三恵の大ケヤキ
三恵の大ケヤキ(みつえのおおケヤキ)は、山梨県南アルプス市寺部にある推定樹齢1000年超のケヤキの巨木である。国の天然記念物に指定されている。
解説
[編集]甲府盆地の西部、釜無川右岸の河岸段丘上、御勅使川扇状地東南端の標高約275メートルに位置しており、現在では周囲を住宅地と果樹園に囲まれている。三恵とは、この付近のかつての村名(三恵村)である[1]。
古くから名木として知られており、江戸時代後期に編纂された地誌である『甲斐国志』にも記載されている[2]。1926年(大正15年)には、「五つの枝を出し…畑の中に独立した樹であるが、遠くから眺めると林のように繁茂し…」と、当時の山梨県教育委員会史蹟名勝天然記念物調査報告書第2輯に記載されているように、離れた場所から小山の如く見える威容を誇っていた[1]。1928年(昭和3年)11月30日に「三恵の大欅」の名称で国の天然記念物に指定。1957年(昭和32年)7月31日に指定名称が変更され、「欅」の表記がカタカナの「ケヤキ」となった[3]。
威容を誇った三恵の大ケヤキも、老木によく見られるように幹に空洞が生じ、1959年(昭和34年)8月の台風や、落雷による火災などの被害を受けたことにより[1]、現在では主幹の中央部が裂けて2本に分かれたように見えるが、根元を良く見れば1本の巨大な樹木であることが分かる。
1974年(昭和49年)に測定されたデータ[4]によれば、根回り16m、目通り幹囲14.65m、樹高21m、枝張り東方11m、西方5m、南方10.5m、北方16mと、大きく枝が四方に広がる巨樹である[1]。1996年(平成8年)には地元の有志により「三恵の大ケヤキ保存会」が発足し[2]、土壌改良、腐朽防止、支柱の設置などの取り組みが行われ、2011年7月現在では樹勢は旺盛である。
2019年、令和元年東日本台風(台風19号)の影響で一本が折れる[5]。
脚注・出典
[編集]- ^ a b c d 加藤陸奥雄他編 『日本の天然記念物』、講談社 p.452、p.454 ISBN 4-06-180589-4
- ^ a b 社団法人山梨林業研究会編 『山梨の巨樹・名木100選』 山梨日日新聞社 pp.28-29 ISBN 4-89710-851-9
- ^ 文化庁国指定文化財等データベース 三恵の大ケヤキ
- ^ 秋山樹好 『山梨県巨樹名木誌』 1974年
- ^ “台風19号 樹齢1000年、国天然記念物のケヤキ折れる 山梨”. 2019年10月15日閲覧。
参考文献
[編集]- 加藤陸奥雄他編 『日本の天然記念物』、講談社、1995年3月20日 第1刷 p.452、p.454 ISBN 4-06-180589-4
- 社団法人山梨林業研究会編 『山梨の巨樹・名木100選』 山梨日日新聞社、2001年4月5日 第1刷 pp.28-29 ISBN 4-89710-851-9
関連項目
[編集]- 国の天然記念物に指定された他のケヤキは植物天然記念物一覧#被子植物・双子葉類節のケヤキを参照。
外部リンク
[編集]- 三恵の大ケヤキ - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 山梨県公式ホームページ-山梨の文化財ガイド(データベース)天然記念物
- 三恵の大ケヤキ 南アルプス市観光協会
- 三恵の大ケヤキ 南アルプス市webサイト
座標: 北緯35度37分18.2秒 東経138度29分38.7秒 / 北緯35.621722度 東経138.494083度