ルクシオン (競走馬)
この記事は「新馬齢表記」で統一されています。 |
ルクシオン | ||||||
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欧字表記 | Luxon[1] | |||||
品種 | サラブレッド[1] | |||||
性別 | 牝[1] | |||||
毛色 | 黒鹿毛[1] | |||||
生誕 | 2018年3月1日[1] | |||||
死没 | 2021年1月26日(3歳没) | |||||
登録日 | 2020年6月4日 | |||||
抹消日 | 2021年1月26日[2] | |||||
父 | エイシンフラッシュ[1] | |||||
母 | ヘヴンリーヴォイス[1] | |||||
母の父 | アグネスタキオン[1] | |||||
生国 | 日本(熊本県)[1] | |||||
生産者 | ストームファームコーポレーション[1] | |||||
馬主 | (株)ノルマンディーサラブレッドレーシング[3] | |||||
調教師 |
本間忍(美浦) →河内洋(栗東)[1] | |||||
競走成績 | ||||||
生涯成績 | 5戦2勝[1] | |||||
獲得賞金 | 3046万4000円[1] | |||||
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ルクシオン(欧字名:Luxon、2018年3月1日 - 2021年1月26日)は、日本の競走馬[1]。
熊本県で生産された九州産馬で、福島2歳ステークスでオープン競走を勝利。同じ熊本県生産の九州産馬ヨカヨカとともに阪神ジュベナイルフィリーズで史上初めて熊本県産馬によるJRA-GI出走を果たしたが、3歳春の調教中の事故により安楽死した。
経歴
[編集]デビュー前
[編集]ヘヴンリーヴォイスは、2007年に社台ファームで生産されたアグネスタキオン産駒であった[4]。2010年4月の3歳未勝利戦でデビュー、以降、中央競馬に6戦出走するも勝利を挙げることができなかった[5]。兵庫県競馬に移籍後は、園田にて田中学とともに4連勝を記録して引退。[5]その後は社台ファームにて繁殖牝馬となった[6]。2年目にフレンチデピュティを種付けし産まれたスーパーライナーは、後に通算3勝を挙げ3勝クラスまで出世している[7]。
繁殖生活7年目、北海道にてエイシンフラッシュを配合[8]。その後、2017年10月25日のジェイエス繁殖馬セールに上場された[8]。ストームファームコーポレーションが取引価格162万円にて落札し、九州にわたった[8]。2018年3月1日、熊本県にて父エイシンフラッシュの仔(後のルクシオン)が誕生する[1]。
2019年8月20日、北海道新ひだか町で行われた北海道サマーセールに上場[9]。有限会社ノルマンディーファームが216万円で落札された[10]。落札し購入したのは、岡田スタッドの代表である岡田牧雄であった[11]。
「九州産のレースを取ろうと思って買ったわけじゃない。筋肉に深みがあっていい馬だなと思ったら、たまたま九州産だった」 |
—岡田牧雄(スポーツ報知[11]) |
セール後、岡田スタッドのえりも分場にて育成が施された[11]。2020年、2歳の春には岡田スタッドの育成馬の中でも最上位グループに加入していたという[11]。
岡田が率いるノルマンディーサラブレッドレーシングに、匿名組合契約に基づいて競走馬の現物出資を行っている愛馬会法人、ノルマンディーオーナーズクラブにて総額720万円の400口、一口価格1万8千円で出資募集がなされて満口となった。ノルマンディーサラブレッドレーシングとしては、初めて九州産馬を所有することとなる[11]。募集時のカタログには、「芝が主戦場となる」と強調されていた[12]。
「質量が0であり真空中で常に光速で運動するすべての素粒子[13]」を意味する「ルクシオン」と名付けられ、美浦トレーニングセンターの本間忍調教師の下に所属する予定であった[12]。しかし、「新型コロナウイルス感染拡大防止のための番組変更の今後の可能性とそのリスクへの対応[13]」のために、競走馬デビュー前に栗東トレーニングセンターの河内洋調教師へ転厩した[13]。
競走馬時代
[編集]2020年8月15日、小倉競馬場の新馬戦に松山弘平を鞍上にデビュー[14]。九州産馬限定の競走で自身を含む熊本県産が6頭、鹿児島県産が5頭、宮崎県産が2頭で計13頭のメンバー構成であった。河内は、出走前に「一般馬(九州産以外)相手でもやれそう」と評価[15]、単勝オッズ2.3倍の1番人気に推されて出走した[14]。「抜群のスタート」(スポーツニッポン)からハナを奪い、逃げの手を打つ。前半の600メートルを34.8秒で通過[14]、最後の直線でも後続の追撃を寄せ付けずに差を広げて先頭で入線した。2位入線のアイアンムスメに3馬身離して勝利[16]、デビュー勝ちを果たした。
松山は「最後も着差以上に強い競馬[17]」、河内は「調教通りの競馬[17]」と評し、スポーツ報知は「完勝[17]」、サンケイスポーツは「センス良さを印象付ける走り[18]」「圧勝[18]」と表した。
続いて、8月末の九州産馬限定のオープン競走であるひまわり賞へ登録していたものの回避[19]。その1週間後の小倉2歳ステークス(GIII)を選択した。ひまわり賞の回避は、夏の暑さが厳しい中、新馬戦から中1週で小倉に再び輸送することを嫌ったためであった[20]。河内は「先々のことも考えたい馬[20]」としていた。
初めて九州産以外の馬と顔を合わせることとなった。出走10頭中単勝オッズ21.6倍の7番人気の支持で松山弘平が続投し、参戦した[21]。新馬戦と異なり、後方から最後の直線に進入。馬場の内側から前を窺い「必死に食い下がる[22]」(サンケイスポーツ)「ジワジワと脚を伸ばした[23]」(スポーツニッポン)。しかし、大外から伸びた2番人気メイケイエールや1番人気モントライゼらに突き放されて4着[22]。勝利したメイケイエールに1.2秒遅れての入線であった[21]。重馬場での競走に、騎乗した松山は「いい経験になる[22]」とした。
10月3日、岩田望来に乗り替わり、中京競馬場のききょうステークス(OP)に出走。逃げた藤岡佑介騎乗のポールネイロンが2歳コースレコードで走破[24]、その0.5秒後の4着に敗れた。岩田によると、他の馬に対して怖がる一面を見せたという[25]。
その後、アルテミスステークス(GIII)に出馬登録したものの回避[26][27]。次の週のファンタジーステークス(GIII)、京王杯2歳ステークス(GII)にも再び登録したが出走することはなかった[27][28][29]。
11月15日、福島2歳ステークス(OP)へ参戦。西村淳也に乗り替わり、6.9倍の3番人気に推されて出走した[30]。後方追走から、馬場の良かった外側へ移動[31]。最終コーナーは15番手から「大外一気の追い込み[32]」(スポーツ報知)を見せた[32]。一足先に抜け出していたサニーオーシャンを、クビ差ばかり差し切って先頭で入線、2勝目を挙げた[33][34]。上がり3ハロンはメンバー中最速の34.9秒というパフォーマンスだった[32]。
12月13日、2歳牝馬のGIである阪神ジュベナイルフィリーズへ進む[29]。同じ熊本県及び九州産馬で新馬戦、フェニックス賞(OP)、ひまわり賞と3連勝。それに加えてファンタジーステークスでは2番人気に推されて5着となった実績を持つ、ヨカヨカも出走を表明[29]。ヨカヨカ共に、1984年のグレード制以降、史上初めて熊本県産馬によるJRA-GI出走[35]。また、1998年の阪神3歳牝馬ステークス(カシノリファール、コウエイロマン)以来2回目の、九州産馬による2頭以上でのJRA-GI出走を果たした[35]。
事故死
[編集]2021年、3歳となりクイーンカップ(GIII)を目指して栗東トレーニングセンターにて調教が行われていた[36]。しかし1月26日、角馬場にて他の馬の挙動に驚いて放馬し、そのまま地下馬道へ逃避[37]。その際にカーブを曲がり切れずに壁へ激突し左肩を強打[38]。その際に左上腕骨骨折を発症した。手術不可能な部位に発症したため、安楽死措置となった[39]。
競走成績
[編集]以下の内容は、netkeiba.comの情報に基づく[40]。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ (人気) |
着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] |
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2020. 8.15 | 小倉 | 2歳新馬 | 芝1200m(良) | 13 | 4 | 5 | 2.3 (1人) | 1着 | 1:09.8(35.0) | -0.5 | 松山弘平 | 54 | (アイアンムスメ) | 426 | |
9. 6 | 小倉 | 小倉2歳S | GIII | 芝1200m(重) | 10 | 7 | 7 | 21.6 (7人) | 4着 | 1:10.8(35.9) | 1.2 | 松山弘平 | 54 | メイケイエール | 426 |
10. 3 | 中京 | ききょうS | OP | 芝1400m(良) | 8 | 4 | 4 | 16.4 (4人) | 4着 | 1:21.6(35.1) | 0.5 | 岩田望来 | 54 | ポールネイロン | 422 |
11.15 | 福島 | 福島2歳S | OP | 芝1200m(良) | 16 | 2 | 4 | 6.9 (3人) | 1着 | 1:10.0(34.9) | -0.0 | 西村淳也 | 54 | (サニーオーシャン) | 420 |
12.13 | 阪神 | 阪神JF | GI | 芝1600m(良) | 18 | 1 | 2 | 229.9(16人) | 10着 | 1:34.0(34.1) | 0.9 | 西村淳也 | 54 | ソダシ | 418 |
血統表
[編集]ルクシオンの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ミスタープロスペクター系 |
[§ 2] | ||
父 エイシンフラッシュ 2007 黒鹿毛 |
父の父 *キングズベスト1997 鹿毛 アメリカ |
Kingmambo | Mr. Prospector | |
Miesque | ||||
Allegretta | Lombard | |||
Anatevka | ||||
父の母 *ムーンレディMoonlady 1997 黒鹿毛 ドイツ |
Platini | Surumu | ||
Prairie Darling | ||||
Midnight Fever | Sure Blade | |||
Majoritat | ||||
母 ヘヴンリーヴォイス 2007 黒鹿毛 |
アグネスタキオン 1998 栗毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
Wishing Well | ||||
アグネスフローラ | *ロイヤルスキー | |||
アグネスレディー | ||||
母の母 *ヘヴンリーソングHeavenly Song 1997 鹿毛 フランス |
Machiavellian | Mr. Prospector | ||
Coup de Folie | ||||
Heavenly Music | Seattle Song | |||
Angela Serra | ||||
母系(F-No.) | (FN:4-f) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Mr.Prospector=4×4、Halo=4×5 | [§ 4] | ||
出典 |
|
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o “ルクシオン|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【先週のJRA抹消馬】豪州移籍のケイアイノーテック、トゥザヴィクトリーの子トゥザクラウンなど | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年2月3日閲覧。
- ^ “2歳新馬|2020年08月15日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “ヘヴンリーヴォイス | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b “ヘヴンリーヴォイスの競走成績 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “繁殖牝馬情報:牝系情報|ヘヴンリーヴォイス|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “スーパーライナー | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b c “2017年 ジェイエス繁殖馬セール 成績表”. 122.28.38.178. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “566 ヘヴンリーヴォイス2018(九州産)カタログ”. 日高軽種馬農業協同組合北海道市場. 2021年1月27日閲覧。
- ^ “日高軽種馬農業協同組合”. old.hba.or.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b c d e “【阪神JF】デアリングタクト育てた岡田牧雄氏が見出したルクシオン、無敗3冠牝馬に続くぞ!: スポーツ報知”. web.archive.org (2020年12月9日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b “22 ヘヴンリーヴォイスの18”. ノルマンディーオーナーズクラブ. 2021年1月27日閲覧。
- ^ a b c “所属馬詳細(ルクシオン)”. www.normandyoc.com. ノルマンディーオーナーズクラブ. 2021年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月26日閲覧。
- ^ a b c “2歳新馬|2020年08月15日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “熊本産馬ルクシオン「芝の方が動きそう」/新馬戦|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【小倉新馬戦】ルクシオン、抜群スタートから逃げ切りV 夏の小倉新馬一番星”. www.sponichi.co.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b c “【小倉5R・2歳新馬】九州産馬限定戦をルクシオンが制す 松山「楽な形だった」 : スポーツ報知”. web.archive.org (2020年8月19日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b “【小倉2歳S】九州産馬の星ルクシオンが果敢に重賞挑戦”. サンスポZBAT!競馬 (2020年8月31日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ “ルクシオンはひまわり賞を回避、9.6小倉2歳Sへ|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b “【小倉2歳S】“九州産の星”ルクシオン河内調教師に勝算あり/トレセン発秘話 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b “小倉2歳ステークス|2020年09月06日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b c “【小倉2歳S】熊本産馬ルクシオンは快挙ならず4着 松山弘「よく頑張っていたし、いい経験になりました」”. サンスポZBAT!競馬 (2020年9月6日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【小倉2歳S】九州産馬明暗…ルクシオンは健闘4着、カシノレオは最下位10着”. www.sponichi.co.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【中京9R・ききょうS】ポールネイロンがデビュー2連勝 2歳戦好調の矢作師「阪神JF一本で」”. スポーツ報知 (2020年10月3日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【ききょうS】(中京)ポールネイロンがレコードで連勝 | 競馬実況web | ラジオNIKKEI”. keiba.radionikkei.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【2歳次走】ルクシオンはアルテミスS”. www.sponichi.co.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b “ルクシオン アルテミスS回避、11・7ファンタジーSか京王杯2歳Sに向かう見込み”. www.sponichi.co.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “アルテミスS登録ルクシオンは京王杯かファンタジー|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b c “【2歳次走報】熊本産馬ルクシオン、阪神JFへ”. サンスポZBAT!競馬 (2020年11月18日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ “福島2歳ステークス|2020年11月15日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ 「週刊Gallop」2020年11月22日号 第28巻第51号(通巻1477号)、p.150『福島の日曜成績』「10R 福島2歳ステークス」
- ^ a b c “【福島2歳S】九州産馬のルクシオンが豪快に追い込む 西村淳騎手「距離の融通も利きそう」 : スポーツ報知”. web.archive.org (2020年11月15日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【福島2歳S】ルクシオンが差し切り勝ち 西村淳「いい脚を使ってくれました」 ? 東京スポーツ新聞社”. 東スポWeb ? 東京スポーツ新聞社. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “【福島2歳S】熊本産のルクシオンが大外強襲で福島チャンプに!”. サンスポZBAT!競馬 (2020年11月15日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ a b 「週刊Gallop」2020年12月20日号 第28巻第55号(通巻148号)、p.151『GIレースドキュメント』「アラカルト」
- ^ “熊本産のルクシオンが栗東トレセンで事故死”. サンスポZBAT!競馬 (2021年1月26日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ “九州産の3歳牝馬ルクシオンが調教中の事故で安楽死”. スポーツ報知 (2021年1月26日). 2021年1月26日閲覧。
- ^ “熊本県産馬ルクシオン安楽死、調教中の事故で|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “九州産ルクシオン左上腕骨骨折で安楽死 昨年福島2歳Sで勝利、阪神JF10着”. www.sponichi.co.jp. 2021年1月26日閲覧。
- ^ “ルクシオンの競走成績 | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2021年1月26日閲覧。
参考文献
[編集]- 『週刊Gallop』第28巻第51号通巻1477号 2020年11月22日号、サンケイスポーツ特別版、2020年11月16日。
- 『週刊Gallop』第28巻第55号通巻1481号 2020年12月2日号、サンケイスポーツ特別版、2020年12月14日。