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京急デチ15・16形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
京急デチ15・16形電車
デト17形(手前側の車両)・18形に改造後の姿
基本情報
製造所 東急車輛製造
主要諸元
編成 2両編成
軌間 1435(標準軌) mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
起動加速度 2.7[2] km/h/s
減速度(常用) 4.0[3] km/h/s
車両重量 32.0t[1]
全長 18,000[1] mm
全幅 2,718[1] mm
全高 デチ15形 : 3,929mm[1]
デチ16形 : 4,050[1] mm
主電動機 補償巻線付き直巻電動機[1]
主電動機出力 75kW×4[4]
駆動方式 中空軸撓み板式軸型継手[4]
歯車比 77:14 (5.5)[5]
制御装置 電動カム軸式直並列複式 抵抗制御[1]
制動装置 発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ応荷重装置付き)[1]
保安装置 1号型ATSC-ATS
備考 荷重18t、製造時のデータ
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デチ15・16形電車(デチ15・16がたでんしゃ)は、1988年昭和63年)12月に登場した京浜急行電鉄事業用電動無蓋貨車[4]

概要

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自動ブレーキ (AMM-R) 装備車を全廃し、ブレーキ性能を統一してATSを改良するため[6]デワ40形チ60形の置き換え用として1000形の廃車発生部品を活用し新造された[4]1989年平成元年)までにデチ15 - 18の4両が製造されたが、配給車の需要減少により[7]2003年(平成15年)・2006年(平成18年)に救援車化改造を受けデト17・18形デト15 - 18に改番された[8][9]。母体となった1000形が全廃されたため、2010年度に1500形VVVF化改造で発生した部品などを活用した機器の更新が行われた。

当形式の登場により、電動貨車のデワ40形4両(デワ41 - 44)とチ60形2両(チ61・62)が廃車された[4]。限流値[注釈 1]を引き下げ、起動加速度は1000形より低い2.7km/h/sとなっている[2]

車体

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重量物運搬のため魚腹式台枠を採用[10]。前面非貫通折妻三枚窓構成の運転台[4]、6人分の座席、窓1枚をもつ有蓋室がデチ15形の浦賀寄り、デチ16形の品川寄りに設けられたが、長尺物運搬のため荷台部分を広く取る必要性から、有蓋部分はデト11・12形より短くなっている[11]。また、パンタグラフ、列車無線アンテナ搭載のため屋根が荷台部分に1,600mm延長されている[11]。有蓋室は黄色に塗装され、窓下に赤い帯が巻かれる[11]。有蓋室のない部分は荷台とされ、資材積み下ろし用にチ60形から転用したホイストクレーンを搭載している[4]。台枠は有蓋室と同じ黄色に塗装されている[11]。有蓋室の荷台側妻面には荷台に出るための扉、投光器が設けられた[6]。最大積載量18.0t[1]。デチ15形に電動発電機空気圧縮機などの補機類と列車無線アンテナを、デチ16形にパンタグラフ・主制御器を搭載する[1]。デト15形の車両番号の位置は、デト11・12形よりもやや低い位置になっている。

主要機器

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デチ15・16には1988年(昭和63年)廃車のデハ1097・1098、デチ17・18には同年廃車のデハ1017・1018[11]と1989年廃車のデハ1001・1004の部品が活用されている[14]

改造工事

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登場後、各種の改造が行われている。

制御器交換

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デチ18の主制御器は1998年5月20日付で、デチ16の主制御器は2000年4月6日付でACDF-H875-703Bに変更された[15]

デト17・18形への改造

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2003年3月[8]レール運搬を専用の機械で行うことが増え、稼働率が低下したデチ17・18を救援車に改造、デト17・18形デト17・18に改番した[2]。ホイストクレーンを撤去、荷台にデト11形などと同様のあおり戸を設け、救援資材の入った箱を搭載した[7]2006年(平成18年)3月にデチ15・16にも同様の改造が行われ、デト17・18形デト15・16となった[9]

界磁チョッパ制御に改造後のデト15-16と1000形1894編成の回送列車。

界磁チョッパ制御化改造

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2010年(平成22年)6月にデト17・18、2011年(平成23年)3月にデト15・16に運転取扱、使用機器の統一、省令改正への対応のための機器更新工事が施工された[16][17]。前灯形状が変更され[18]、偶数番号車運転台から設定する運行番号表示器を設置[19]、運転台・荷室に冷暖房が搭載されたほか[19]、運転台は800形タイプのワンハンドルマスコンとなった[19]。改造後の主な使用機器は以下の通り。

脚注

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注釈

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  1. ^ 加速時に制御器を進段させ抵抗を短絡させる時の主電動機に流れる電流の値。

出典

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参考文献

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書籍

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  • 佐藤良介『JTBキャンブックス 京急の車両 現役全形式・徹底ガイド』JTBパブリッシング、2004年。ISBN 9784533055461 
  • 佐藤良介『JTBキャンブックス 京急1000形半世紀のあゆみ』JTBパブリッシング、2011年。ISBN 9784533082177 

雑誌記事

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  • 鉄道ピクトリアル』通巻518号(1989年10月・電気車研究会
    • 小暮 洋「私鉄車両めぐり 138 京浜急行電鉄 補遺」 pp. 62-71
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻656号「特集 京浜急行電鉄」(1998年7月・電気車研究会)
    • 園田 淳「私鉄車両めぐり 160 京浜急行電鉄」 pp. 209-259
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻677号(1999年11月・電気車研究会)
    • 園田 淳「私鉄車両めぐり 160 京浜急行電鉄 補遺」 pp. 54-65
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻738号「鉄道車両年鑑2003年版」(2003年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2002年度民鉄車両動向」 pp. 109-130
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 208-219
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻738号「鉄道車両年鑑2006年版」(2006年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2005年度民鉄車両動向」 pp. 118-140
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 205-220
  • 『鉄道ファン』通巻592号(2010年8月・交友社
    • 「京浜急行電鉄新1000形10次車」 pp. 69
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻855号「鉄道車両年鑑2011年版」(2011年10月・電気車研究会)
    • 安田 直樹「デト17・18チョッパ制御化改造」 pp. 166-167
    • 「民鉄車両諸元表」 pp. 185-186
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 210-222