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佐々木泉景

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

佐々木 泉景(ささき せんけい、安永2年(1773年) - 嘉永元年(1848年))は、江戸時代後期から末期に活躍した狩野派絵師。諱は守継、守續。通称は熊次郎。字は子昌。泉景は号で、別号に彩雲、為絢居士。加賀藩御用絵師に取り立てられ、加賀に多くの作品を残した。

略伝

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加賀国江沼郡大聖寺永町(現在の石川県加賀市)で紺屋を営んでいた、鹿角治右衛門(屋号は敦賀屋)の長男として生まれる。幼少より絵を好み、大聖寺に来ていた京都の狩野派絵師・石田幽汀友汀父子に絵を習う。さらに1790年寛政2年)に上京し、鶴沢探索探泉父子に入門。1801年享和元年)探泉が禁裏御用を務める際、泉景も画筆を振るうのを許され、翌年法橋を得る。この機会に角鹿姓から先祖の佐々木姓に改めた。同年、郷里大聖寺に戻り、大聖寺藩から御医師格を受ける。

1807年文化4年)から加賀藩11代藩主前田治脩から屏風衝立などの御用を手がけ、2年後には金沢城二の丸御殿障壁画制作に参加、他の絵師より抜きん出て多くの場所を担当している。これ以来加賀藩の御用が増えたため、1811年(文化11年)金沢へ移り、1819年文政2年)には藩から7人扶持を受け、お抱え絵師となった。1821年(文政4年)位も法眼に進み、翌年には一門とともに12代藩主前田斉広の隠居所・竹沢御殿の御用を勤めた。1842年天保13年)10人扶持に加増されて御細工者小頭になる。これは家格面では50石取りの藩士と同格で、芸の巧拙で禄高を決める加賀藩の細工者制度では、上中下の3ランクのうち、上と同格の俸禄を受けることを意味した。1847年弘化4年)には御医師格に格付けされ、加賀の画人の頂点に上ったといえるが、翌年76歳で死去。法名は彩雲院法眼生蓮大居士。墓は金沢の野田山にあり、貫名海屋が墓碑銘を書いている。

泉景の一族は、長男の佐々木泉玄、次男の佐々木泉龍、泉玄の長男佐々木泉山、泉山の長男佐々木泉溪、泉龍の長男佐々木泉石と多くが絵師となった。門人も多く、早川泉流、松波泉栄、田辺素山、中浜鶴汀らがいる。

代表作

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作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 制作年 落款 備考
山崎長郷画像 絹本著色 1幅 89.1x40.9 金沢市・常松寺 1807年(文化4年) 裏に「法橋泉景斎源守續謹画」 大乗寺第四十六世・如菴湛堂賛[1]
山崎長常(光弐)画像 絹本著色 1幅 89.1x40.9 金沢市・常松寺 1807年(文化4年) 裏に「法橋泉景斎源守續謹画」 大乗寺第四十六世・如菴湛堂賛[1]
曽我兄弟図絵馬 墨画淡彩 絵馬1面 菅生神社 款記「法橋泉景筆」 1808年(文化5年)2月奉納
四季耕作図 紙本墨画淡彩 六曲一双押絵貼 137.1x50.3(第1,6扇)
137.1x55.0(第2~5扇)
金沢市立中村記念美術館 両端に「法橋泉景齋筆」[2]
群鶴図屏風 紙本金地著色 六曲一双 157.6x345.2(各) 加賀市・実性院 款記「法橋泉景筆」 加賀市指定有形文化財
瀟湘八景図屏風 紙本金地墨画 六曲一双 加賀市・全昌寺 款記「法橋泉景筆」
大江山鬼退治図絵馬 墨画 絵馬1面 大原神社 款記「法眼泉景筆」 1828年(文政11年)春奉納
松鷹・岩亀図衝立 紙本金地墨画 衝立1基 永平寺 1842年(天保12年) 松鷹図に款記「法眼泉景六十九歳筆」/「法眼泉景」朱文方印
岩亀図に「法眼泉景」朱文方印・「守継」朱文瓢印[3]
琴高仙人松啄木鳥松叭々鳥図 絹本墨画 3幅対 松啄木鳥:119.2x52.4
琴高図:119.8x51.4
叭々鳥図:118.8x52.2
城端別院善徳寺(南砺市 1845年(弘化2年) 款記「法眼泉景七十三歳筆」/「法眼泉景」朱文隅丸方印[4]
山崎長常(光弐)画像 絹本著色 1幅 73.5x33.6 金沢市・常松寺 款記「法眼泉景」/「守継」朱文瓢印[1]
六歌仙図屏風 紙本金地墨画 六曲一双 願成寺
六玉川歌意図屏風 紙本金地著色 六曲一双 石川県立歴史博物館 前田家伝来[5]
金沢城下図屏風(浅野川口町図) 紙本著色 六曲一双 172.4x357.4(各) 個人 法眼期 各隻に款記「法眼泉景筆」/朱文方印[6]
浅野川四季風景図 紙本著色 1巻 33.0x788.5 個人 無款記 金沢市指定文化財。無款記だが、画風や色彩から泉景の作だと推定される[6][7]

脚注

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  1. ^ a b c 石川県立歴史博物館編集発行 『肖像画にみる加賀藩の人々』 2009年4月18日、pp.42-43。
  2. ^ 金沢市立中村記念美術館編集 『金沢市立中村記念美術館所蔵品図録1 書画編』 財団法人 金沢市文化財保護財団、1997年3月31日、pp.60-61,89。
  3. ^ 戸田浩之 林亜希子(福井県立美術館)編集 『高祖道元禅師七五〇回大遠忌記念 大本山永平寺 所蔵絵画の名品展』 大本山永平寺 福井県立美術館 福井新聞社、2002年、pp.45、108。
  4. ^ 富山市佐藤記念美術館編集発行 『特別展 とやまの寺宝 ―花鳥山水 お寺に秘された絵画たち―』 2014年10月4日、第13図。
  5. ^ 六玉川歌意図屏風 - 学芸員おすすめの所蔵品500 _ 石川県立歴史博物館
  6. ^ a b 石川県立歴史博物館編集・発行 『前田利家没後四〇〇年 城下町金沢の人々 ーよみがえる江戸時代のくらしー』 1999年10月9日、pp.68-79,98-107
  7. ^ 石川県立歴史博物館編集・発行 『城下町金沢は大にぎわい!』 2016年9月17日、pp.20-21。

参考文献

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  • 加賀市美術館編集 『特別展 郷土が生んだ加賀藩御用絵師 佐々木泉景展 図録』 加賀市教育委員会、1990年10月
  • 北春千代 「石川の絵画史断章 ─長谷川派と狩野派の一コマ─」『石川県立歴史博物館紀要』第20号、2008年3月、pp.1-24