ヴァイオリン協奏曲 (フォーレ)
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品14 は、ガブリエル・フォーレが1878年から1879年にかけて作曲した未完のヴァイオリン協奏曲。完成した2つの楽章のうち、第1楽章のみが現存している。
概要
[編集]ヴァイオリンソナタ第1番の成功に続き、フォーレは友人のオヴィッド・ミュザンのためにヴァイオリン協奏曲の作曲を構想した[1]。第2楽章のアンダンテがまず完成され、ミュザンのヴァイオリン、アンドレ・メサジェのピアノにより、1878年12月28日に国民音楽協会において初演された[2]。フォーレは1879年の夏にポーリーヌ・ガルシア=ヴィアルドに宛てて協奏曲の進捗は気持ちのよいもので、終楽章の素材もあると書き送っているが、これが完成されることはなかった[3]。
第1楽章と第2楽章は1880年4月12日に、ミュザンの独奏、エドゥアール・コロンヌの指揮によって初演されている。『Revue et gazette musicale de Paris』誌は「創意ある」第2楽章を賞賛し、「魅力と情熱に満たされている」と評している。一方で「退屈かつ単調」なアレグロの開始楽章は改訂または破棄すべしとフォーレに忠告している[4]。
放棄された2曲の交響曲の場合と同様、フォーレは後の作品にこの楽曲の素材を再利用している。第1楽章の主題群は40年以上後になって完成された弦楽四重奏曲に取り入れられた[5]。また、第2楽章をヴァイオリンとピアノのためのアンダンテ 作品75に仕立て直し、1897年に出版している[6]。
第1楽章は1985年にBoccaccini & Spadaから初版が出されることになった[6]。第2楽章は遅くとも1924年にはフォーレ自身の手で破棄されたとみられる。彼は10月に妻へこう書き送っている。「パリへ戻ったら毎日少しの時間を割いて『自分の死後に何も残らない』ようにしたいと思うスケッチ、草稿、その他あらゆるものを、『燃やして』貰えるように君に渡していかねばならないね[7]。」
楽曲構成
[編集]音楽・音声外部リンク | |
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第1楽章アレグロ, Jean-Marc Phillips-Varjabedian独奏、モーシェ・アツモン指揮、ブルターニュ管弦楽団 | |
アンダンテ 作品75, ダニエル・ホープ(ヴァイオリン)、Simon Crawford-Phillips(ピアノ) |
フォーレの構想では、本作は全3楽章で構成されるはずだった。
- Allegro
- Andante (破棄 - アンダンテ 作品75へ改作)
- [Finale] (未完)
出典
[編集]- ^ Spada, Pietro (1985). Preface to Gabriel Fauré, Concerto for Violin and Orchestra. Rome: Boccaccini & Spada
- ^ Nectoux 1991, p. 506.
- ^ Grafin, Philippe (2002). Booklet for Hyperion recording CDH55396. Hyperion Records
- ^ “Concerts et auditions musicales”. Revue et gazette musicale de Paris: 124f. (18 April 1880).
- ^ Nectoux 1991, p. 253.
- ^ a b Nectoux, Jean-Michel (2001). "Fauré, Gabriel (Urbain)". Grove Music Online (英語) (8th ed.). Oxford University Press.
- ^ Nectoux 1991, p. 481.
参考文献
[編集]- Nectoux, Jean-Michel (1991). Gabriel Fauré: A Musical Life. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN 978-0-521-23524-2