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レッドオイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

レッドオイル赤い油)は、有機溶剤、典型的にはリン酸トリブチル(TBP,再処理工場で重金属抽出に使われる)とその賦形剤が濃硝酸に120℃以上で触れたときに出来る、赤色を呈するさまざまな物質の混合物のことを指す。

レッドオイルは130℃以下では比較的安定だが、それ以上になると爆発的な熱分解を起こす。これによる2度の事故がアメリカ合衆国内の核施設で発生している(1953年 ハンフォード・サイト、1953年 サバンナ・リバー・サイト)。また、ロシアのトムスク7でも1961年に起きている。

工場内でレッドオイルが発生する可能性がある場所は、エバポレーター、酸濃縮器、脱硝装置に大別される。レッドオイルの生成に必要なものはTBPと硝酸で、他に賦形剤ケロシンのようなTBPを希釈する液体)や水相の金属硝化物などが寄与する。

レッドオイルの爆発を防いだり、軽減するために制御する項目は温度・圧力・質量・濃度に分けられる。130℃以下の温度にしておくことは、レッドオイルの爆発対策として一般的に取り入れられている手段である。十分な換気は、圧力上昇によって反応容器が破壊されるのを防ぎ、また気化冷却によって、熱暴走に至るのを防ぐ手段ともなる。量の制御はレッドオイルを生成しうるプロセスへの流入物から有機物を取り除くために沈殿装置や液体サイクロンを使う。また、TBP自体を減らし、レッドオイルが爆発したときのエネルギーを減らすことも量の制御である。濃度の制御としては、硝酸の濃度を10モル/リットル以下に保つことである。アメリカ政府の研究ではこれらは単独で使うべきではなく、これらを複合して使うことで、レッドオイル爆発を深層防護するべきだとしている。

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