ビーナスライン
ビーナスラインは、長野県茅野市から、同県上田市の美ヶ原高原美術館に至る全長約76キロメートルの観光道路である[1][2]。
概要
[編集]長野県の茅野市街と美ヶ原高原をつなぐ、日本の代表的な観光山岳道路のひとつ。「ビーナスライン」の名は、沿道にある蓼科山の山容を女神に例えたことに由来するもので[3]、蓼科有料道路と霧ヶ峰有料道路を併せてよぶ愛称[4]として1968年に公募で決定し[5]、無料開放後も継続して使用されている[6]。
もともとは、軽井沢と上高地とを結ぶ大規模観光道路として計画された「中信高原スカイライン」の一部として計画されたもので[3][注釈 1]、長野県企業局によって、有料道路として建設・運営されてきたが、1986年より順次無料開放され、2002年に全線無料開放[7]された。中央自動車道諏訪IC、中央本線茅野駅から蓼科高原、八ヶ岳山麓、白樺湖、車山高原、霧ヶ峰、美ヶ原といった高原の観光地を結ぶ。国道152号・国道142号に連絡。八島ヶ原湿原駐車場(霧ヶ峰と和田峠の中間部) - 美ヶ原の区間は11月下旬から4月下旬まで冬季閉鎖される[6]。
道路は大きく4区間に大別でき、茅野市街地 - 白樺湖間の蓼科高原エリア、白樺湖 - 車山 - 霧ヶ峰間の白樺高原・霧ヶ峰エリア、霧ヶ峰 - 落合大橋間の鷲ヶ峰・茶臼岳脇を通るワインディングロード区間、落合大橋 - 美ヶ原高原間の急勾配・最高所に至る区間と、それぞれ違う特徴を持つ道路で構成される[2]。
国道・県道としての路線名
[編集]- 国道152号(茅野市ちの・あけぼの隧道交差点 - 本町東・御座石神社交差点)
- 茅野市の市街地エリア。ビーナスラインの中で最も標高が低い[2]。
- 長野県道192号茅野停車場八子ヶ峰公園線(茅野市本町東・御座石神社交差点 - 北佐久郡立科町芦田八ケ野・白樺湖交差点)
- 長野県道40号諏訪白樺湖小諸線(北佐久郡立科町芦田八ケ野・蓼科牧場交差点 - 諏訪市四賀)
- 白樺湖から車山高原を経て、霧ケ峰高原(標高約1,650メートル)までの区間。視界が大きく開けている[2]。
- 長野県道194号霧ヶ峰東餅屋線(諏訪市四賀 - 小県郡長和町和田)
- 長野県道460号美ヶ原公園東餅屋線(小県郡長和町和田 - 上田市武石上本入)
- 和田峠 - 美ヶ原高原までの区間。和田峠から落合大橋まではワインディングロード。落合大橋からは最も急勾配な区間で、標高約1,600メートル付近から最高地点1,959メートルまで標高差がある[2]。
地理
[編集]八ヶ岳中信高原国定公園の高原地帯を通るルート上には、蓼科高原、白樺湖、車山高原、霧ヶ峰、八島ヶ原湿原、美ヶ原高原といった観光地が並び、森林や高原地帯をワインディングロードで抜けてゆく日本有数の景観を誇る地にある[9]。 長野県道40号諏訪白樺湖小諸線の沿線は、レジャー施設が集まる白樺湖や、なだらかな丘陵地を登ると草原が広がる車山があり、八ヶ岳連峰や南アルプス、乗鞍岳、北アルプスの山々を望むことができる[10][11]。澄み渡った天候が良い日であれば、富士山まで遠望できる[2][11]。 霧ヶ峰は、7月ごろに高山植物のニッコウキスゲの花が長野県道40号諏訪白樺湖小諸線の沿道で咲き乱れる地で知られ、長野県道194号霧ヶ峰東餅屋線の沿道に、国の天然記念物に指定される八島ヶ原湿原がある[12]。霧ヶ峰周辺では、春から秋にかけての早朝、雲海となることもある[11]。和田峠付近で国道142号と落合大橋で立体交差し、これより以西の長野県道460号美ヶ原公園東餅屋線・長野県道178号美ヶ原和田線の区間は針葉樹林地帯で、アップダウンのあるワインディングロードと、落合大橋から美ヶ原高原まで約2 キロメートルのヘアピンカーブが連続するつづら折りの道路となる[9][13]。標高約2,000メートルの道の駅美ヶ原高原からは、上田盆地と北アルプスを一望にできる[11]。
通過する自治体
[編集]交差する道路
[編集]- 国道152号(メルヘン街道、大門街道)※茅野市の一部区間は重複
- 長野県道192号茅野停車場八子ヶ峰公園線(北佐久郡立科町)
- 長野県道40号諏訪白樺湖小諸線(北佐久郡立科町、諏訪市)※一部区間は重複
- 長野県道199号八島高原線(諏訪郡下諏訪町)
- 国道142号(小県郡長和町)
- 長野県道67号松本和田線(松本市、小県郡長和町)※扉峠付近の一部区間は重複
- 長野県道178号美ヶ原和田線(小県郡長和町)※一部区間は重複
沿線
[編集]- 蓼科高原
- 蓼科湖レジャーランド
- 蓼科高原カントリークラブ
- 蓼科温泉
- 北八ヶ岳ロープウエイ
- 白樺高原
- 霧ヶ峰
- 美ヶ原
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “ビーナスライン”. 美ヶ原観光連盟 (2011年8月15日). 2015年9月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 小川・栗栖・田宮 2016, p. 47.
- ^ a b c 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 21.
- ^ “ビーナスラインに関する参考資料2” (PDF). 長野県. 2013年4月7日閲覧。
- ^ “ビーナスラインの由来について”. 長野県 (2004年1月23日). 2013年4月7日閲覧。
- ^ a b 中村淳一編 2018, pp. 54–55.
- ^ “平成14年 県政おもなできごと”. 長野県. 2013年4月7日閲覧。
- ^ “霧ケ峰高原のドライブインが老朽化により閉鎖、解体へ 31日に最後の営業”. 信濃毎日新聞 (2022年5月28日). 2022年5月28日閲覧。
- ^ a b 須藤英一 2013, p. 93.
- ^ 須藤英一 2013, pp. 92–93.
- ^ a b c d 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 22.
- ^ 須藤英一 2013, pp. 90–93.
- ^ 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 23.
参考文献
[編集]- 小川秀夫、栗栖国安、田宮徹 著、中村純一編 編『ニッポン絶景ロード100』枻出版社〈エイムック〉、2016年4月10日、46-47頁。ISBN 978-4-7779-3980-0。
- 佐々木節、石野哲也、伊藤もずく 著、松井謙介編 編『絶景ドライブ100選 [新装版]』学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015年9月30日、20-23頁。ISBN 978-4-05-610907-8。
- 須藤英一『新・日本百名道』大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2。
- 中村淳一編 編『日本の絶景ロード100』枻出版社、2018年4月20日。ISBN 978-4-7779-5088-1。