ルベーグの分解定理
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数学の測度論の分野における ルベーグの分解定理(ルベーグのぶんかいていり、英: Lebesgue's decomposition theorem)[1][2][3]とは、ある可測空間 上のすべての二つのσ-有限な符号付測度 および に対して、次を満たすような二つの σ-有限な符号付測度 および が存在することを述べた定理である。
これら二つの測度は、 および によって一意的に定められる。
改良
[編集]ルベーグの分解定理を改良する方法は多く存在する。
はじめに、実数直線上のある正則なボレル測度の特異部の分解は、次のように改良できる[4]。
但し
- νcont は絶対連続(absolutely continuous)な部分
- νsing は特異連続(singular continuous)な部分
- νpp は純点(pure point)の部分(離散測度)
つづいて、絶対連続測度はラドン=ニコディムの定理によって分類され、離散測度は簡単に理解することが出来る。したがって(特異連続測度はさておき)ルベーグの分解は測度の非常に明解な記述を提供するものとなる。カントール測度(実数直線上の確率測度で累積分布関数がカントール関数であるようなもの)は特異連続測度の一例である。
関連する概念
[編集]レヴィ=伊藤分解
[編集]→詳細は「レヴィ=伊藤分解」を参照
確率過程に対する同様な分解に、次のようなレヴィ=伊藤分解がある。あるレヴィ過程 X が与えられたとき、それは次のような三つの独立なレヴィ過程の和 に分解される。
- はドリフトを伴うブラウン運動で、絶対連続な部分に対応する;
- は複合ポアソン過程で、純点の部分に対応する;
- は自乗可積分な pure-jump マルチンゲールで、有限区間においてほとんど確実に可算個の jumps を持つようなものであり、特異連続な部分に対応する。
関連項目
[編集]引用
[編集]- ^ (Halmos 1974, Section 32, Theorem C)
- ^ (Hewitt & Stromberg 1965, Chapter V, § 19, (19.42) Lebesque Decomposition Theorem)
- ^ (Rudin 1974, Section 6.9, The Theorem of Lebesgue-Radon-Nikodym)
- ^ (Hewitt & Stromberg 1965, Chapter V, § 19, (19.61) Theorem)
参考文献
[編集]- Halmos, Paul R. (1974) [1950], Measure Theory, Graduate Texts in Mathematics, 18, New York, Heidelberg, Berlin: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-90088-9, MR0033869, Zbl 0283.28001
- Hewitt, Edwin; Stromberg, Karl (1965), Real and Abstract Analysis. A Modern Treatment of the Theory of Functions of a Real Variable, Graduate Texts in Mathematics, 25, Berlin, Heidelberg, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-90138-1, MR0188387, Zbl 0137.03202
- Rudin, Walter (1974), Real and Complex Analysis, McGraw-Hill Series in Higher Mathematics (2nd ed.), New York, Düsseldorf, Johannesburg: McGraw-Hill Book Comp., ISBN 0-07-054233-3, MR0344043, Zbl 0278.26001
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