リファアト・アルアリイール
人物情報 | |
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生誕 |
1979年9月23日 シュジャイーヤ, ガザ, ガザ地区 |
死没 |
2023年12月6日 (44歳没) シュジャイーヤ, ガザ, ガザ地区, パレスチナ領域 イスラエルの空爆 |
国籍 | パレスチナ人 |
配偶者 | Nusayba |
子供 | 6 |
学問 | |
研究機関 | ガザ・イスラーム大学 |
主な業績 | Activism |
リフア・アル=アルイールもしくはリフアト・アル=アルイール、リフアト・アルイール(アラビア語: رفعت العرعير、転写: Rif’at al-ʿArʿīr、一般的英字表記: Refaat Alareer、1979年9月23日 - 2023年12月)は、パレスチナ・ガザ地区の作家、詩人、教授、活動家である。家名は「杜松、糸杉」を意味するアルアル'Ar'ar、またはウルウル'ur'urの複数形アルイール'Ar'iirから由来する名家。文学を通じてガザ地区の実情を発信していたが、2023年パレスチナ・イスラエル戦争のさなか、イスラエル国防軍の空爆によって殺害された[1][2]。
略歴
[編集]アル=アルイールは、イスラエルによるガザ地区占領下の1979年にガザ市で生まれた。2001年にガザ・イスラーム大学で英語・英文学の学士号、2007年にユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで比較文学の修士号、2017年にマレーシアプトラ大学より英文学の博士号を取得した。[3]
業績
[編集]パレスチナの短編集「Gaza Writes Back」 (2014) [4]、「Gaza Unsilenced」 (2015)[5]を編集した。インタビューで、「Gaza Writes Backは、将来の世代に証言を残す試みだ」と述べている[6]。
2007年[1]、ガザ・イスラーム大学の教授となり、世界文学と文芸創作を教えた[7]。ガザや難民キャンプに生きるパレスチナの若者の声を拡張することを目的として、「We Are Not Numbers」を共同設立[8]。経験豊富な作家とガザの若い作家をつなげ、抵抗手段としての語る力、書く力の醸成に尽くした[9]。
殺害
[編集]2023年12月6日、兄と兄の子供1人、妹と妹の3人の子供とともにイスラエル軍の空爆で死亡した。ユーロ地中海人権モニター(Euro-Med Human Rights Monitor)は、爆破の様子から意図的に標的にされたとの声明を発表した。また、爆破前に数週間にわたって、イスラエル側からオンラインや電話で殺害の脅迫を受けた模様であると述べている[10]。
『If I must die』
[編集]アル=アルイールの詩『If I must die』(もし私が死なねばならないなら)は、殺害後に多くの人々の間で共有され、40以上の言語に翻訳されている[11]。『If I must die』は元々は2011年に書かれ、同年11月27日に同氏のブログに掲載された[12]。殺害の約1カ月前である2023年11月1日に、本人がX(旧ツイッター)の再掲載し、更にその投稿をプロフィール上部にピン留めされ広く知られるようになった[13][14][15]。このXでの投稿時には、自己事前訃報記事のようだと、周囲をざわつかせ、アル=アルイールを知る人たちを不安にさせた。
レガシー
[編集]2023年12月、スコットランドの俳優ブライアン・コックスは、パレスチナ文学祭のXを通じて、アル=アルイールの詩『If I must die』を朗読する動画を発表し、大きな反響を呼び多くの人々の間で共有された[11][16]。
2024年3月7日、NHKの国際報道2024は『"ガザの詩人”が遺したメッセージ』と題してアル=アルイールの詩を「道しるべ」とした、2023年パレスチナ・イスラエル戦争が続くガザ地区の報道を行った[2]。
2024年5月、アル=アルイールの詩『If I must die』が作品を通じて発せられるメッセージとなる、『If I must die, you must live 私が死ななければならないのなら、あなたは必ず生きなくてはならない』と名付けられたパレスチナ人出身の詩人や画家の作品を中心としたした展覧会が日本で開催されることになった。この展覧会には、パレスチナ出身芸術家以外にも日本の奈良美智も参加予定だという[17]。
出典
[編集]- ^ a b Sheehan, Dan (December 7, 2023). “Poet and scholar Refaat Alareer has been killed by an Israeli airstrike.” (英語). Literary Hub. 2023年12月24日閲覧。
- ^ a b 日本放送協会『“ガザの詩人”が遺したメッセージ - 国際報道 2024』 。2024年5月15日閲覧。
- ^ “Refaat Alareer” (英語). アメリカ・フレンズ奉仕団. 2023年12月24日閲覧。
- ^ “Gaza Writes Back” (英語). Just World Books. 2023年12月24日閲覧。
- ^ “Gaza unsilenced” (英語). Just World Books. 2023年12月24日閲覧。
- ^ “The Story Behind 'Gaza Writes Back'” (英語). Palestine Chronicle (May 21, 2016). 2022年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月24日閲覧。
- ^ “Rafaat Alareer” (英語). Palestine Book Awards. 2022年11月30日時点の[https:/www.palestinebookawards.com/authors/item/refaat-alareer オリジナル]よりアーカイブ。2023年12月24日閲覧。
- ^ Noor Haq, Sana; Salman, Abeer (2023年12月12日). “Prominent Gaza professor and writer killed in airstrike, weeks after telling CNN he and his family had ‘nowhere else to go’” (英語). CNN. 2023年12月24日閲覧。
- ^ The WANN Family (December 18, 2023). “Tributes to Refaat Alareer, killed Dec. 9, 2023” (英語). We Are Not Numbers. 2023年12月24日閲覧。
- ^ “Israeli Strike on Refaat al-Areer Apparently Deliberate” (英語). ヨーロッパ・地中海人権モニター (08 Dec 2023). 2023年12月24日閲覧。
- ^ a b Sheehan, Dan (December 13, 2023). “Watch Brian Cox read “If I Must Die” by murdered Palestinian poet Refaat Alareer.” (英語). Literary Hub. 2023年12月24日閲覧。
- ^ リファアト・アルアリイール (2011年11月27日). “If I must die” (英語). In Gaza, My Gaza!: Drowning, not waving…. 2023年12月24日閲覧。
- ^ リファアト・アルアリイール (2023年11月1日). “If I must die, let it be a tale.” (英語). X. 2024年5月15日閲覧。
- ^ ““If I must die, you must live to tell my story…”: Israel targets and kills beloved poet Refaat Alareer” (英語). Beirut Today (2023年12月9日). 2023年12月24日閲覧。
- ^ Alhaj, Ali (JANUARY 5, 2024). “In Memoriam: Dr. Refaat Alareer: Poet, Professor and Palestinian Voice” (英語). Washington Report on Middle East Affairs. The American Educational Trust (AET). 2024年5月15日閲覧。
- ^ Palestine Festival of Literature: “Brian Cox reads If I Must Die” (英語). x. 2024年5月15日閲覧。
- ^ “パレスチナ問題を考察する展覧会、ワコウ・ワークス・オブ・アートで開催。奈良美智も参加”. 美術手帖. 2024年5月15日閲覧。
参考文献
[編集]- リフア アル=アルイール (特集 パレスチナ詩アンソロジー : 抵抗の声を聴く ; パレスチナの現代詩人たち : アンソロジー) 現代詩手帖. 67巻5号, 2024年5月, p24-25. NDLサーチ
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ワコウ・ワークス・オブ・アートの『If I must die, you must live』展示会の公式サイト