リナグリプチン
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IUPAC命名法による物質名 | |
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薬物動態データ | |
代謝 | 肝 (CYP3A4- mediated) |
半減期 | 96 to 113 h |
データベースID | |
CAS番号 | 668270-12-0 |
ATCコード | A10BH05 (WHO) |
PubChem | CID: 10096344 |
IUPHAR/BPS | 6318 |
DrugBank | DB08882 |
ChemSpider | 8271879 |
UNII | 3X29ZEJ4R2 |
KEGG | D09566 |
ChEBI | CHEBI:68610 |
ChEMBL | CHEMBL237500 |
別名 | BI-1356 |
化学的データ | |
化学式 | C25H28N8O2 |
分子量 | 472.54 g/mol |
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リナグリプチン(Linagliptin)は、ジペプチジルペプチダーゼ阻害薬に分類される経口血糖降下薬である。ジペプチジルペプチダーゼはインクレチンの分解などに関係する酵素であり、これを阻害することにより血中のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の濃度を高め、血清インスリン濃度の上昇 および 血糖値の低下をもたらすと考えられている。日本では商品名トラゼンタで、日本イーライリリーおよび日本ベーリンガーインゲルハイムから販売されている。
GLP-1アナログ製剤と同じくインクレチン関連薬に分類される。SU剤に代表される経口血糖降下薬に比べて、低血糖のリスクが少ないと言われている。副作用としては、腹部膨満・便秘・浮腫などが報告されている。ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって分解されるGLP-1以外のペプチド基質については、DPP-4の項を参照。
リナグリプチンを含むDPP-4 阻害薬は、癌リスク上昇と関連していなかった旨が報告されたが、解析に用いられた研究の試験期間は二年以下と短い。ゆえに、長期的な癌リスクは、現時点では明らかではないと考えるべきである。
効能・効果
[編集]2型糖尿病[1]
禁忌
[編集]下記の患者には禁忌とされる[1]。
- 製剤成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡、1型糖尿病の患者
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者
副作用
[編集]重大な副作用とされているものは[1]、
- 低血糖(2.1%)
- 腸閉塞
- 高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等
- 肝機能障害
- AST上昇、ALT上昇等
- 類天疱瘡
- 水疱、びらん等
- 間質性肺炎
- 咳嗽、呼吸困難、発熱、肺捻髪音等
- 急性膵炎
- 持続的な激しい腹痛、嘔吐等
である。
参考文献
[編集]- 添付文書 トラゼンタ 健康成人男性における空腹時単回経口投与後の血漿中濃度半減期が記載されている。
- “Clinical pharmacokinetics and pharmacodynamics of linagliptin”. Clin Pharmacokinet 51 (7): 411–27. (2012). doi:10.2165/11630900-000000000-00000. PMID 22568694. 薬物動態に関して記載されている。
- “Safety of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors: a meta-analysis of randomized clinical trials”. Curr Med Res Opin 27 Suppl 3: 57–64. (2011). doi:10.1185/03007995.2011.602964. PMID 22106978. 副作用(心臓血管系・癌・膵炎)に関して記載されている。
脚注
[編集]- ^ a b c “トラゼンタ錠5mg 添付文書”. www.info.pmda.go.jp. 2022年1月16日閲覧。