コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ヴァージン・オーストラリア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴァージン・ブルーから転送)
ヴァージン・オーストラリア
Virgin Australia
IATA
VA
ICAO
VOZ
コールサイン
Velocity
設立 2001年(ヴァージン・ブルーとして)
マイレージサービス Velocity Rewards
会員ラウンジ Virgin Australia lounge
保有機材数 98機
就航地 56都市
本拠地 オーストラリア
クイーンズランド州 ブリスベン
代表者 Chris Corrigan (会長)
Paul Scurrah (CEO)
テンプレートを表示

ヴァージン・オーストラリア英語 : Virgin Australia)は、オーストラリアヴァージン・オーストラリア・ホールディングス傘下の航空会社。

2020年4月20日、任意管理手続きの適用申請を決め[1]一度経営破綻したが、新たなスポンサーを得て経営再建中である。

概要

[編集]

本拠地をブリスベンに置く。カンタス航空に次ぎ、豪州で2番目に規模が大きい航空会社である。2011年5月、ヴァージン・ブルー (Virgin Blue) より現社名に変更された。航空券の座席予約システム(CRS)はSABREを利用している [2]

特徴

[編集]

ヴァージン・オーストラリアは格安航空会社(LCC)のヴァージン・ブルーとしてスタートした後、2011年にブランドイメージを一新するとともに現在の社名に変更、更にフルサービスエアラインへと変化を遂げた。

ヴァージンは一時的なターミナルではなく、キングスフォード・スミス国際空港の恒久的なターミナルを獲得する事ができないつまづきを経験している。しかし、この問題は解決し、ヴァージン・オーストラリアは、オーストラリアの国内線でカンタス航空の第一の競争相手となるまでに成長した。

白い塗装の機材を使用するヴァージン・オーストラリアの機体には、オーストラリア国内有数のビーチの名前が付けられている。

歴史

[編集]

2000年8月31日、ヴァージン・ブルーは2機の航空機によってシドニー - ブリスベン線の運航(毎日7往復)を開始した。その後、オーストラリアのすべての主要都市と、多くの観光地へ就航路線を拡大した。

ヴァージン・グループはヴァージン・ブルーが業績不振であっても保有し続けていたが、2005年始めにオーストラリアの運送複合企業パトリック・コーポレーション (Patrick Corporation) がヴァージン・ブルーに対して敵対的買収を行った。オファーの締め切りにあたり、パトリックは議決権を持つ株の62%を得て経営権を取得した。なお、ヴァージン・グループは25%の株を所有することとなった。

2002年には、経営難から前年(2001年9月に経営破たんしていた競合相手のアンセット航空が倒産した。現在ではアンセットの旧顧客を多く獲得している。

2003年には持株会社ヴァージン・ブルー・ホールディングス (en:Virgin Blue Holdings) がオーストラリア証券取引所に上場(ASXVBA)され、現在ではその100パーセント子会社となっている。2003年9月にはニュージーランドオーストラリア本土の両方で低価格運航を行っているパシフィック・ブルーを子会社化すると発表した。なお、パシフィック・ブルーはニュージーランド航空とカンタス航空の運賃が高額であると批判、両者への競争相手として自らを位置づけていた。

また、2005年11月からは西サモアとニュージーランド、オーストラリア間を運航していたポリネシアン航空の事業を承継し、ポリネシアン・ブルー(後のヴァージン・サモア)として運航していたが、2017年に合弁を解消した[3]

2011年5月、ヴァージン・オーストラリアへと社名変更した[4]

国内線の2レターコードは2013年1月14日から、それまでの「DJ」を国際線(旧・V オーストラリア)と同じ「VA」に統一した。

2014年5月現在、資本的にはニュージーランド航空(24%)、シンガポール航空(22.1%)、アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空(21.24%)と3つの航空会社が大株主となっており、出資比率的にも拮抗していたが[5]、2016年5月に中国海南航空を傘下に持つ海航集団が約13%、6月に青島航空を傘下に持つ南山集団がニュージーランド航空保有19.98%の株式取得を発表し、中国資本が全株式の約3割を占めることとなり、既存株主との相違が経営に影を落とす可能性が報じられている[6]

2020年4月18日新型コロナウイルスによる影響で豪政府に14億豪ドル(約960億円)の支援を求めたが、「株主(主要株主はエティハド航空(20.94%)、 シンガポール航空 (20.09%)、南山集団 (19.98%)、海航集団 (19.82%)、英ヴァージングループ (10.42%))などに支援を求めるべきだ」として断られていて、中国東方航空中国南方航空中国国際航空の中国大手3社が買収を検討し、正式な交渉には至っていないと報じられた[7]。報道では2019年12月末時点の負債は約50億豪ドル(約3,400億円)あり、4月20日、取締役会で任意管理手続きの適用申請を決めた[1]。6月26日、米ボストンに本社を置くプライベート・エクイティ・ファンドベインキャピタルが買収に合意したと発表[8]8月5日、辞任や機材の削減、系列LCCであるタイガーエア・オーストラリアの統廃合を含めた経営効率化を含めた再建案を発表し、豪政府による新型コロナウイルスによる防疫措置のための厳しい入国制限により国際線再開見込みが暫くたたないこともあり、主な国際線は休止凍結し、ボーイング777-300ERエアバスA330-300や地域路線用のATR、LCC機材のエアバスA320を手放してボーイング737に機材を統一、近距離路線に専念し、同時に3000名程度のリストラを行う計画を発表した[9]

2020年11月18日には任意管理からの脱却を発表[10]。12月になって現地報道でオーストラリア国際航空サービス委員会(IASC)に羽田発着枠を2021年10月まで延長申請し、IASCは2021年3月末までしか承認しなかったが、羽田便乗り入れを日豪トラベルバブル形成を前提に意欲的との見方があると報道されていたが[11]、コロナ禍による混雑空港発着枠未使用回収「U/L(Use it or Lose it )」ルール一時適用除外がIATAにより各国航空当局に要請され、2023年3月末まで適用除外され、適用期限から90日以内就航期限となる[12]、2023年6月28日から使用機材の都合で発着地をブリスベンからケアンズに変更した上で、羽田線の運航を開始したが [13]競合他社(ワイドボディ機)より見劣る機材(ナローボディ機)や日本政府による円安政策による訪豪需要が見込めず[要出典]、2025年2月24日の運航をもって運休撤退予定を発表。羽田空港発着枠に関し、太平洋縦断国際線の運航可能機材が737-700か737-8しかなく、コロナで退役一時整備保管されていた機体も全て中古移転先での運用されていて、新機材導入はサプライチェーン問題などで数年単位で見通しがたたないため、豪当局による回収再配分の可能性が高く、[独自研究?]その場合豪州内競合しているカンタス航空への配分の可能性が高いと見られている[14]

保有機材

[編集]

運航機材

[編集]

ヴァージン・オーストラリアにおけるボーイング機の顧客コードはFE[15]である。

COVID-19による破綻のため2020年8月5日に取り纏めた再建計画で順次737に機材統一効率化を行い12月にボーイングとの契約変更し後継機導入をこれまで2021年7月から737 MAX 10を25機と2025年2月から737 MAX 8を23機受領する契約を一旦全て取り消して2023年半ばにMAX 10のみ25機受領する契約へ変更したと発表された[16]
その後MAX 8を改めて8機発注し、2023年6月28日に初号機を受領した[17]。また11月にはMAX 8を6機追加発注し、計14機受領予定とした[18][19]

座席は、2017年からエコノミークラス前方や非常扉付近の足元が広い席を中心にエコノミーXと称する新クラスが設置され、頭上の荷物収納の優先スペース、優先搭乗と優先セキュリティスクリーニングの特典があるほか、国際線では利用可能な場合には優先チェックインも利用可能[20]。2023年の需要回復に伴い、中古機を含む全機種にエコノミーXを装備し、機内Wi-Fiに対応した薄型シート、デバイスホルダー、USB電源を設置する改修計画を発表した。

ヴァージン・オーストラリア 運航機材一覧(2023年現在)[21][22]
航空機 運用数 発注数 座席 備考
J Y+ Y
ボーイング737-700 2 - 8 24 96 128 元ヴァージンブルーからの移管機材
7 - 30 108 138 KLMオランダ航空中古リース機導入中
ボーイング737-800 21 - 8 30 132 170
54 138 176
ボーイング737 MAX 8 3 11 8 30 138 176 2023年6月より導入中
2023年11月に6機追加発注[19]
ボーイング 737 MAX 10 - 25 TBA 2025年後半より受領予定だが
事故により型式証明取得が見通せないため
MAX8への機種変更も検討
ヴァージン・オーストラリア・リージョナル[23]
エアバスA320-200 7 - - 12 156 168
フォッカー 100 4 - - 5 95 100
合計 99 36

退役機材

[編集]

ギャラリー

[編集]

就航地

[編集]

コロナによる2020年破綻による運航機材削減でボーイング737以外の機体を手放したことにより長距離国際線から撤退した。

オセアニア

[編集]

アジア

[編集]
  • 東京
    • 羽田(2020年3月29日、ブリズベンから就航予定[24]であったがCOVID-19流行により無期延期
      →2023年6月28日、運航機材航続距離のため豪州側ケアンズに変更後就航したが
      その後の円安政策で訪豪需要が減少し、競合他社比較で競争力の低い運航機材だったため2025年2月24日から運休予定[25]
  • インドネシア
    • バリ(ヴァージンオーストラリア運航)

破綻による撤退

[編集]

コードシェア便

[編集]

北アメリカ

[編集]

中東

[編集]

日本路線について

[編集]

2013年2月28日からは、日本路線にコードシェア便として就航した。シドニーメルボルンブリスベンパースアデレードダーウィンの6カ所からシンガポール経由、東京/羽田東京/成田名古屋/中部大阪/関西福岡の5カ所へ乗り入れる。豪州 - シンガポール間は、シンガポール航空か、シルクエアーの運航、シンガポール - 日本間は、シンガポール航空の運航便にそれぞれ当社の便名が付与される。また、自社の香港線に接続する、香港航空運航の日本路線にも便名が付与されていた[28]

2019年9月17日、豪の国際航空サービス委員会(IASC)に対し、2020年春に豪州側に割り当てられる羽田空港昼間発着枠1枠を申請[29]。ブリスベン - 羽田線への就航に加え、全日本空輸(ANA)との提携も検討しているとした[30]。同年10月29日、IASCはヴァージン・オーストラリアに対し1枠を割り当てる事を正式に決定[31]、自社便として初めて日本へ就航する事になった[28]

2020年1月からはヴァージン・オーストラリア運航便においてANAとコードシェアを実施、同年春以降はANAとヴァージン・オーストラリアの日本-豪州間および日本・豪州国内線で相互にコードシェアを実施しマイレージの提携も開始する予定[24]であった。しかしながら同年4月20日の経営破綻により白紙となり、8月5日の再建計画により長距離国際線に投入されていた777-300ERやA330を放出し、当面の間737に機材統一し運航可能な近距離路線主体の運航に専念することが発表され、日本就航は見送られることが決定した。但し需要回復後の再開意向もあり、コードシェアによる国際線接続は確保するとされている。

2022年12月14日ボーイング737-8(737MAX8)型機の導入に合わせて翌年6月28日から羽田線の運航を開始することが発表された。使用機材の航続距離などの関係で、豪州側の発着空港はブリスベンからケアンズに変更となる[32]。としていたが納入予定機材が2023年に発覚したサプライヤー部品品質問題で就航計画期日までに納入が間に合わず、代替既存機種737-700(投入機材は座席仕様の関係で元ヴァージンブルー運用2機)で就航となり、同日737-8(VH-8IA)はシアトルボーイングフィールで納入され出発[33]し、国内慣熟運用後7月22日から737-8へ機種変更された。その後日本政府による低金利政策により、円安が顕著になり日本人による訪豪需要が喪失したため、2025年2月24日をもって運休が発表された[34]

サービス

[編集]

マイレージ・プログラム

[編集]

マイレージ・プログラムとして"Velocity Rewards"を運営している。

  • 提携航空会社[35]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 豪大手航空が経営破綻へ 日本参入計画もコロナが直撃 - 時事通信 2020年4月20日
  2. ^ System Changes”. 2015年9月26日閲覧。
  3. ^ “フィジー・エアウェイズとサモア・エアウェイズ、提携に向けた覚書に調印”. フライチーム. (2017年8月17日). https://flyteam.jp/news/article/83006 2019年11月9日閲覧。 
  4. ^ 豪ヴァージン、シンガポール航空と提携 カンタスに対抗 - 日本経済新聞 2011年6月7日
  5. ^ Etihad Airways stake in Virgin Australia rises to 21.24 per cent - TheNational・2014年5月19日
  6. ^ 中国色強まる豪ヴァージン 南山20%出資、海航含め3分の1握る (1/2ページ) - SankeiBiz [リンク切れ]
  7. ^ マレーシア航空・エアアジアの統合「選択肢の一つ」…航空業界に再編の動き - 読売新聞 2020年4月19日
  8. ^ 豪ヴァージン、ベインキャピタルが買収へ - FlyTeam 2020年6月29日
  9. ^ ヴァージン・オーストラリア、日本就航は凍結 再建計画まとめ - FlyTeam 2020年8月25日
  10. ^ 豪ヴァージン、任意管理から脱却 「お、ねだん以上」目指す - flyteam・2020年11月19日
  11. ^ ヴァージン、羽田―ブリス便の運航に意欲 - NNA ASIA・2020年12月8日
  12. ^ 長距離路線には興味を示さないヴァージンオーストラリア航空が羽田空港にB737で就航する理由 - Sky Budget 2022年12月17日[出典無効]
  13. ^ Hello Tokyo! Virgin Australia Launches First-Ever Cairns-Haneda Japan Service With Massive $699 Return Sale - Virgin Australia, 14 December 2022
  14. ^ ヴァージンオーストラリア航空の日本撤退による羽田スロットの行方 カンタス航空の獲得が有力か - Sky Budget 2024年8月5日 [出典無効]
  15. ^ 一部機材はリース会社所有のため異なる。
  16. ^ ヴァージン・オーストラリア、737 MAX 10のみ導入 契約変更
  17. ^ ヴァージン・オーストラリア、737-8-MAX初受領!羽田線737-700投入あと10日ほどに
  18. ^ Virgin Australia increases 737 MAX-8 aircraft order
  19. ^ a b ヴァージンオーストラリア航空、B737MAX8を6機追加発注 B737MAXシリーズは合計39機に
  20. ^ “豪ヴァージン、全機材にプレミアム・エコノミー「エコノミーX」を導入”. フライチーム. (2017年5月24日). https://flyteam.jp/news/article/79476 2019年11月9日閲覧。 
  21. ^ Our fleet
  22. ^ Virgin Australia Fleet Details
  23. ^ Virgin Australia Regional Fleet Details
  24. ^ a b c ANAとヴァージン・オーストラリア、包括提携契約を締結, 全日本空輸, (2020-1-17), https://www.anahd.co.jp/group/pr/202001/20200117.html 2020年1月17日閲覧。 
  25. ^ 豪ヴァージン、羽田-ケアンズ25年2月運休 日本人客回復遅れ「商業成り立たたず」
  26. ^ 豪ヴァージン、香港線撤退 2月にメルボルン、3月にシドニー発着を運休
  27. ^ Virgin Australia annouces withdrawal of Hong Kong services
  28. ^ a b “豪ヴァージン、日本初就航へ 20年3月、羽田-ブリスベン”. Aviation Wire. (2019年10月31日). https://www.aviationwire.jp/archives/188905 2019年11月9日閲覧。 
  29. ^ “豪ヴァージン、羽田発着枠を申請へ 2020年夏スケジュールで”. フライチーム. (2019年9月20日). https://flyteam.jp/news/article/115432 2019年11月9日閲覧。 
  30. ^ IASC提出ヴァージンオーストラリア資料(英文PDF文書)
  31. ^ Cases Completed in 2019(IASC)
  32. ^ “豪ヴァージンの羽田就航、どうこぎ着けたか 特集・経営再建後の戦略”. Aviation Wire. (2022年12月15日). https://www.aviationwire.jp/archives/266789 2022年12月18日閲覧。 
  33. ^ ヴァージン・オーストラリア 羽田就航!737-700“暫定”投入は数週間程度、8万円台のセールも
  34. ^ 「通路1本の旅客機で8時間飛びます」ユニーク日豪路線、運休へ… そのサービス&使用機の今後は?
  35. ^ AIRLINE PARTNERS

外部リンク

[編集]