うひ山ぶみ
表示
(初山踏から転送)
『うひ山ぶみ』 | ||
---|---|---|
著者 | 本居宣長 | |
発行日 | 寛政11年(1799年) | |
発行元 | 永楽屋東四郎 | |
ジャンル | 随筆 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 和装本 | |
ウィキポータル 歴史 | ||
ウィキポータル 文学 | ||
|
『うひ山ぶみ』(ういやまぶみ・初山踏、宇比山踏[1])は、本居宣長による国学の入門書。宣長が門人の懇願に応じて執筆した[2]。
概要
[編集]『古事記伝』完成後の寛政10年(1798年)に著され、翌年の寛政11年(1799年)に刊行された[3]。最初の書名は「濃染の初入」であったが、再稿本で現在の書名になった[2]。外題は「宇比山踏」とし、内題は「うひ山ふみ」としているが、巻末の和歌に「うひ山ぶみ」とある[4]。稿本は全て本居宣長記念館に備わる[4]。
「言と事と心とは、その様、相かなえるもの」と述べ、言語を単に伝達のための手段と見ず、言語表現そのものが人間の事実であること、言語研究は人間の心と行為、人間そのものを研究することであると明らかにした書と評される[1]。
内容
[編集]論の大要を総括的に述べ、それに(イ)~(ヤ)の印を付して細かく述べる形を取る[4]。人類全てが「まことの道」を学ぶ必要があり、「まことの道」の正体を日本にのみ伝わる「天照大神の道」であると説いた上で、「神道・有職・国史・和歌などの学問の道がそれを知るために必要である」とする[4]。その一方で「学問は持続させることが大切で、学び方はそれ程重要ではない」とした上で、学習に必要な文献と読解・注釈の方法を解説するなど、古典研究に必要なものについて論じている[4]。
注解刊行本
[編集]- 村岡典嗣校訂『うひ山ふみ;鈴屋答問録』岩波文庫、1934年
- 宗政五十緒・小椋嶺一編『宇比山踏:影印・解説』竜谷大学国文学会出版部、1967年
- 大野晋・大久保正編『本居宣長全集1』筑摩書房、1968年
- 吉川幸次郎ほか校注『〈日本思想大系40〉本居宣長』岩波書店、1978年
- 神道大系編纂会『神道大系 論説編25:復古神道』(梅澤伊勢三・高橋美由紀校注)1982年
- 白石良夫『本居宣長「うひ山ぶみ」全読解:虚学のすすめ』右文書院、2003年
- 白石良夫『本居宣長「うひ山ぶみ」全訳注』講談社学術文庫、2009年
現代語訳
[編集]- 杉浦明平ほか訳『〈日本の古典21〉新井白石・本居宣長』河出書房新社、1972年
- 石川淳訳「宇比山踏」『〈日本の名著21〉本居宣長』(石川淳責任編集)中公バックス、1984年
- 山口志義夫訳『〈「現代語訳」本居宣長選集3〉うい山ぶみ:皇朝学入門』多摩通信社、2010年
- 濱田浩一郎訳『〈いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ16〉本居宣長『うひ山ぶみ』』致知出版社、2017年
脚注
[編集]注釈
[編集]脚注
[編集]- ^ a b 原田伴彦 (1976), p. 73.
- ^ a b c 本居宣長記念館 (2015), p. 10.
- ^ 本居宣長記念館 (2018), p. 15.
- ^ a b c d e 本居宣長記念館 (2001), p. 8(杉戸清彬 「うひ山ぶみ」)
参考文献
[編集]- 原田伴彦『改革と維新』講談社〈講談社現代新書〉、1976年7月。ISBN 4061158287。
- 本居宣長記念館 編『本居宣長事典』東京堂出版、2001年12月。ISBN 4-490-10571-1。
- 鈴屋遺蹟保存会本居宣長記念館 編『宣長の版本』本居宣長記念館、2015年1月。
- 鈴屋遺蹟保存会本居宣長記念館 編『本居宣長年表:(稿)』本居宣長記念館、2018年3月。