内部生命論
表示
「内部生命論」(ないぶせいめいろん)は、北村透谷の評論作品。1893年(明治26年)5月、『文学界』第5号に発表された[1][2]。
人間の存在やすべての価値は「人間の根本の生命の絃」に触れるか否かで決まると説いた論文。
概要
[編集]『文学界』は、透谷自らが借金を背負って設立した雑誌だった。
透谷はこの年、山路愛山の主張する「文学効用論」を批判する論陣を張り、愛山との間で論争となった(この論争は透谷が最初に愛山を批判した評論「人生に相渉るとは何の謂ぞ」(同年2月)から、「人生相渉論争」と呼ばれる)[3][4][5]。その一環として透谷が執筆した評論である[3][5]。
透谷は、自身の自由民権運動への挫折感と自己批判をし、江戸時代から明治時代にかけて続いた、封建制度や体制のような他者や身分・家柄など外的な部分に命を懸けた世の風潮とは相対して、生命は各々の内部に宿り、肉体的生命よりも内面的生命(想世界)における自由と幸福を重んじるという世界を提唱した。
この評論は、文学界にある種の革命を引き起こした[要出典]。
脚注
[編集]- ^ 内部生命論 - 青空文庫
- ^ 北村透谷 (1956). 内部生命論. Heibonsha
- ^ a b 水上勲「「人生相渉論争」をめぐる二、三の問題」『同志社国文学』第7巻、同志社大学国文学会、1972年2月、64-74頁、doi:10.14988/pa.2017.0000004850、NAID 120005632664。
- ^ 岡部隆志「近代の発生・北村透谷論-「人生相渉論争」を読む-」『明治大学日本文学』第16号、明治大学日本文学研究会、1988年8月、6-19頁、ISSN 0289-2995、NAID 120001441461。
- ^ a b 陳璐「北村透谷における文学と社会 : その接点と距離」『東京外国語大学日本研究教育年報』第21巻、東京外国語大学日本専攻、2016年、55-72頁、ISSN 2189-311X、NAID 120006356910。
外部リンク
[編集]- 『内部生命論』:新字旧仮名 - 青空文庫
- 井筒満「内部生命論(<特集>北村透谷)」『文学と教育』第1980巻第112号、文学教育研究者集団、1980年、20-23頁、doi:10.19023/bungakutokyoiku.1980.112_20、ISSN 0287-6205、NAID 110003493299。