全電気航続距離
全電気航続距離[1](ぜんでんきこうぞくきょり、英語: all-electric range、略称AER)は、所定の走行サイクルにしたがい、車載バッテリーパックの電力のみを使用した電気自動車の最大航続距離である。二次電池式電気自動車の場合は、1回の充電での最大航続距離を意味する。プラグインハイブリッド車(PHEV)の場合は、燃料の燃焼と車載バッテリーパックの両方を利用する充電維持モード(プラグイン走行)ではかなり遠くまで走行できるため、充電枯渇モードでの最大航続距離を意味する。
PHEVの場合、ドライブトレインの設計が異なるため、AERの計算はより複雑になる。フィスカー・カルマのようにシリアル・ハイブリッド方式を採用している車は、AERが明確である。同様に、シボレー・ボルトのように、電気モード時に内燃機関をドライブトレインから切り離す車は明確なAERを持っているが、内燃機関と電気モーターを併用するブレンドモードのPHEVは、ガソリンと電気を同時に使用するため、明確なAERを持っていない。等価AER(Equivalent AER)は、このアーキテクチャーを採用した車両のAERである。この計算の一例は、アルゴンヌ国立研究所の "TEST PROCEDURES AND BENCHMARKING Blended-Type and EV-Capable Plug-In Hybrid Electric Vehicle" という報告書に記載されている[2]。
この手順では、以下の式を用いてブレンドモードで走行する車両の等価AERを算出している。
ここで、GPMCDは充電枯渇モードでの効率、GPMCSは充電維持モードでの効率を表し、dCDは充電枯渇モードでの航続距離を表している。
プラグインハイブリッド車の全電気モードでの航続距離は、電池のみで走行可能な距離を示すPHEV-(miles) またはPHEV-(kilometers) kmで表される。例えば、PHEV-20は、内燃機関を使用せずに20マイル(約32 km)走行できる(PHEV32kmと表記することもある)。
出典
[編集]- ^ “燃料消費率試験(WLTC モード)”. 自動車技術総合機構. 2021年9月19日閲覧。
- ^ http://www.transportation.anl.gov/pdfs/HV/457.pdf