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ロンゲール男爵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロンゲール男爵
創設時期1700年
創設者ルイ14世
貴族在カナダ・フランス貴族英語版
初代初代男爵シャルル・ド・モイネ英語版
現所有者12代男爵マイケル・グラント英語版
相続資格初代男爵の両系子孫
付随称号なし
現況存続
モットーStand Sure
英国唯一の在カナダフランス貴族。1880年に英国女王ヴィクトリアによって爵位追認を受ける

ロンゲール男爵(ロンゲールだんしゃく、: Baron de Longueuil)は、フランス王家の創設によるカナダケベック州を領地に持つ貴族爵位カナダにおけるフランス貴族の現存例は本男爵家が唯一である。

ヌーベルフランス(現: カナダ)生まれの軍人シャルル・ル=モイネが1700年に叙位されたことに始まる。

歴史

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初代男爵シャルル・ル=モイネ

ル=モイネ家は元来、ノルマンディー地方シャトーゲーに住まう一族であったが、初代男爵の父シャルル・ル=モイネの代にフランス領カナダ、ロンゲイ(Longueuil)に移住したのち、彼が1672年にロンゲイ領主に任ぜられた。

その長男シャルル(1656-1729)はでモントリオール州知事を務めた人物で、彼が1700年にルイ14世よりロンゲイ男爵(Barond de Longueuil)に叙された[1]。この爵位は初代男爵の男系のみならず女系にもその相続を認める継承権が付与されていた[1]

他方、一族の所領はその後10年間で拡大の一途をたどり、セントローレンス川からリシュリュー川にかけて、及び河岸のデレリーまでを含む規模となった。1854年に封建制度が解体された際にはその領地には多くの人口を擁しており、制度解体後も1969年までは男爵領としての歳入が確認されている[2]

初代男爵の孫にあたる3代男爵が七年戦争に従軍して戦死したため、その娘マリーが爵位を襲った。

その4代女男爵マリー(1755-1848)はグラント家に嫁いだため、男爵位は同家へと継承されるとともに、以降は彼女の男系子孫によって爵位は継承されている[1][3]

The Queen has been graciously pleased to recognize the right of Charles Colmore Grant, Esquire, to the title of Baron de Longueuil, of Longueuil, in the province of Quebec, Canada. This title was conferred on his ancestor, Charles Le Moyne, by letters-patent of nobility signed by King Louis XIV in the year 1700.
「女王陛下は、チャールズ・コルモア・グラント氏をカナダ、ケベック州におけるロンゲール男爵たる権利を認めるを許せり。この爵位は氏の先祖、シャルル・ル=モイネが1700年にルイ14世発出の勅許状により叙せられたるに由来せり。」

折しも、ヌベールフランス失陥に伴ってパリ条約[註釈 1]が結ばれると、カナダはイギリス領となった。その際に、同条約によってカナダにおけるフランス系貴族の地位は留保されていた[4]

そのため一族は、英国によるカナダの領有を約したパリ条約締結時に、英国は古くから存する土地所有権を同条約で承認したのだから、ロンゲールの土地を男爵領として認める義務がある旨を主張した。

この要求に対して、英国女王ヴィクトリアは1880年に当時の男爵家当主たる第7代男爵チャールズ・コルモア・グラントをロンゲール男爵として追認したため、以降は在カナダ・フランス貴族としてその地位を占める[1][5]

爵位は初代男爵の系統で現在まで続いており、第12代ロンゲール男爵マイケル・グラント(1947-)が男爵家現当主である[6]

なお、この時点でロンゲール男爵家と同様の貴族はすべて断絶していたため、英国貴族の枠組みへの取り込みや請求はなされていない。

勅許状

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1700年フランス王ルイ14世によって発出された勅許状は以下の通り。

"Erection en baronnie de la seigneurie de Longueuil en faveur de Charles Lemoyne de Longueuil" donné à Versailles, le vingt-sixième du mois de janvier, l'an de grâce mil sept cent, et de notre règne, la cinquante-septième – signé Louis

("Elevation to the rank of barony of the seigniory of Longueuil in favour of Charles Lemoyne of Longueuil" given at Versailles, the 26 January, in the year of our Lord seventeen hundred, and the fifty-seventh year of our reign – signed Louis) "A ces causes, de notre grâce spéciale, pleine puissance et autorité royalle, nous avons créé, érigé, élevé et décoré, créons, érigeons et décorons par ces présentes signées de notre main, la dite terre et seigneurie de Longueuil, scituée en notre pays de Canada, en titre, nom et dignité de baronnie pour en jouir par le dit Sieur Charles Le Moyne, ses enfants, successeurs, ayant cause, et les descendants d'iceux en légitime mariage, plainement et paisiblement, relevant de nous à cause de nostre couronne..."

("For these reasons, we, of our peculiar grace, absolute power and royal authority, have created, established, exalted and decorated, and do by these presents signed with our hand create, establish and decorate, the said land and seigniory of Longueuil, situate in our country of Canada, with the title, name and dignity of a barony for the enjoyment of the said Sieur Charles Le Moyne, his children and successors according to law, and the descendants of the same born in lawful wedlock, in full and peaceable subjection to us by right of our crown..."

ロンゲール男爵(1700年)

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爵位の法定推定相続人は、現当主の息子デイヴィッド・アレクサンダー・グラント(1984-)。

脚注

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注釈

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  1. ^ 同条約は七年戦争の講和条約。

出典

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  1. ^ a b c d Debrett's peerage, and titles of courtesy, in which is included full information respecting the collateral branches of Peers, Privy Councillors, Lords of Session, etc. Wellesley College Library. London, Dean. (1921). p. 1031. https://archive.org/details/debrettspeeraget00unse/page/1030 
  2. ^ Munro, William Bennett (2004). The Seigneurs of Old Canada: A Chronicle of New-World Feudalism. Kessinger Publishing. ISBN 1-4191-8209-9 
  3. ^ Eleanor, Rosanna; John C. Stockdale (1989). Antoinette de Mirecourt. McGill-Queen's Press. ISBN 0-88629-092-9 
  4. ^ Cokayne, George Edward (1982). The Complete Peerage of England, Scotland, Ireland, Great Britain and the United Kingdom, Extant, Extinct or Dormant. VIII. Gloucester: A. Sutton. pp. 126–7 
  5. ^ "No. 24911". The London Gazette (英語). 7 December 1880. p. 6611.
  6. ^ Person Page – 2560”. thePeerage.com. 8 April 2008時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年4月10日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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