丹生潔
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丹生 潔(にう きよし、1925年8月2日 - 2017年1月30日)は、日本の物理学者。名古屋大学名誉教授。専門は素粒子物理学。世界で最初の、第4のクォークである「チャームクォーク」の発見者。東京出身[1]。従四位[2]。
経歴等
[編集]- 1943年 兵庫県立第一神戸中学校卒業[3]
- 1945年 第一高等学校理科甲類卒業[3]
- 1953年 名古屋大学理学部卒業[3]
- 1956年 名古屋大学大学院を中退し、東京大学原子核研究所に就職[3]
- 1961年 仁科記念賞受賞(受賞理由:中間子発生の火の玉模型の提唱)
- 1971年-1989年 名古屋大学理学部教授[3]
- 2005年秋 瑞宝中綬章受章[4]
- 2017年1月30日、骨髄異形成症候群のため逝去[5][6]、91歳。
業績・評価
[編集]1971年から名古屋大理学部教授を務め、原子核乾板の実験装置で得られた宇宙線の素粒子反応の中から、特異な様式で崩壊する新粒子を発見[7]。同年の物理学会で、それを「X粒子」と名付けて報告した。この粒子は、広島大学の小川修三(後に名古屋大学)らによって、4つめのクォーク(当時の表現では「第4の粒子」)であると主張された[8][9][10]が、当時においては広く認められるまでには至らなかった。
しかしこのことが、小林誠や益川敏英に4つめのクォークの存在を確信させ、両者が小林・益川理論(クォーク6個の理論)を生み出す契機となった。小林誠は、ノーベル物理学賞の受賞記念演説において、丹生の業績を紹介している[11]。
なお、第4のクォークである「チャームクォーク」は、丹生の発見後にアメリカの科学者ら(サミュエル・ティン[12]とバートン・リヒター[13])により加速器の実験で再発見、実証され(1974年)、彼らはその功績によって、1976年にノーベル物理学賞を受賞した。
脚注
[編集]- ^ デジタル版 日本人名大辞典+Plus
- ^ 『官報』6974号、平成29年3月9日
- ^ a b c d e 私の院生・学生時代 名大理学同窓会報
- ^ “名大トピックス No.151” (PDF). 名古屋大学広報委員会. p. 12 (2005年12月15日). 2023年4月22日閲覧。
- ^ 丹生潔氏が死去 名古屋大名誉教授 日本経済新聞 2017年1月31日付
- ^ 名古屋大名誉教授の丹生潔さん死去 朝日新聞 2017年1月31日付
- ^ Kiyoshi Niu, Eiko Mikumo and Yasuko Maeda (1971). “A Possible decay in flight of a new type particle”. Progress of Theoretical Physics 46: 1644. doi:10.1143/PTP.46.1644.
- ^ T. Hayashi, E. Kawai, M. Matsuda, S. Ogawa and S. Shige-eda (1972). “A possible interpretation of the new event in the cosmic ray experiment”. Progress of Theoretical Physics 47: 280. doi:10.1143/PTP.47.280.
- ^ T. Hayashi, E. Kawai, M. Matsuda, S. Ogawa and S. Shige-eda (1972). “A possible interpretation of the new event in the cosmic ray experiment. 2.”. Progress of Theoretical Physics 47: 1998. doi:10.1143/PTP.47.1998.
- ^ T. Hayashi, S. Ogawa, M. Nakagawa and H. Nitto (1973). “On the selection rule of weak processes and decays of new particles”. Progress of Theoretical Physics 49: 350. doi:10.1143/PTP.49.350.
- ^ “Makoto Kobayashi - Nobel Lecture: CP Violation and Flavour Mixing”. (2008 (Updated)) 2013年2月19日閲覧。
- ^ E598 Collaboration (1974). “Experimental Observation of a Heavy Particle J”. Physical Review Letters 33: 1404. doi:10.1103/PhysRevLett.33.1404.
- ^ SLAC-SP-017 Collaboration (1974). “Discovery of a Narrow Resonance in e+ e- Annihilation”. Physical Review Letters 33: 1406. doi:10.1103/PhysRevLett.33.1406.