二十世紀の十大小説
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『二十世紀の十大小説』(にじっせいきのじゅうだいしょうせつ)は、文芸評論家・篠田一士の文芸エッセイ。自身の読書経験から「二十世紀文学の一級品」10篇を選び一つ一つ解説したもので、1985年から1988年にかけ『新潮』で連載され、1988年に新潮社で刊行された。題名に関しては篠田は、モームの著書『世界の十大小説』が記憶の隅にあったと述べている。
取り上げられる作品は以下の10作品(掲載順)。著者自身が述べているように、『百年の孤独』以外はすべて1920年代から1930年代に集中している。
掲載順 |
著者 |
作品 |
著者の国籍 |
原典 |
初出 |
---|---|---|---|---|---|
1 | マルセル・プルースト | 失われた時を求めて | フランス | フランス語 | 1913年〜1927年 |
2 | ホルヘ・ルイス・ボルヘス | 伝奇集 | アルゼンチン | スペイン語 | 1944年 |
3 | フランツ・カフカ | 城 | チェコ | ドイツ語 | 1926年 |
4 | 茅盾 | 子夜 | 中国 | 中国語 | 1932年 |
5 | ジョン・ドス・パソス | U.S.A. | アメリカ | 英語 | 1938年 |
6 | ウィリアム・フォークナー | アブサロム、アブサロム! | アメリカ | 英語 | 1936年 |
7 | ガブリエル・ガルシア・マルケス | 百年の孤独 | コロンビア | スペイン語 | 1967年 |
8 | ジェイムズ・ジョイス | ユリシーズ | アイルランド | 英語 | 1922年 |
9 | ロベルト・ムジール | 特性のない男 | オーストリア | ドイツ語 | 1930年〜1932年 |
10 | 島崎藤村 | 夜明け前 | 日本 | 日本語 | 1929年〜1935年 |
モームの『十大小説』とは異なり、作家の伝記にはそれほど重きを置かず、引用を行なった上での作品解説や、著者が作品に触れた当時のエピソード、「十大小説」中のほかの作品との比較、といったことを中心に構成されている。
島崎藤村の『夜明け前』が「近代日本文学の大いなる精神の冒険」の成果であり、プルーストをはじめとする「西洋に対抗しうる文学を創りだした」ことを論じている。
書誌
[編集]- 篠田一士 『二十世紀の十大小説』(新潮社、1988年/新潮文庫、2000年)文庫解説:池内紀