利用者:たらこ/works
(ボツネタ。作ってはみたが、この形式で載せてしまうと将来編集合戦を引き起こすような気がしてお蔵入り。しかし何かの参考になるかもしれないので、残すことにする。必要であればご自由にお使いください)
虚報(きょほう)とは、事実を偽って知らせること。
報道における虚報
[編集]今日において「虚報」という語は、報道機関が存在しない事実を意図的に捏造することを指すことが多い。誤報と同じ意味、あるいは影響の大きな誤報に対して強調する意味で用いられることもあるが、一般には過失による誤報と区別して用いられる言葉である。
代表的な虚報事件
[編集]ここでは過去における著名な虚報事件をとりあげる。
伊藤律架空会見記
[編集]1950年9月に朝日新聞記者が日本共産党幹部であった伊藤律との会見をでっちあげた事件。
伊藤律は当時レッドパージを受けて指名手配され、地下に潜伏していた。そんな中、朝日新聞は9月27日に兵庫県宝塚で伊藤の単独会見を行ったとして記事を掲載した。しかし法務府特別審査局の調べなどで捏造であることが判明し、9月30日に朝日新聞社は社告でお詫びとともに全文を取り消した。
芦田日記改ざん
[編集]1979年3月に東京新聞記者が芦田均の日記を報ずる際に加筆を行なった事件。
1979年3月12日、「芦田日記」が東京新聞に掲載された。その中で、芦田が委員長を務めた衆議院憲法改正特別委員会で日本国憲法第9条2項に「前項の目的を達するため」という文言を追加したことについて、「自衛権の行使は別であると解釈する余地を残したい、との配慮から出たものである」と記述してあるとした。この部分は多くの学者・政治家に引用され、一時期は自衛隊合憲論の一支柱となっていった。
日記は1986年1月から岩波書店によって「芦田均日記」として刊行が始められたが、この本の記述と東京新聞の記事内容が異なることに編纂者などが疑問を投げかけた。東京新聞は社内調査委員会を設けて調べた結果、4月16日付の記事で「芦田日記の本質を正確に伝える観点から、遺族に事前にお見せして了解をえたうえ」で加筆を行ったと釈明した。しかし遺族による抗議を受け、5月31日になって完全な捏造を認めた。加筆部分は3日分75行にのぼった。
ジミーの世界
[編集]1980年9月にワシントン・ポストに掲載された、児童麻薬中毒者を扱った記事。ピュリッツァー賞まで受賞したが直後に捏造であることが発覚し、アメリカ報道界に衝撃を与えた。
当時ワシントンではヘロイン常用者の増加が問題になっていたが、1980年9月28日ワシントン・ポストの1面に18歳の麻薬常習者を扱った「ジミーの世界」という記事が掲載された。この記事は大変な反響を呼び、市警察では少年の捜索隊まで編成された。大捜索にもかかわらず少年が発見されないため一部の人間から記事の信憑性に疑問があがったが、翌81年4月3日にはピュリッツァー賞のローカルニュース部門に選ばれることとなった。
ところが受賞の際に記者の経歴に偽りがあることが発覚し、不審に思った社内幹部の追及で記事が全くの創作であることが判明した。
ワシントン・ポストは社内オンブズマンに調査を依頼し、4月19日に5ページにわたって検証記事を掲載した。
サンゴ損傷事件
[編集]1989年に朝日新聞で起こった捏造写真事件。朝日珊瑚事件とも。
1989年4月20日、朝日新聞は夕刊で、沖縄西表島のアザミサンゴに彫られた「KY」という落書きの写真を環境破壊の一例として掲載した。地元ダイバー組合は報道に自作自演の疑いを持ったが朝日新聞は否定した。怒った組合側は調査を行い、5月15日に事件経過報告書を他の報道機関に送付。これを受けて朝日新聞は「古い傷をなぞって強調した」として行き過ぎ取材を認めたものの、捏造はないとした。しかし組合などの抗議を受け、5月19日になってカメラマンによる捏造を認めた。
その後10月9日に4ページにわたり調査報告を掲載している。
その他の虚報事件
[編集]やらせ
[編集]詳しくはやらせの項を参照。
TVメディアなどにおいて演出・演技を行なうことを俗に「やらせ」と呼ぶが、演出の結果本来の事実とかけはなれたものになれば、虚報となる。
原因
[編集]従来の考えでは、書き手の激しい功名心およびプレッシャーと、編集側のチェック体制の不備が組み合わさって起こるとされてきた。また、記者の思想からくる意図的な情報操作の可能性もあげられる。アメリカでは、黒人記者が事件を起こした場合に人種逆差別が原因にあげられることもある。
一方で、近年ではテレビやインターネットなどのメディアの普及や各種技術の向上などによって、記事における正確性そのものが軽んじられているのではないかという指摘もある。
関連書籍
[編集]- 後藤文康『誤報―新聞報道の死角』(岩波書店、1996年) ISBN 4004304466
- 高浜賛『捏造と盗作―米ジャーナリズムに何を学ぶか』(潮出版社、2004年) ISBN 4267017026