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人肉カプセル

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人肉カプセル(じんにくカプセル、朝鮮語: 인육 캡슐)とは、死産した赤子や生後1か月から2か月の乳幼児死体などから作られた、中国産の粉末入りカプセル錠剤である。韓国で密売されていたが2011年に発覚し事件となった。「最高の滋養強壮剤」という触れ込みであったが、その効能もプラセボ効果の可能性が高いとされる。

事件の発覚

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韓国の月刊誌『新東亜朝鮮語版』の2011年8月号にて、死産の乳児らの人肉で作られた粉入りカプセルが中国吉林省延辺朝鮮族自治州にある病院から持ち込まれ、術後や大病による衰弱に効く滋養薬として、ソウル市場などで100カプセル80万ウォン(日本円で6万円程度)で密売されていたと報じられた。その後同誌が独自にカプセルを入手し、関税庁と共に韓国国立科学捜査研究所へ成分分析を依頼した結果、塩基配列の99%が人間の遺伝子と一致し、また男性の染色体が確認された事から女性の胎盤では無い事が分かった[1][2]。事件の衝撃度が高いことから、その後韓国では複数メディアがこの事件を報じるようになった[3]

生産工程

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事件が有名になった事で、2011年8月6日放映の韓国SBS放送の報道番組『それが知りたい朝鮮語版』で取り上げられ、取材された。同番組によると、一部の病院にて組織的に医師や看護師が胎盤や死んだ赤ん坊をブローカーに販売し、その後遺体は冷蔵庫に保管されたのち、漢方薬を作る要領で乾燥、粉末状にしてカプセルに詰め込まれていた。作業は薬剤調合をする為の専門施設では無く一般的な家で行われていたと言う。完成したカプセルはブローカーによって韓国に持ち込まれ、薬剤市場で中国の現地価格より数十倍の値で密売されていたと報道された[4][5]

事件の経過

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韓国での騒ぎを受けて2011年8月9日中華人民共和国衛生部(中国衛生省)の報道官は記者会見にて、吉林省の衛生当局に調査を指示したことを明らかにし、「中国は法令で医療機関が遺体を売買することを禁じている。人体の組織や遺体を売る行為は断固として取り締まる」と強調した[6]

2011年9月22日、韓国で初めてブローカーが摘発されたことを複数メディアが報じた。摘発されたブローカーは韓国在住の中国籍朝鮮族であり、国際郵便と直接持込の2つのルートにより韓国に持ち込まれていたことが明らかになった[7][8][9]。また韓国では関税法第234条により輸出入禁止品目に指定済であり、8月の時点で7件の摘発が有ったと言う[10]

韓国の当局は、2011年8月から2012年3月まで、1万7451錠を摘発したと発表した。しかし、既に大量に出回っており、摘発されたものも氷山の一角との指摘があり、撲滅は容易ではない。国内外で問題となった後も、人肉カプセルの需要は無くなっておらず、2012年において、1錠3000円前後で取引されているという[11][12]

脚注

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出典

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  1. ^ ソウル時事 (2011年7月21日). “「人肉カプセル」、韓国で売買=中国から密輸、捜査へ-月刊誌報道”. 朝日新聞 (朝日新聞社). http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201107210073.html 2012年1月28日閲覧。 
  2. ^ 共同 (2011年7月21日). “中国産の人肉カプセル密売 ソウルの薬剤市場と韓国誌”. MSN産経ニュース (産経新聞). オリジナルの2012年1月28日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2012-0128-0051-40/sankei.jp.msn.com/world/news/110721/chn11072123320011-n1.htm 2012年1月28日閲覧。 
  3. ^ 愛玉 (2011年8月9日). “肉カプセルの“原産国”と指摘、ついに衛生部が実態調査へ―中国”. レコードチャイナ (レコードチャイナ). http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=53416 2012年1月28日閲覧。 
  4. ^ 朴美奈 (2011年8月5日). “死んだ幼児で作った中国産『人肉カプセル』 本当に韓国で流通していた!”. ガジェット通信 (ガジェット通信). https://getnews.jp/archives/133955 2012年1月28日閲覧。 
  5. ^ 서경채 (2011年8月6日). “아기 시체로 만든 '인육 캡슐', 국내유통 '충격'”. SBSニュース. http://news.sbs.co.kr/news/endPage.do?news_id=N1000965072 2014年9月13日閲覧。 
  6. ^ 共同 (2011年8月9日). “「人肉カプセル」韓国流入報道 中国が調査を指示”. MSN産経ニュース (産経新聞). オリジナルの2012年1月28日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2012-0128-0036-58/sankei.jp.msn.com/world/news/110809/chn11080921220006-n1.htm 2012年1月28日閲覧。 
  7. ^ ソウル時事 (2011年9月22日). “「人肉カプセル」4000錠押収=朝鮮族の中国人摘発-韓国”. 時事ドットコム (時事通信社). http://www.jiji.com/jc/zc?k=201109/2011092200514 2012年1月28日閲覧。 
  8. ^ 共同 (2011年9月22日). “「人肉カプセル」で中国人摘発 韓国、密輸の4千錠押収”. MSN産経ニュース (産経新聞). オリジナルの2012年1月28日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2012-0128-0105-24/sankei.jp.msn.com/world/news/110922/kor11092220000001-n1.htm 2012年1月28日閲覧。 
  9. ^ 共同 (2011年9月22日). “人肉カプセルで中国人摘発…密輸の4000錠押収”. スポニチ (スポーツニッポン新聞社). オリジナルの2012年1月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110926044356/http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/09/22/kiji/K20110922001676630.html 2012年1月28日閲覧。 
  10. ^ 金志秀 (2011年9月22日). “中国産「人肉カプセル」の密輸、8月に7件摘発で追跡調査も=韓国”. サーチナニュース (サーチナ). https://web.archive.org/web/20110930083510/http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0922&f=national_0922_047.shtml 2012年1月28日閲覧。 
  11. ^ “中国製人肉入りカプセルは“万能薬”? 韓国に大量密輸の実態”. サンケイビズ. (2012年5月27日). https://web.archive.org/web/20121010052749/http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120527/cpb1205272031000-n1.htm 
  12. ^ “韓国税関、中国からの「人肉カプセル」密輸に対策強化”. CNN. (2012年5月27日). http://www.cnn.co.jp/world/30006502.html 

関連項目

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