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ヒズ・ガール・フライデー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レディは敏腕記者から転送)
ヒズ・ガール・フライデー
His Girl Friday
ポスター(1939)
監督 ハワード・ホークス
脚本 チャールズ・レデラー英語版
原作 ベン・ヘクト
チャールズ・マッカーサー
フロント・ページ英語版
製作 ハワード・ホークス
出演者 ケーリー・グラント
ロザリンド・ラッセル
ラルフ・ベラミー
音楽 シドニー・カトナー
フェリックス・ミルズ
撮影 ジョセフ・ウォーカー英語版
編集 ジーン・ハヴリック
製作会社 コロンビア ピクチャーズ
配給 アメリカ合衆国の旗 コロンビア映画
日本の旗 ヒズ・ガール・フライデー上映実行委員会
公開 アメリカ合衆国の旗 1940年1月11日
日本の旗 1986年9月19日
上映時間 92分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
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プロモーション用写真
(左からグラントラッセルベラミー

ヒズ・ガール・フライデー』(His Girl Friday)は、1940年アメリカ合衆国ハワード・ホークスが監督したコメディ映画。スピード感あふれる台詞を見せ場にする、いわゆる「スクリューボール・コメディ」の代表作の1つとされる[1]ロザリンド・ラッセル演じる早口で威勢のいいヒルディは、ホークス的女性像の典型例とも言われている[2]。1993年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録された[3]

日本では『レディは敏腕記者』のタイトルでビデオ化されたことがある。

ストーリー

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映画は「新聞記者が殺人以外なら何でもやった古い時代…」というクレジットで始まる。

ウォルター・バーンズ(ケーリー・グラント)は、ニューヨークの大手新聞社で名を馳せている名物編集長。探偵を使った贈賄や窃盗もいとわない強引な手法で次々にスクープ記事を放ってきた。妻のヒルディ・ジョンソン(ロザリンド・ラッセル)は彼の同僚として働く敏腕記者だったが、ウォルターの強引な性格と、常に締め切りに追われる新聞記者暮らしに愛想をつかして離婚・退社。穏やかな性格の保険業者ブルース・ボードウィン(ラルフ・ベラミー)との再婚を決め、ブルースの実家があるオルバニー(ニューヨークの州都)で主婦として静かな暮らしを始めようとしていた。

しかしヒルディがニューヨークを離れる前日、最後の挨拶のためウォルターを訪ねると、ウォルターは様々な策を弄してヒルディの出発を遅らせる。そのころニューヨーク中の記者たちが追っていた大事件、警官殺しの容疑者へのインタビュー記事をヒルディに書かせるためである。

ヒルディは二度と新聞記者はごめんだと言いながら、ウォルターの懇請に負けて留置所へ入り込み、容疑者アール・ウィリアムズ(ジョン・カーレン)への取材に成功する。アールは既に死刑を宣告され、刑の執行を翌朝に控えていた。しかしヒルディは取材するうちに、腐敗したニューヨーク市長が選挙の宣伝に利用するためアールに無実の罪をきせて死刑を強行しようとしていることに気づき、政界の暗部を暴く大スクープの予感に夢中になっていく。

その間、ウォルターはヒルディの戻りを待っている再婚相手のブルースを、でっちあげの軽罪で何度も拘留させ続ける。そしてヒルディと共に記者室で猛烈な取材を開始する。彼らの動きに気づいた市長と保安官(ジーン・ロックハート)は、2人を逮捕するため記者室へ乗り込んでくるが、逮捕の瞬間、メッセンジャー(ビリー・ギルバート)が連邦政府からの死刑執行停止命令を運んでくる。

諦めた市長と保安官が帰って行き、再婚相手のブルースもまたヒルディが結局記者の世界を捨てられないことを悟り、破談を申し出て去ってゆく。

記者室に取り残されたウォルターはヒルディに愛を告白し、ヒルディはウォルターへの愛を再確認して、2人は2度目の新婚旅行を約束して抱き合うのだった。

評価

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  • ケーリー・グラントとロザリンド・ラッセルが早口でまくしたてる場面がほぼ全編を占めており、2人のロマンスそのものよりも、当意即妙な台詞のキャッチボールが映画の中心的な見せ場となっている[4]。こうした作品をコロンビア ピクチャーズは1934年の『或る夜の出来事』の大ヒット以来、繰り返し製作したため、早口の会話は「スクリューボール・コメディ」の重要な特徴と見做されるようになった[5]
  • ヒルディは自我が強く弁が立ち、新聞社のような男社会でも毅然とキャリアを築いているが、最終的には男の望む場所に落ちつき、男の元へ戻ってくるキャラクターとして描かれている。ハワード・ホークスはこうした女性を自作にたびたび登場させたため、ヒルディのような女性を指して「ホークス的女性(Hawksian Woman)」と呼ばれるようになった[6]
  • 題名の「ヒズ・ガール・フライデー」は「彼のお気に入りの娘」といった意味で、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』で忠実な現地人の下僕となった「フライデー」にちなんでいる[5]
  • ベン・ヘクトチャールズ・マッカーサーの戯曲『フロント・ページ英語版』をハワード・ホークスが脚色した作品で、同原作戯曲の映画化は1931年の『犯罪都市』に続き2度目である[7]。原作戯曲に対する変更点として、ヒルディを女性にし、ウォルターの元妻としている[8]。また1974年にはビリー・ワイルダー監督によって再び映画化されている(『フロント・ページ』)。

キャスト

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脚注

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  1. ^ My girl Friday, and his, and yours”. Observations on film art. 2020年5月25日閲覧。
  2. ^ King, Susan (2003年8月13日). “Not just pretty faces” (英語). Los Angeles Times. ISSN 0458-3035. http://articles.latimes.com/2003/aug/13/entertainment/et-king13 2019年1月3日閲覧。 
  3. ^ Complete National Film Registry Listing | Film Registry | National Film Preservation Board | Programs at the Library of Congress | Library of Congress”. Library of Congress, Washington, D.C. 20540 USA. 2020年5月25日閲覧。
  4. ^ "overlapping dialogue; overlap dialogue." A/V A to Z: An Encyclopedic Dictionary of Media, Entertainment and Other Audiovisual Terms, Richard W. Kroon, McFarland, 1st edition, 2014.
  5. ^ a b "screwball comedy." A/V A to Z: An Encyclopedic Dictionary of Media, Entertainment and Other Audiovisual Terms, Richard W. Kroon, McFarland, 1st edition, 2014.; Philip C. DiMare, "The Romantic Comedy," Movies in American History: An Encyclopedia, ABC-CLIO, 2011.
  6. ^ "The Hawksian Woman," Donald, Ralph, and Karen MacDonald. Women in War Films : From Helpless Heroine to G.I. Jane, Rowman & Littlefield Publishers, 2014.
  7. ^ 同原作の映画化作品には他に『フロント・ページ』(1974年)、『スイッチング・チャンネル』(1988年)がある。
  8. ^ 同様の設定変更は『スイッチング・チャンネル』でも行なわれているが役名は異なる。

関連文献

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外部リンク

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