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氏か育ちか(Nature versus nurture)は、遺伝と環境のどちらが人の資質を形作るのかという問題。英称であるNature versus nurtureは、ビクトリア朝時代の博識家フランシス・ゴールトンのつくった言葉[1][2][3]。ゴールトンは、チャールズ・ダーウィンの書いた「種の起源」に影響をうけたのだ(ゴールトンは彼のいとこであった)[4]。彼のつくったフレーズによって具体化されたこの見方は、しかし批判も受けてきた[3][4]。この二つは緊密に絡み合った要素であるのに、それを単純に対立させているからである。たとえば、富、教育、社会的地位はしばしば歴史的に次の世代へと受け継がれてきたからだ。
氏か育ちかという問題は、議論をうんできた。個人の天賦の才とその経験のどちらが身体や行動にあらわれる形質を決定したり要因となるのかという相関的な重要性を問うものであった。Natureとはつまり先天説であり生得説のことで、Nutureとは経験主義であり行動主義のことだ。
人間があらゆる(あるいはほとんどすべて)の行動学的習性を「育ち」に負っているという考え方は、「タブラ・ラサ」(白板)という言葉でも知られている。かつてはこの問題を人の発達段階への影響としてみることが妥当だと考えられてきたが、どちらの要因も成長期には相補的な役割を持っているということが知られるにつれ、現代の心理学者の多くはあまりにナイーブな問いの立て方だとみなすようになった。学問領域では時代遅れなものとなったとみなす声もある[5][6][6][7][8]。心理学者のドナルド・ヘッブはかつてジャーナリストの質問に対してこう答えたことで知られている。「ヘッブさん。氏と育ちは、どちらがより人格に影響を与えるんでしょう?」「長方形の面積により影響を与えるのは、長さでしょうか幅でしょうか?」[9][10][11][12]。つまりこれは、氏か育ちのどちらかで生物のとる行動を説明することは、一種の「単一原因の虚偽」だという考えである。
社会学や政治学の分野では、「氏か育ちか」という議論は「構造か主体か」(structure versus agency)の問題とは対照的なものであるだろう。また言語能力やその他の地平においての議論については、心理学的生得論も参照のこと。
References
[編集]- ^ http://books.google.com/books?id=_uE-bpGo2N4C&pg=PA227&dq=Nature+versus+nurture+galton&lr=&as_drrb_is=b&as_minm_is=1&as_miny_is=1800&as_maxm_is=1&as_maxy_is=1900&as_brr=0&cd=6#v=onepage&q&f=false
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- ^ Dusheck, Jennie, The Interpretation of Genes. Natural History, October 2002.
- ^ a b Carlson, N. R. et al.. (2005) Psychology: the science of behaviour (3rd Canadian ed) Pearson Ed. ISBN 0-205-45769-X
- ^ Ridley, M. (2003) Nature Via Nurture: Genes, Experience, and What Makes us Human. Harper Collins. ISBN 0-00-200663-4
- ^ Westen, D. (2002) Psychology: Brain, Behavior & Culture. Wiley & Sons. ISBN 0-471-38754-1
- ^ Scott, A. (1995). Stairway to the mind: The controversial new science of consciousness. Springer. ISBN 0387943811
- ^ Michael J. Meaney (2001) Nature, nurture, and the disunity of knowledge. Annals of the New York Academy of Sciences 935:50–61.
- ^ Herschkowitz, N & Herschkowitz, EC (2002) A good start in life: Understanding your child's brain and behavior. Joseph Henry Press. ISBN 0309076390
- ^ Meaney M. (2004) The nature of nurture: maternal effects and chromatin remodelling, in Essays in Social Neuroscience, Cacioppo, JT & Berntson, GG eds. MIT press. ISBN 0262033232