上田麻希
上田 麻希(うえだ まき、1974年 - )は日本のアーティスト。東京生まれ。石垣島及び東京を活動の拠点としている[1][2]。
経歴
[編集]慶應義塾大学環境情報学部にて藤幡正樹に師事し、メディアアートを学ぶ。1997年に学部卒業、1999年に修士卒業。
嗅覚に焦点を置き、他の感覚からの影響を最小限に抑えた作品で知られており[2]、嗅覚アート(Olfactory Art)の分野における重要なパイオニアの一人である。
「嗅覚のための迷路」シリーズは、鼻だけで空間をナビゲートしなければならないというインスタレーションで構成されている。嗅覚以外の感覚から情報が何もない状態で、参加者にとっては匂いの体験だけが頼りになる。
2009年にイギリスのサンダーランドにあるReg Vardy Galleryで開催された「もしもこんな匂いがあったなら」(If There Ever Was:Exhibition of Extinct and Impossible Smells)では、「シュタージ(旧東ドイツの国家保安省)が政治犯の体臭を集め、いつか犬によって追跡できるように瓶に保管していた」という設定で、「体臭 (‘Body Odour’)」を出品した[3]。
2011年には、オランダのロッテルダムで開催されたV2_Lab for the UnstableMediaのPalm Top Theater展のゲストキュレーター[4]として招聘された[5]。
香道を作品に取り入れていることでも知られている。オランダのハーグにある王立芸術アカデミーと王立音楽院のArtScience Interfacultyのプログラムでは、「匂いとアート」の授業を担当した。2009年から2018年まで続いたカリキュラムの「嗅覚ゲーム」では、日本の伝統的な香りのゲームである香道の考え方を用いて、香りという媒体に対して概念的かつ抽象的なアプローチを取り、あらゆるタイプのゲームを考え出した[6]。
受賞歴
[編集]Art and Olfaction Awards において実験的作品に対して贈られる「Sadakichi Award部門」に過去に数多くの作品がノミネートされている。ノミネートされた作品は、「戦争の匂い」('The Juice of War' ) (2016)、「嗅覚のゲーム」(‘Olfactory Games’) (2018)、「触る香り」(‘Tangible Scents: Composition of Rose in the Air’) (2019)、「嗅覚のための迷路 」(’Olfactory Labyrinth V. 5: Invisible Footprints’) (2020)など多数[7]。
2009年にはThe World Technology Awardsのアート部門にノミネートされている[8]。また、2007年にはポーラ美術振興財団による若手芸術家の在外研修助成を受けた[9]。
脚注
[編集]- ^ “ramfoundation - artists - kunstnaars”. ramfoundation.nl. 2021年9月1日閲覧。
- ^ a b Kiniry. “This Holiday Season, Travel With Your Nose” (英語). Smithsonian Magazine. 2021年7月1日閲覧。
- ^ Burr, Chandler (2009年2月19日). “Whole Lot of Non-Scents” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2021年7月1日閲覧。
- ^ “Maki Ueda”. V2_Lab for the Unstable Media. 2021年9月1日閲覧。
- ^ “About”. V2_Lab for the Unstable Media. 2021年9月1日閲覧。
- ^ Ueda. “Overview of Olfactory Games 2009-2018”. Smell and Art. 8 July 2021閲覧。
- ^ “The Art and Olfaction Awards”. 2021年9月1日閲覧。
- ^ “The World Technology Summit & Awards 2009”. secure.wtn.net. 2021年9月1日閲覧。
- ^ “公益財団法人ポーラ美術振興財団”. www.pola-art-foundation.jp. 2021年9月1日閲覧。