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初めての説教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『初めての説教』
英語: My First Sermon
作者ジョン・エヴァレット・ミレー
製作年1863年
種類油彩キャンバス
寸法92.7 cm × 72.4 cm (36.5 in × 28.5 in)
所蔵ギルドホール・アート・ギャラリーロンドン
『二度目の説教』
英語: My Second Sermon
作者ジョン・エヴァレット・ミレー
製作年1863年 - 1864年
種類油彩キャンバス
寸法97 cm × 74 cm (38 in × 29 in)
所蔵ギルドホール・アート・ギャラリーロンドン

初めての説教』(はじめてのせっきょう、: My First Sermon)は、イギリスの画家ジョン・エヴァレット・ミレー1863年に描いた絵画である[1][2][3]。『私の初めての説教』とも表記される[2]

本項では、次作であり対作品である『二度目の説教』についても述べる。

作品

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『初めての説教』は、ミレーの長女、エフィー (Effie) をモデルとして描かれた肖像画であり、エフィーは当時5歳であった[1][4]。縦 92.7 センチメートル、横 72.4 センチメートルの大きさをもつ[2]ロンドンギルドホール・アート・ギャラリーに所蔵されている[2]

ミレーが自身の子どもをモデルとして描いた初めての作品であり[1]、ミレーが初めて描いたファンシー・ピクチャーである[5]。法政大学教授の荒川裕子は、この作品について、「ジェイムズ・サント (en:James Sant) が1860年に発表した『赤ずきん』に影響を受けて描かれたと思われる」との旨を述べている[2]

この作品は、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツに展示され、高い評価を得ており[2][1]、ミレーは、間隔を置かずに『二度目の説教』の製作に取りかかっている[2]

ロンドンの近郊に建つ歴史のある教会、オールセインツ教会 (en:All Saints Church, Kingston upon Thames) の中で、まだ年若い少女が緊張して堅くなった様子で、背もたれの高い信徒席に腰かけて、説教を聞いている様子が描かれている[1][2][6]。少女は、目を大きく見開いている[2]。帽子を頭に載せており、赤色のケープを身につけ、マフを用いている[7][8]。傍らには聖書の他に、手袋が置かれている[7][9]

1865年、ヘンリー・グレイヴズは、この作品を『二度目の説教』とともに版画化している[10]。ロイヤル・アカデミーの宴会においてカンタベリー大主教は、『初めての説教』および『二度目の説教』について、子どもの敬虔さの模範例である、と評価している[4][11]

対作品

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二度目の説教』(にどめのせっきょう、: My Second Sermon)は、ミレーが1863年から1864年にかけてに描いた絵画である[10]。『私の二度目の説教』とも表記される[10]。縦 97 センチメートル、横 72 センチメートルの大きさをもつ[12]。ロンドンのギルドホール・アート・ギャラリーに所蔵されている[10]

『初めての説教』と対をなしている作品であり、同じ場面が別の角度から描かれている[13]。少女が、説教に耳を傾けることに対して関心を失い、眠りに落ちてしまっている様子が描かれている[4][14]。前作で被っていた帽子は、座面に置かれている[10]

この作品も、発表された後に好評を得ており[4]、ミレーは、この作品と前作が人気を博したことによって、ロイヤル・アカデミーの終身会員としての権利を獲得している[4]。教会における説教は、短く要点を絞って行う必要がある、ということをそれとなく示唆した作品であるとの見方がある[4][11]

脚注

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  1. ^ a b c d e 主な出品作品”. 朝日新聞社. 2019年8月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i 『美の革新者』 2015, p. 146.
  3. ^ My First Sermon”. ギルドホール・アート・ギャラリー. 2019年8月11日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 田邊久美子 (2017年3月). “J. E. ミレイとファンシー・ピクチャー : ハイ・アート、消費、コマーシャリズム”. 関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部. 2019年8月11日閲覧。
  5. ^ 『美の革新者』 2015, p. 145.
  6. ^ Laurence Shafe. “Dispelling the Myths Surrounding Nineteenth-Century British Art”. 2019年8月11日閲覧。
  7. ^ a b CONSTRUCTING VICTORIAN GIRLHOOD: TENSIONS, PRECEDENTS, AND SUBVERSION IN IMAGES OF LITTLE GIRLS”. Texas Christian University (2012年5月). 2019年8月11日閲覧。
  8. ^ My First Sermon”. ヴィクトリア&アルバート博物館. 2019年8月11日閲覧。
  9. ^ God in the Arts”. St James Church. 2019年8月11日閲覧。
  10. ^ a b c d e 『美の革新者』 2015, p. 147.
  11. ^ a b My Second Sermon”. ヴィクトリア&アルバート博物館. 2019年8月11日閲覧。
  12. ^ My Second Sermon”. ギルドホール・アート・ギャラリー. 2019年8月11日閲覧。
  13. ^ 『美の革新者』 2015, pp. 146, 147.
  14. ^ 『しぐさで読む美術史』 2015, p. 173.

参考文献

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  • 荒川裕子『ジョン・エヴァレット・ミレイ ヴィクトリア朝 美の革新者』東京美術〈ToBi selection〉、2015年12月。ISBN 978-4-8087-1047-7