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下嶋浩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
下嶋 浩
人物情報
別名 下嶋 渓
生誕 1944年10月6日
日本の旗 日本 神奈川県[1]
死没 (1999-08-15) 1999年8月15日(54歳没)
スイスの旗 スイス マッターホルン[1]
滑落事故[1]
国籍 日本の旗 日本
出身校 東京工業大学
学問
研究分野 機械工学ロボット工学
ランニング登山[注釈 1]
研究機関 東京工業大学
マサチューセッツ工科大学[4]
スイス連邦工科大学
博士課程指導教員 小川潔[5]
博士課程指導学生 佐藤治[6]、小池関也[7]、雉本信哉[8]
学位 工学博士(東京工業大学)[5]
主な業績 ロボットの国際標準化対策
主要な作品 『ランニング登山』
学会 日本機械学会、日本IFToMM会議
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下嶋 浩(しもじま ひろし、1944年昭和19年)10月6日 - 1999年平成11年)8月15日[9])は、機械工学ロボット工学を専門とする日本研究者登山家東京工業大学工学博士[5]ロボット国際標準規格に関するISO国際会議日本代表として活躍。ランニング登山[注釈 1]の国際的第一人者としても有名[1]で、「下嶋渓」の名で著書もある[2]。東京工業大学教授在職中の1999年マッターホルンの登山中に滑落事故で死去[1]

来歴・人物

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1944年生まれ、神奈川県出身。高校生の頃から登山を始め[2]、カメラいじりも得意であった[10]東京工業大学工学部機械工学科を卒業。同期生に林巌、吉澤善男がいた[10]

東京工業大学大学院修士課程博士課程を通じて、小川潔教授の元で研究を行う。6節リンク機構などのリンク機構の経路創成機構の研究に取り組み、1972年に博士号を取得[5]。その後も助手として様々なリンク機構の運動解析や機構総合、運動伝達指数の研究に取り組む。1975年頃からランニング登山を始めており、1986年には著書も執筆している[2]。助手から助教授へ昇進し、在外研究員も経験している。

1990年代に入り、ロボットバイオメカニクス関係[11]の研究を実施していく。ロボットマニピュレータでは、ステッピングモータ[12]や、速度制御型のサーボモータ[13][14][15]など、産業界で使われているアクチュエータに着目して研究を進めた。位置と力のハイブリッド制御[16]、およびフレキシブルマニピュレータにおける位置と力の制御[17]において、実績をあげた。

能動的音響制御の研究も実施しており[18][19][20][21]、フィードバック音響制御として確立していった[22][23][24][25]、バイオメカニクス関係では筋力関係の研究の指導も行っている[26]。また、学術研究のみならず、国際規格におけるロボットの標準化活動で顕著な貢献を果たしている[27][28][29][30]

1999年には著書「ロボット工学」の出版を迎える[31]が、在外研究員としてスイス連邦工科大学に滞在中の8月に、マッターホルン登山中の滑落事故で死去(54歳)[1]

略歴

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受賞歴

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社会的活動

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(学術団体)

(標準化委員会)

  • 産業用ロボット標準化調査研究専門委員会(本委員会委員、第2分科会主査、第2分科会キャリブレーションW/G主査)
  • ロボット性能評価システムの概念設計専門委員会(委員長)
  • 国際標準化対策事業専門委員会委員(本委員会委員、WG2実行委員会主査)[27]

(快速登山関係)

  • 日本ウルトラランニング登山クラブ 副会長

著作

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学位論文

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  • 経路創成機構の総合東京工業大学〈博士論文(甲第542号)〉、1972年3月26日。

著書

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  • 下嶋溪 著、岡田昇 写真 『ランニング登山 ―もうひとつの山登りの刺激的世界―』 山と渓谷社、1986年7月。ISBN 4635170195NCID BN05427325
  • 下嶋浩、佐藤治 共著 『ロボット工学』 森北出版〈機械工学入門講座8〉、1999年7月。ISBN 9784627605817

(分担執筆)

解説

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  • 下嶋浩「海外通信-米国MITの最近事情-」、『メカライフ』、日本機械学会、1987年9月、 44頁。

脚注

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注釈

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  1. ^ a b ランニング登山は、快速登山、マラソン登山、山岳マラソン、とも呼ばれる[2][3]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i 朝日新聞 1999.
  2. ^ a b c d 下嶋渓 1986.
  3. ^ 私たちのスポーツの定義”. 日本トレイルランニング協会. 2014年10月9日閲覧。
  4. ^ a b c 下嶋浩 1987.
  5. ^ a b c d e 下嶋浩 1972.
  6. ^ 佐藤治 『マニピュレータの速応性を考慮した位置決め制御に関する研究』 東京工業大学〈博士論文(乙第1845号)〉、1988年9月30日。
  7. ^ 小池関也 『関節速度制御形マニピュレータの位置と力の制御』 東京工業大学〈博士論文(甲第2925号)〉、1995年3月26日。NAID 500000124562
  8. ^ 雉本信哉 『周波数領域適応アルゴリズムによる能動的音響制御』 東京工業大学〈博士論文(乙第2913号)〉、1996年6月30日。NAID 500000153783
  9. ^ 『現代物故者事典 1997~1999』(日外アソシエーツ、2000年)p.295
  10. ^ a b c 吉澤善男「退職に際して」、『東工大クロニクル』第452号、2010年3月、 26頁。
  11. ^ 下嶋浩、雉本信哉、佐藤治、前田秀、斎藤敦「人間の動作の滑らかさの評価」、『日本機械学会論文集C編』第59巻第562号、1993年6月、 1803-1808頁。
  12. ^ 佐藤治、下嶋浩、李丁、長友聖二「ステップモータで駆動される閉ループ形マニピュレータに関する研究 ―第1報,低速時の振動を抑制する制御―」、『日本機械学会論文集C編』第60巻第572号、1994年4月、 1344-1350頁。
  13. ^ 小池関也、下嶋浩「作業座標サーボによるマニピュレータの位置とカの制御 ―制御則の提案と安定性解析―」、『日本機械学会論文集C編』第60巻第575号、1994年7月、 2323-2330頁。
  14. ^ 小池関也、下嶋浩、榎本明夫「速度制御型DCモータを用いたフレキシブルマニピュレータの位置と力の制御」、『日本機械学会論文集C編』第61巻第583号、1995年3月、 1064-1071頁。
  15. ^ 小池関也、下嶋浩、山家勝裕「速度制御形DCモータを用いた双腕フレキシブルマニピュレータの位置と力の制御 ―第1報,自由空間中の協調制御―」、『日本機械学会論文集C編』第61巻第590号、1995年10月、 3999-4006頁。
  16. ^ 梶原逸朗、山家勝裕、下嶋浩「混合H2/H∞制御に基づく非線形時変システムの一制御手法 ―2自由度マニピュレータの位置と力の制御―」、『日本機械学会論文集C編』第64巻第626号、1998年10月、 3839-3846頁。
  17. ^ 小池関也、山家勝裕、下嶋浩「位置と力の干渉を軽減したフレキシブルマニピュレータのハイブリッド制御」、『日本機械学会論文集C編』第64巻第622号、1998年6月、 2094-2101頁。
  18. ^ 雉本信哉、下嶋浩、田窪崇行「構造物の振動を利用した音響制御 ―直線形ダクトモデルによる基礎的実験―」、『日本機械学会論文集C編』第60巻第571号、1994年3月、 850-855頁。
  19. ^ 雉本信哉、下嶋浩「能動的音響制御のための周波数領域適応アルゴリズム ―第1報,アルゴリズムの提案およびシミュレーション―」、『日本機械学会論文集C編』第61巻第589号、1995年9月、 3581-3586頁。
  20. ^ 雉本信哉、下嶋浩、柴原章宏「能動的音響制御のための周波数領域適応アルゴリズム ―第2報, ダクトモデルによる実験的検討―」、『日本機械学会論文集C編』第62巻第596号、1996年4月、 1397-1402頁。
  21. ^ 雉本信哉、下嶋浩「能動的音響制御における適応ハウリングキャンセラの効果」、『日本機械学会論文集C編』第62巻第598号、1996年6月、 2272-2277頁。
  22. ^ 梶原逸朗、福田将直、下嶋浩「モード解析と線形行列不等式に基づくフィードバック音響制御」、『日本機械学会論文集C編』第64巻第621号、1998年5月、 pp.1668-1675。
  23. ^ 下嶋浩、松永義弘、小池関也、梶原逸朗「モード解析に基づく複数の制御音源を用いたフィードバック音響制御」、『日本機械学会論文集C編』第65巻第633号、1999年5月、 1849-1856頁。
  24. ^ 小池関也、小林優揮、飯田裕、下嶋浩「評価点の移動する1次元音場内の能動的音響制御 ―第1報,評価点の移動に対応可能な音響制御器の提案―」、『日本機械学会論文集C編』第67巻第654号、2001年2月、 322-328頁。
  25. ^ 小池関也、小林優揮、飯田裕、下嶋浩「評価点の移動する1次元音場内の能動的音響制御 ―第2報, 評価点の高速な移動に対応した音響制御器の提案―」、『日本機械学会論文集C編』第67巻第660号、2001年8月、 2521-2527頁。
  26. ^ 丸山剛生、柴山憲文、竹内博之、下嶋浩、中原凱文「生体表面の硬さ測定とニューラルネットワーク処理による関節トルクの推定」、『日本機械学会論文集C編』第63巻第616号、1997年12月、 4224-4230頁。
  27. ^ a b 報告書 1995.
  28. ^ 下嶋浩、杉本浩一、三浦敏道「ISO/TC184/SC2/WG2 (ロボットの性能試験方法) 北京会議報告」、『ロボット』第115号、日本ロボット工業会、1997年3月、 11-13頁。
  29. ^ 下嶋浩、杉本浩一、稲垣荘司ISO/TC184/SC2/WG2 (ロボットの性能試験方法) ベルリン会議報告」、『ロボット』第122号、日本ロボット工業会、1998年5月、 5-8頁。
  30. ^ 下嶋浩ほか「ISO/TC184/SC2 (工業用ロボット) 北九州会議報告」、『ロボット』第116号、日本ロボット工業会、1997年5月、 12-17頁。
  31. ^ 下嶋・佐藤 1999.
  32. ^ 実行委員会”. 日本IFToMM会議. 2015年4月10日閲覧。

参考文献

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  • “滑落死男性は東工大の教授 スイス・アルプス”. 朝日新聞朝刊. (1999年8月19日) 
  • 『平成7年度産業用ロボット国際標準化対策事業報告書』(レポート)社団法人日本機械工業連合会、社団法人日本ロボット工業会、1986年6月。 
  • 下嶋浩「海外通信-米国MITの最近事情-」『メカライフ』、日本機械学会、1987年9月、44頁。 

外部リンク

[編集]

(工学関係)

(登山関係)