コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

宮本旅人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
利用者:ちょこ丸から転送)

宮本 旅人(みやもと たびと、1907年明治40年)8月31日 - 1982年昭和57年)9月13日は、日本作詞家。本名は宮本 護(みやもと まもる)。

代表作にディック・ミネ石原裕次郎が歌った「旅姿三人男」がある[1]

      宮本旅人

略歴

[編集]

1907年(明治40年)8月31日に熊本県菊池郡菊陽町で生まれる。熊本第二師範学校、県青年学校教員養成所卒。

甲佐青年学校教諭を一年間勤めた後上京、作家、作詞家活動に入った。著書には「古賀政男芸術大観」「中山晋平伝・歌謡山脈」、歌集「流離」、映画原作「男対男」「風呂たき大将」などがある。

創作活動は多面に亘っていたが、大きく分けると、短歌・レコード歌謡・小説・新聞編集・絵画の5つの分野にまとめられる。このうち中心は短歌で、短歌結社「ぬはり社短歌会」に加入したのが二〇才の昭和三年であり、亡くなる昭和五七年まで半世紀余の間、時々中断された時期もあったが、ほゞ一貫して投稿してきた。

このように短歌を縦糸としているが、他方、時代に応じて多彩な横糸が織込まれている。大づかみに時代区分すると、次の五期に区分できる。

①短歌の時代(昭和二年~昭和七年)

昭和二年(二〇才)に熊本県立第二師範学校を卒業後、瀬田西部小学校の教員になると、大津町の仲間と共に歌誌「韮」を創刊して、本格的に短歌作品を発表する。翌昭和三年二月には、設立されて間もない短歌結社「ぬはり社」に加入している。そして同年五月に熊本歌話会にも属する。

 代表作 処女歌集『流離』

②レコードの時代(昭和八年~昭和一四年)

昭和八年に文筆家になるべく、教員を辞して上京し、昭和一〇年に「思ひ出す時」でレコード界にデビュー。以後四年余の間に、テイチク、キング、ポリドール、タイヘイ等のレコード会社から、歌謡曲・・等を二百曲以上発表する。

 代表作 「旅姿三人男」、「里恋峠」

③小説および実話の時代(昭和一五年~昭和三五年)

昭和一五年に満州に渡り、 満鉄機関紙「協和」の編集記者、更に大日本雄弁会講談社の特派作家になる。戦後も引き続き講談社・光文社等から、小説・実話物等を「キング」「婦人倶楽部」 「少年クラブ」「幼年クラブ」、「少年」「少女」、「読切俱楽部」「実話雑誌」等に発表し、その中から単行本になったもの、映画化されたものもいくつかある。

 代表作 小説「男対男」  (映画名「命も恋も」)

④新聞・雑誌編集の時代(昭和三六年~昭和四五年)

昭和三六年に、埼玉県農協経済連の嘱託となり、「埼玉県経済連新聞」を企画・編集・発行する。昭和三九年に「歌謡新地図」を創刊し、四二年まで続ける。

 代表作 雑誌「埼玉県の農家日記」

⑤絵画の時代(昭和四五年~昭和五七年)

この時期には、再び様々な創作活動に入り、歌集「流転」の出版、小説「中山晋平伝・歌謡山脈」の新聞連載、歌謡小誌「火の国歌謡」の創刊と続く。中でも油絵に時間をさくことが多くなり、趣味の範囲を超えて、晩年は「新洋画会」に加盟するなどかなり傾倒する。

 代表作 小説「中山晋平伝・歌謡山脈」


1982年(昭和57年)9月13日に千葉県白井市の白井中央病院 で「心筋梗塞」のため75歳で死去。

主な業績

[編集]

作詞

[編集]

歌謡曲

[編集]
曲名 歌手名 作曲者名 作詞年度 レコード会社
想い出す時や 林 伊三緒 服部良一 昭和11年6月 ニットー
爪弾小唄 喜代丸 片岡志行 昭和11年9月 タイヘイ
街の相棒 二村定一 平岡照章 昭和11年10月 キング
若い二人が 近衛八郎井口小夜子 田村しげる 昭和11年11月 キング
加留多くずし 美ち奴 大村能章 昭和12年1月 テイチク
パパママソング 悦ちゃん 鈴木哲夫 昭和12年2月 テイチク
呑気な床屋 竹内龍夫 片岡志行 昭和12年3月 タイヘイ
恋のSOS 奥田英子 佐藤富房 昭和12年5月 テイチク
こんな妾に誰がした 喜代丸 長津義司 昭和12年5月 タイヘイ
恋慕船歌 楠木繁夫 大久保徳二郎 昭和12年7月 テイチク
山の凱歌 藤山一郎 堀内好男 昭和12年8月 テイチク
曇り後晴 楠木繁夫・奥田英子 大久保徳二郎 昭和12年8月 テイチク
銀座八丁 藤山一郎 佐藤富房 昭和12年9月 テイチク
別れの街角 近衛八郎 北村輝 昭和12年9月 テイチク
晴れの首途に 美ち奴 佐渡暁夫 昭和12年10月 テイチク
暁けゆく空 藤山一郎 堀内好男 昭和12年11月 テイチク
駆けろ荒鷲 藤山一郎 佐渡暁夫 昭和12年12月 テイチク
皇国の妻 奥田英子 佐渡暁夫 昭和12年12月 テイチク
誉れの白袴 藤山一郎 佐渡暁夫 昭和12年12月 テイチク
沙漠の進軍 藤山一郎 佐渡暁夫 昭和12年12月 テイチク
勝って兜の緒をしめよ 美ち奴 宮脇春夫 昭和13年1月 テイチク
手向けの花 藤山一郎 佐渡暁夫 昭和13年3月 テイチク
娘々まつり 由利あけみ 前川進 昭和13年4月 テイチク
エジプト夜曲 藤山一郎 佐渡暁夫 昭和13年5月 テイチク
蒼茫の下に 藤山一郎 山下五郎 昭和13年5月 テイチク
紙上対面 美ち奴・古賀久子 鈴木哲夫 昭和13年5月 テイチク
鎌倉武士 楠木繁夫 宮脇春夫 昭和13年6月 テイチク
花婿の言葉 ディックミネ 佐渡暁夫 昭和13年7月 テイチク
がっちり貯金 美ち奴・杉狂児 鈴木哲夫 昭和13年8月 テイチク
旅姿三人男 ディックミネ 鈴木哲夫 昭和13年8月 テイチク
陣中お国自慢 杉狂児 佐渡暁夫 昭和13年9月 テイチク
軍国綴方教室 田村しげる 樋口静雄 昭和13年12月 キング
高粱たいて 塩まさる 橋本成美 昭和13年12月 キング
橋は僕らが担いでいる 樋口静雄 細川潤一 昭和13年12月 キング
故郷の新聞 塩まさる 細川潤一 昭和14年1月 キング
国境の乗合馬車 秩父晴夫 木村武彦 昭和14年3月 タイヘイ
若いチャイナさん 杉狂児 鈴木哲夫 昭和14年3月 テイチク
戦場の花 松島詩子 島田逸平 昭和14年3月 キング
僕の武勇伝 杉狂児 佐渡暁夫 昭和14年4月 テイチク
想い出のパレホ 松山映子 島田逸平 昭和14年5月 キング
帰らう帰らう漢口へ 三原純子・高橋文夫 木村武彦 昭和14年5月 タイヘイ
大陸の花嫁 喜代丸 飯田三郎 昭和14年7月 タイヘイ
里恋峠 田端義夫 陸奥明 昭和14年9月 ポリドール
懐しのヴィオロン 藤山一郎 奈良敦夫 昭和15年1月 テイチク
上海ラプソディー 轟夕起子 斉藤潔 昭和15年6月 テイチク
南京よいとこ 林 伊三緒 島田逸平 昭和15年8月 キング
アリラン悲歌 津村謙 上原げんと 昭和26年1月 キング
なつかしの満州 阿部徳 大海栄一 昭和38年2月 ニホンスター

童謡

[編集]
曲名 歌手名 作曲者名 作詞年度 レコード会社
ほたる 本居若葉 本居長世 昭和7年7月 ビクター
てるてる坊主 高城日出子 定方雄吉 昭和11年11月 キング
おさるとらっきょう 滝口裕子 山口保治 昭和12年1月 キング
海軍の兄さん 武田玲 平岡照章 昭和12年4月 テイチク
良寛さま 増田登志子 玉山英光 昭和12年12月 テイチク
こけしのふるさと 高石かつ枝 大海栄一 昭和39年11月 ニホンスター

歌曲

[編集]
曲名 歌手名 作曲者名 作詞年度 レコード会社
深渕   古関裕而 昭和10年7月  
日向賛歌   古関祐而 昭和36年3月  
初恋   平井康三郎 昭和39年11月  
春燈   鈴木林蔵 昭和42年10月  
カヤノ平の赤い花 伊藤あつし 八洲秀章 昭和45年11月 ビクター
義烈空挺隊賛歌   渡辺岳夫 昭和45年12月  
長かりし流転の歌   古関祐而 昭和51年11月  
荒城の町 橋本一郎 細川潤一 昭和54年4月 キング
岩井賛歌 ザ・ブレッスン・フォー 森岡賢一郎 昭和55年5月 キング

民謡

[編集]
曲名 歌手名 作曲者名 作詞年度 レコード会社
姉ヶ崎音頭 湯山光三郎 細川潤一 昭和11年7月 オーゴン
秋田おばこ 美ち奴 島田逸平 昭和12年7月 テイチク
杖立小唄 菊太郎 宮本旅人 昭和22年4月 テイチク
えびの小唄 島倉千代子 古関裕而 昭和36年3月 コロンビア
さぼてん囃子 コロムビア・ローズ 古関裕而 昭和36年3月 コロンビア
木島平民宿節 伊藤あつし 八洲秀章 昭和45年11月 ビクター
岩井音頭 春日八郎 森岡賢一郎 昭和55年5月 キング
愛林音頭 前田百代 渡辺岳夫 昭和56年3月 オリオン

校歌

[編集]
曲名 歌手名 作曲者名 作詞年度 レコード会社
姉ヶ崎農業実科学校歌 湯山光三郎 細川潤一 昭和11年7月 オーゴン
八千代台東小学校校歌   古関裕而 昭和48年2月  
鎮西高校柔道部闘魂歌   古関裕而 昭和51年7月  
白井高等学校校歌   古関裕而 昭和57年1月  

映画

[編集]

絵画

[編集]
タイトル 展示場所 制作年度
菜の花畑 茨城県北茨城市磯原町野口雨情会館 昭和55年
花岡山夜景 熊本県熊本市菊陽町役場 昭和56年
幻想里美八犬伝・伏姫岩屋 千葉県安房郡富山町役場 昭和57年
生駒高原のコスモス 千葉県船橋市航空自衛隊本部 昭和57年

著書

[編集]
タイトル 出版元 刊行年度
古賀政男芸術大観 シンフオニー楽譜出版社 昭和13年
レコード芸術入門 : 作詞家・作曲家・流行歌手 シンフオニー楽譜出版社 昭和14年
穴居兵営 満州書籍配給社 昭和18年
シベリアのターザン、デルスウ・ウザーラ 養徳社 昭和25年
レコード歌手入門 鹿鳴社 昭和26年
男対男 山ノ手書房 昭和31年
灯をともす少年たち 山ノ手書房 昭和32年
旋風一代 雄文社 昭和32年
空手剛柔流 雄文社 昭和32年
惚れたって駄目ヨ 旅姿三人男 全音楽譜出版社 昭和36年
牛島辰熊・黒帯風雲録 雄文社 昭和50年
古賀政男芸術大観(改定版) 新興楽譜出版社 昭和53年
中山晋平伝・歌謡山脈 ブイツーソリューション 令和2年

宮本旅人の関連歌碑

[編集]

1.旅姿三人男歌碑

所在地:静岡県静岡市清水区南岡町3-8 梅蔭禅寺

[2]

2.長かり流転の旅(古関裕而作曲)歌碑

所在地:  熊本県菊池郡菊陽町大字久保田2800番地 菊陽町役場       

[3]

3.八千代台東小学校校歌(古関裕而作曲)歌碑 所在地:千葉県八千代市八千代台東2-5-1

[4]

4.火の国小唄(山口白陽作詞・中山晋平作曲)歌碑 :1977年10月30日に宮本旅人が建立する。 所在地:熊本県熊本市花岡山公園 [5]

脚注

[編集]
  1. ^ https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/28154.pdf
  2. ^ 関連URL:  https://tabi-mag.jp/sz550/
  3. ^ 関連URL: https://kumajiki.hatenablog.com/entry/2022/11/30/162432
  4. ^ 関連URL: https://darkgreen.tea-nifty.com/shiroi_wind/2017/05/post-a48b.html
  5. ^ 関連URL: https://hakuyoh.client.jp/hanaokayamakahi.htm

外部リンク

[編集]