典]。
このように、本論のそれぞれのパラグラフで、「Xさんは福祉の充実を公約している」「Xさんはロボット工場の誘致を目指している」「Xさんは市議の時代の公約を全て実現した」などといったトピックセンテンスが、そのサポーティングセンテンスとともに示される。それらは文章全体のシーシス (「有権者はXさんに投票するべきである」) を支持する[要出典]。
サポーティングセンテンス
[編集]サポーティングセンテンスは、トピックセンテンスの内容を具体的に述べたものである。これらの文は、トピックセンテンスに説得力を持たせるために、理由、例、データ、引用、または体験談などを示す。サポーティングセンテンスは支持文とも呼ばれる[要出典]。以下は、トピックセンテンスを裏づけ、サポートするサポーティングセンテンスの例である。
Xさんは福祉の充実を公約している (トピックセンテンス)
15歳以下の子どもの医療費が無料になる (サポーティングセンテンス)
高齢者の生活保護の審査が緩和される (サポーティングセンテンス)
妊産婦に300万円の一時金が支給される (サポーティングセンテンス)
『ウィキペ新聞』はxx月xx日の記事で、これらの公約を先進的なものとして取り上げている (サポーティングセンテンス)
これらの公約は、子どもと高齢者が家族にいる自分から見て評価できるものだ (サポーティングセンテンス)
サポーティングセンテンスの次に、コンクルーディングセンテンス (concluding sentence) の置かれる場合がある。コンクルーディングセンテンスは締めくくりの文であり、トピックセンテンスの言い換えである[要出典]。
このように、先進的な福祉政策がXさんの公約である (コンクルーディングセンテンス)
結論 (Conclusion)
[編集]パラグラフの種類
[編集]説明のパラグラフ
[編集]説明のパラグラフ (illustrative paragraph) は、
論争のパラグラフ
[編集]論争のパラグラフ (argumentative paragraph, 反駁) は、
比較のパラグラフ
[編集]比較のパラグラフ (comparison paragraph) は、
分類のパラグラフ
[編集]分類のパラグラフ (classification paragraph) は、
描写のパラグラフ
[編集]描写のパラグラフ (descriptive paragraph) は、
比較
[編集]パラグラフライティングは、必ずしも普遍的なスタイルではない。例えば、フランスでは、古代からの伝統的な弁証学[9](ディアレクティカ) が一般的である。弁証学は、反駁(はんばく)の必ず存在する点がパラグラフライティングと異なる。そこでは、自らの主張への反論を示し、それに再反論することが望ましいとされる[10][注釈 1][注釈 2]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e ここまで。田辺希久子、光藤京子(Japanese)『英日日英プロが教える基礎からの翻訳スキル』三修社、2008年9月22日、64-65頁。ISBN 4384055064。
- ^ #倉島 p. 34.
- ^ a b ここまで。岩本一 (2002-03). “パラグラフ・ライティングの応用” (Japanese). dialogos: 東洋大学文学部英語コミュニケーション学科紀要 (東洋大学文学部英語コミュニケーション学科) (2): 25-41 2014年5月11日閲覧。.
- ^ 岩本一 (2002-03). “パラグラフ・ライティングの応用” (Japanese). dialogos: 東洋大学文学部英語コミュニケーション学科紀要 (東洋大学文学部英語コミュニケーション学科) (2): 26 2014年5月11日閲覧。.
- ^ ここまで。#倉島 pp. 26-28.
- ^ #倉島 pp. 28 f.
- ^ ここまで。#倉島 pp. 26-29.
- ^ #倉島 p. 96.
- ^ 『大辞林』 第三版 三省堂「べんしょうがく【弁証学】」の頁
- ^ ここまで。#渡辺 pp. 599, 611.
参考文献
[編集]- 大谷加代子、Husky, Kay(English/Japanese)『Points to paragraphs: パラグラフライティング-基礎から応用まで』マクミランランゲージハウス、2004年。ISBN 4895855252。
- 倉島保美(Japanese)『論理が伝わる世界標準の「書く技術」』講談社〈ブルーバックス〉、2012年11月21日。ISBN 978-4062577939。
- Kelly Kennedy‐Isern 著、竹内理, 西香生里 , 藪越知子 編(English/Japanese)『基礎からわかるパラグラフ・ライティング』松柏社、2007年10月。ISBN 4881985647。
- 靜哲人(Japanese)『構造から学べるパラグラフライティング入門: Writing facilitator』松柏社、2011年12月。ISBN 978-4881985373。
- 津田塾大学英文学科(English/Japanese)『パラグラフから始める英文ライティング入門』 2巻(2版)、研究社、2001年10月1日。ISBN 978-4327421571。
- 渡辺雅子 (2007-05-21). “日・米・仏の国語教育を読み解く: 「読み書き」の歴史社会学的考察” (Japanese). 日本研究 (国際日本文化研究センター) 35. ISSN 09150900 2014年6月5日閲覧。.