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二十世紀の十大小説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

二十世紀の十大小説』(にじっせいきのじゅうだいしょうせつ)は、文芸評論家篠田一士の文芸エッセイ。自身の読書経験から「二十世紀文学の一級品」10篇を選び一つ一つ解説したもので、1985年から1988年にかけ『新潮』で連載され、1988年新潮社で刊行された。題名に関しては篠田は、モームの著書『世界の十大小説』が記憶の隅にあったと述べている。

取り上げられる作品は以下の10作品(掲載順)。著者自身が述べているように、『百年の孤独』以外はすべて1920年代から1930年代に集中している。

掲載順
著者
作品
著者の国籍
原典
初出
1 マルセル・プルースト ウシナワレタ/失われた時を求めて フランス フランス語 1913年〜1927年
2 ホルヘ・ルイス・ボルヘス テンキシユウ/伝奇集 アルゼンチン スペイン語 1944年
3 フランツ・カフカ シロ/ チェコ ドイツ語 1926年
4 茅盾 シヤ/子夜 中国 中国語 1932年
5 ジョン・ドス・パソス U.S.A. アメリカ 英語 1938年
6 ウィリアム・フォークナー アブサロム、アブサロム! アメリカ 英語 1936年
7 ガブリエル・ガルシア・マルケス ヒヤクネンノ/百年の孤独 コロンビア スペイン語 1967年
8 ジェイムズ・ジョイス ユリシーズ アイルランド 英語 1922年
9 ロベルト・ムジール トクセイノ/特性のない男 オーストリア ドイツ語 1930年〜1932年
10 島崎藤村 ヨアケマエ/夜明け前 日本 日本語 1929年〜1935年

モームの『十大小説』とは異なり、作家の伝記にはそれほど重きを置かず、引用を行なった上での作品解説や、著者が作品に触れた当時のエピソード、「十大小説」中のほかの作品との比較、といったことを中心に構成されている。

島崎藤村の『夜明け前』が「近代日本文学の大いなる精神の冒険」の成果であり、プルーストをはじめとする「西洋に対抗しうる文学を創りだした」ことを論じている。

書誌

[編集]
  • 篠田一士 『二十世紀の十大小説』(新潮社、1988年/新潮文庫、2000年)文庫解説:池内紀