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仮想マイコン応用推進協議会vECU-MBDワーキンググループ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
仮想マイコン応用推進協議会
vECU-MBDワーキンググループ
種類 任意団体
設立 2010年
業種 自動車業界、自動車部品業界、ソフトウェアツール業界、半導体業界
外部リンク http://www.vecu-mbd.org/
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仮想マイコン応用推進協議会vECU-MBDワーキンググループ(かそうマイコンおうようすいしんきょうぎかい ヴィイーシーユー-エムビーディーワーキンググループ、英: Japan Virtual Microcontroller Initiative vECU-MBD Working Group) は、自動車ECU(Electronic Control Unit)の開発に関わる関連業界の開発者と研究者の集まりである。本ワーキンググループでは、仮想マイコンや仮想ECUを応用したMBD(Model-Based Development、モデルベース開発)手法に関わる技術的な協調活動を行っている[1][2][3]

経緯

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高性能化、高機能化、経済性向上(低コスト化、低燃費化)、信頼性・安全性向上、快適性向上や対環境性(排ガス規制への対応)向上等のユーザーニーズや社会的要請に応えるため、自動車のエレクトロニクス化が急速に進んできた。その結果として自動車に搭載されるECUの担う機能の増大、また、その実現に用いられるソフトウェアが大規模化、複雑化した。これに伴う開発期間の長期化や信頼性の維持などの開発上の問題に対応するために、制御装置と制御対象の機能をモデル化して品質向上と開発効率向上を目指した、モデルベース開発(MBD: Model-Based Development)手法が活用されてきた[4][5][6][7][8][9][10]

さらに、開発後半のシステムテストでの手戻りをなくすために、実機のECUの代わりに仮想マイコンや仮想ECUを応用したMBD手法の導入が検討された。しかし、仮想マイコンや仮想ECUの活用には、シミュレーションに用いるモデル、ツール、開発プロセス等に関わる課題があった。その課題を解決するために、カーメーカー・ECUメーカー・半導体メーカー・シミュレーションツールメーカーの領域を縦断した活動が必要と考えられた。そこで、有志メンバーが集まり、国内協調活動である仮想マイコン応用推進協議会vECU-MBDワーキンググループが 2010年4月に設立された[1][2]

参加会員

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本ワーキンググループは、下記の自動車の開発や利活用に関わる、自動車完成車メーカー、自動車部品メーカー、半導体メーカー、ソフトウェアツールメーカー、および研究機関に所属する技術者や研究者の有志により構成されている[1]

(コアメンバー:計32機関) 【順不同】(2017年3月)

本ワーキンググループの事務局は、公益財団法人九州先端科学技術研究所が担当している。

活動内容

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本ワーキンググループでは、仮想マイコンや仮想ECUを応用したMBD(モデルベース開発)手法に関わる技術上の課題の解決に向けたガイドの作成、要求仕様標準化提案、実証例題の作成、および、啓蒙活動等を行っている[1][11][3]

主な成果物として、「仮想ECU活用のためのユーザ導入支援ガイド」「モデル調達・構築ガイド」が公開されている[1][12]

主な実証実験として、「複数ECU連動」、「フォールト注入テスト」、「クラウド上での異ユーザ協調シミュレーション」が報告されている。実証実験のベースとなるモデルには、JMAABで開発されたパワーウィンドウシステムが利用された[13][3][14][15][16]

主なガイド資料

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  • 仮想ECU活用のための ユーザ向け 導入検討支援ガイド
  • 仮想マイコン応用シミュレーションのためのモデル調達・構築ガイドおよび手順

主な実証実験

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  • パワーウィンドウシステム
  • フォールト注入
  • 複数ECU間インタフェースモデルおよび複数ECU連動

主な講演資料

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  • 仮想ECUを用いたモデルベース開発の試行, ISIT第13回カーエレクトロニクス研究会, 2013年5月
  • 仮想ECU活用のためのユーザガイド策定, ISIT第14回カーエレクトロニクス研究会, 2014年1月
  • 仮想ECUを用いた複数ECU連動およびフォールト注入の試行, ISIT第15回カーエレクトロニクス研究会, 2014年7月
  • MBDの拡張:ECUおよびHILSの仮想化とその活用事例, JMAAB Open Conference 2017, 2017年6月

補足

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本ワーキンググループは、略称として「vECU-MBDワーキンググループ」または「vECU-MBD WG」と称する場合があるが、正式名称は「仮想マイコン応用推進協議会vECU-MBDワーキンググループ」である[1]

脚注

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出典

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  1. ^ a b c d e f 仮想マイコン応用推進協議会vECU-MBDワーキンググループ”. 2017年4月1日閲覧。
  2. ^ a b 仮想ECUモデルベース開発の実現に向けた業界縦断型取組み, ISIT第9回カーエレクトロニクス研究会講演資料”. 2011年10月14日閲覧。
  3. ^ a b c 仮想ECUを用いた複数ECU連動およびフォールト注入の試行~仮想マイコン応用推進協議会vECU-MBD WG活動事例紹介~, ISIT第15回カーエレクトロニクス研究会講演資料”. 2014年7月14日閲覧。
  4. ^ 電子化が変える競争力の源泉, pp.68-89, 日経Automotive Technology, 2008年7月号, 日経BP社”. 2008年7月閲覧。
  5. ^ 車両制御システム開発におけるシミュレーションモデル活用の有効性と課題, ISIT第5回カーエレクトロニクス研究会講演資料”. 2009年12月14日閲覧。
  6. ^ 車載ソフト開発で適用範囲拡大するシミュレーション技術, pp.68-73, 日経Automotive Technology 2011年11月号, 日経BP社”. 2011年11月閲覧。
  7. ^ ADAS、統合制御が加速するモデルベース開発, pp.40-53, 日経Automotive Technology 2016年11月号, 日経BP社”. 2016年11月閲覧。
  8. ^ マツダの目指すモデルベース開発, pp.44-47, No.31 (2013), マツダ技法”. 2018年6月14日閲覧。
  9. ^ アイシン精機におけるMATLAB(R)/Simulink(R)を用いたモデルベース開発の紹介, JMAABオープンコンファレンス2007”. 2007年11月1日閲覧。
  10. ^ JMAAB(Japan MATLAB Automotive Advisory Board)”. 2017年4月1日閲覧。
  11. ^ パワステのASIL-Dはこうしてチェック, 日経テクノロジー”. 2015年9月8日閲覧。
  12. ^ 仮想ECU活用のためのユーザガイド策定, ISIT第14回カーエレクトロニクス研究会”. 2014年1月閲覧。
  13. ^ クルマやIoT/ネットの開発 仮想環境でスピードアップ, 日経エレクトロニクス, 2015年7月号, 日経BP社”. 2015年7月1日閲覧。
  14. ^ 仮想ECUを用いたフォールト注入テストの実証事例と活用ポイント~仮想マイコン応用推進協議会vECU-MBD WG活動事例紹介~, 自動車機能安全カンファレンス2015”. 2015年3月閲覧。
  15. ^ クラウド活用による車載電子システムのモデルベース開発, オートモティブ・ソフトウェア・フロンティア 2017”. 2017年3月閲覧。
  16. ^ MBDの拡張:ECUおよびHILSの仮想化とその活用事例, JMAAB Open Conference 2017”. 2017年6月閲覧。


外部リンク

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