今昔マップ
作者 | 谷謙二 |
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初版 | 2006年2月 |
最新版 |
今昔マップ 3.02
/ 2015年12月7日 |
対応OS | Windows 7/8/8.1/10 |
対応言語 | 日本語 |
種別 | GISソフトウェア |
公式サイト |
ktgis |
今昔マップ(こんじゃくマップ)は、旧版地形図(国土地理院発行)の閲覧が可能なサービスで[1]、特定地域の複数年代の地形図を比較参照できる[2]。地理学者の谷謙二により開発された[1]。Web版の「今昔マップ on the web」と、Windows版ソフトの「今昔マップ3」がある。
経緯
[編集]今昔マップの開発は2005年春頃から開始された[3]。
地域概要の理解のうえで、地形図は重要な資料である[注釈 1]ものの、当時は旧版地形図を簡便に閲覧する方法がなかった[注釈 2][4][5]。また、開発者の谷自身も、大学の講義で大都市圏の発展過程について解説するときに、旧版地形図を学生に提示する方法について苦労していた[6]。
2005年に「時系列地形図閲覧ソフト『今昔マップ』(首都圏編)」が開発され、東京50キロメートル圏内の2万5000分の1旧版地形図が収録された[5]。2006年2月にDVD版の配布が行われた[3]。
2008年に「今昔マップ2」が開発・公開された[5]。今昔マップ2ではインターネット上でソフトウェアと地図画像のダウンロードが可能になったうえ、中京圏・京阪神圏の旧版地形図も閲覧可能になった[5]。2009年にVector[注釈 3]や窓の杜[注釈 4]で紹介されたことでダウンロード数が増大した[7]。
今昔マップ on the web
[編集]今昔マップ on the webは、WebGISの1つであり、ウェブブラウザ上で旧版地形図の閲覧が可能である[8]。パソコンに限らず、スマートフォンからでも利用できる[8]。
2013年に開発・公開が行われ、その後も更新が進められている[9]。2019年に日本国内の全ての都道府県庁所在地が収録対象地域になった[10]。
大学での授業で地形図や空中写真を扱う際にも有用である[11]。長所として、安倉良二は、インターネットの接続環境があれば容易に利用できること、利用者自身で画面表示の拡大縮小や移動が可能なこと、画面を分割して複数の地形図や空中写真を同時表示できること、画面分割機能と組み合わせてGoogle マップなど一般的なWeb地図とも同時表示が可能なことを指摘している[12]。
各地域の土地の変遷の把握[13]、防災情報の調査や、郷土学習でも利用できるほか、歴史愛好者や鉄道ファンの人が趣味で利用することもある[14]。
今昔マップ3
[編集]今昔マップ3では、Web版の今昔マップ on the webでは困難な、複雑な操作を行うことができる[9]。2015年に開発・公開が行われた[15]。
今昔マップ3のみで行える機能として、地図中に目印を表示・記録・保存する機能、KML・KMZ・GPXファイルの読み込み・表示機能、位置情報をもつ写真の表示、地図画像のファイル出力機能が挙げられる[16]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 例えば、中学校・高等学校での地理教育で地形図読図が取り扱われている。
- ^ 国土地理院へ謄本交付申請を行うか、高価な地図集を購入するか、図書館に出向いて閲覧するしかなかった。
- ^ “Vector: 今昔マップ2 - 新着ソフトレビュー” (2009年3月10日). 2020年7月1日閲覧。
- ^ “窓の杜 - 【REVIEW】時代とともに移り変わる地形の変化を地図で確認できる「今昔マップ2」” (2009年4月2日). 2020年7月1日閲覧。
出典
[編集]- ^ a b 野間ほか 2017, p. 157.
- ^ 谷 2006, p. 43.
- ^ a b “時系列地形図閲覧ソフト「今昔マップ3」ダウンロード”. 2020年7月1日閲覧。
- ^ 谷 2009, pp. 135–136.
- ^ a b c d 谷 2017, p. 1.
- ^ 谷 2018, p. 328.
- ^ 谷 2009, p. 143.
- ^ a b 谷 2019, p. 32.
- ^ a b 谷 2017, p. 5.
- ^ “今昔マップ on the web:時系列地形図閲覧サイト|埼玉大学教育学部 谷謙二(人文地理学研究室)”. 2020年7月1日閲覧。
- ^ 安倉 2019, p. 41.
- ^ 安倉 2019, pp. 41–42.
- ^ 「相次ぐ台風 “土地”サイトに注目集まる」『NHKニュース』2019年10月23日。2020年7月1日閲覧。
- ^ 「朝デジジャーナル スマホ片手に100年前を散歩」『朝日新聞』2013年12月28日、37面。
- ^ 谷 2017, p. 6.
- ^ 谷 2017, pp. 8–9.
参考文献
[編集]- 谷謙二「人気ソフト「MANDARA」開発者 谷 謙二先生に聞く 「MANDARA」オモテ話&ウラ話」『地理』第51巻第1号、古今書院、2006年、40-43頁。
- 谷謙二「時系列地形図閲覧ソフト『今昔マップ2』(首都圏編・中京圏編・京阪神圏編)の開発」『GIS-理論と応用』第17巻第2号、2009年、135-144頁。
- 谷謙二「「今昔マップ旧版地形図タイル画像配信・閲覧サービス」の開発」『GIS-理論と応用』第25巻第1号、2017年、1-10頁。
- 谷謙二『フリーGISソフト MANDARA10 パーフェクトマスター』古今書院、2018年。ISBN 978-4-7722-8119-5。
- 谷謙二「簡単に使えるWebGISで地形学習-今昔マップ・Web等高線メーカー・Web地形断面図メーカー-」『地理』第64巻第9号、2019年、31-39頁。
- 野間晴雄、香川貴志、土平博、山田周二、河角龍典、小原丈明『ジオ・パルNEO 地理学・地域調査便利帖』(第2版)海青社、2017年。ISBN 978-4-86099-315-3。
- 安倉良二「WebGISで身近な地域のいまむかしをみる」『地理』第64巻第9号、2019年、40-49頁。